ホッケー観るなら“サークル”をみる!(その5)

ホッケー観るなら“サークル”をみる!(その5)

YouTubeチャンネルにアップロードした「ホッケー観るなら、“サークル”を見る!」⑦−1から5の統合版「守備のセオリー」です。

ホッケー編④では、ホッケーの試合における攻撃のセオリーについて学びました。

今回は、公益社団法人日本ホッケー協会ご協力の下、男子ホッケー日本代表チーム(サムライジャパン)前・コーチの山下 学さんに反対にホッケーの守備のセオリーについて教えていただきました。山下さんは東京2020大会にキャプテンとして出場された方で、現在現役に復帰されて再び日本代表として活躍されています。

本動画作成にあたっては、日本ホッケー協会の皆様、特にサムライジャパンの髙橋 章ヘッドコーチには多大なるお力添えを頂戴しました。厚く御礼申し上げます。

パート⑦−1 守備の原則

守備の時は自分たちの守ってるサークルに入られないようにすることが大事で。

もちろん自分たち(のチームの人数)が(ゴール)キーパー(GK)入れて11人、サークルの付近をガチガチに固めれば恐らく相手は何もできないだろうっていう風に思うかもしれないんですけど、ホッケーっていうのはボールが小さくてかつ速いので取ろうとしても、相手のボールが強いとやっぱり力があったとしても、少し面が動いて当たった瞬間に振動でこうちょっとずれたりとかして、速い球をさらに違う方向に当ててしまって、サークルの中に入れられて、次(に)誰が触るかわからない状況(が)、人がいればいるほど起きてしまう。かつボールが小さくて速いので見えない。

そういった意味でも正直自分たちの自陣を人数(を多くして)固めれば守れるかって言われるとなかなか正直難しいと(思います)。

相手の高いエリアでボールを奪って攻めるっていうのがやっぱり一番、ディフェンス側からしてもリスクなく取れるっていうのがやっぱり基本(です)。先ほどの攻撃の逆のパターンなので相手は攻撃はこうやってくるっていうのは頭に入れた上で守備をするっていう形をとります。

その中で1対1だったりとか守備をするときに、自分の右サイド、スティックの面が相手に向くようなこの形で守備をすることが一番強いと思っていて。何でかっていうとリバース(の形である)この(ように)左にしてしまうと、右手がこう被せてしまうのでこの次の動き、取った後にボールをこう持っていく時にかなり時間のロスをしてしまったりとか。結構試合で見られるのは片手になってて、そのまま押し切られることが多くて。

基本的には自分が追い込みたい自分の右サイドに追い込んで、最後ボールをフォアで取ってそのまま前に行けるような形を取れると、守備をしてても次の攻撃に(入る時に)スムーズに攻めることができるので、基本的には右サイドに追い込んでボールを奪うっていうのがディフェンスのセオリーかなっていう風に思います。

パート⑦−2 ボールの奪い方

選手の連携によるボール奪取

ホッケーってボール(を)コントロールしないといけないので結構ボールに集中するんですよね。周りを見るんですよ、みんな。やっぱりサッカーと一緒でこうやって周りを見るんですけど、サッカーだとこのまま(の姿勢)でも足でこう(ボールを)コントロールできる選手(も)多いと思うんですけど、ホッケーってこのまま(の姿勢で)こうやって(ボールを)レシーブ(すること)ってなかなかできないんですね。絶対必ずレシーブの時はボールを見るので。それ(ボールを見る時間)が短いか長いかは別として。

かつ相手(が)いるの(かいないのか)を見て動くんですけど、そういう選手が 例えばボールしか見てない選手とか。逆に(DFの)1人がプレッシャーかけに行ったら、ボールコントロールするのに一生懸命で(DFが)1人にしか見えてなくて、違うところから(別のDFが)来て2人でボールを奪うとか、3人でボールを奪うっていうのはあります。

例えば1人目(のDF)がこっちに、自分のフォアサイドに(OFが)ドリブルするように誘導して、(1人目のDFが)こう(OF選手の前に)入ると(OFの選手は)進路を妨害されるんでターンするんですよね。でそのターンすることに(OFの選手が)いっぱいいっぱいで(2人目のDFが)見えてなくて、後ろから来た(2人目のDF)選手がボールを奪うとかっていうようなことが結構試合の中であったりとかしてボールを奪う確率が上がる一つのポイントかなっていう風に思います。

ドリブルをしている相手からのボール奪取

ボールとスティックが付いている時にはボールを奪うことはなかなか難しいんですね。(ボールを)こう持ってる時に対してフォアに対してフォアであればボールは簡単に奪えるんですけど、まあそういったシーンってなかなかなくて。ボールを相手は浮かしてきたりとか、足元(を)抜いてきたりとかするんで。

ボールを完璧に奪うっていう時はやっぱりボールとスティックが離れた瞬間に相手のスティックとボールの間に(自分の)スティックを入れれば、逆にボールが奪った瞬間に、相手は(自分のスティックを)叩いて反則(になる)。

そういった(ボールの奪い方)のはかなりあったりするので守備側もかなり高度なタイミングだったりとかスキルが大事になってくるので、ボールを奪うチャンスっていうのはなかなかない。そういった意味ではホッケーって結構守備側は我慢する(必要があります)。

でも我慢しすぎると(DFは)しんどいんで、(OFに)ボールタッチさせればさせるほど、(OFは)ボール(を)見ないとコントロールできないので、そういった時にボールをタッチすれば(ボールを)触れば触るほどミスの確率って上がるんですね、(ボールを)触るんで。(DFから自分の)スティックを(相手に)見せたりとか、相手にプレッシャーを「行くぞ」っていうフェイントをかけたりとかして、こちらから 守備側からもアプローチをかける。受け身ではなくて。なのでそういったのをさせてボールを奪う(ことはあります)。

人数をかけてボールを奪う局面

自分たちのエリアだとしたら、こういった狭い角っていうのは2人で(ボールを取りに)いったりとか、相手が足(が)止まっている時は1対2だったりとか、1対3っていう(局面)のは作れる 作りやすいと思います。なのでそういったところをターゲットにして狭いエリア、それこそ自分たちが密集して固めた(エリア)、さらに自分たちが寄った(エリア)っていうところの。

ラインがあれば結構そういった局面は多いかなと思ってて、真ん中でやるとやっぱりどこにでも抜けられるんですけど、こうやってラインを使うと(抜けられる方向が)ここか、ここか、ここだけなんで 一つの辺が減るんで、かつここ(角)を使えば(抜けられる方向が)ここか、ここしかないんで、1人2人って(DFが)どんどんプレッシャー(をかけに)行くってことが割と多いし、(ボールを)取れる確率がかなり高いと思います。

あとはフォーメーションによっては(ボールの)取りどころっていうのが決まってて、ここに(相手が)入ったらこうやって取りましょうっていうところでは、全然サッカーと一緒で(そういう取り決めは)あります。ただやっぱりホッケーはボール(が)小さいんで、こう(DFが)構えててここ(をボールは)越えるし、ここも(ボールは)すり抜けていく(し)、スティックを降ろしても(ボールが)浮いてきたら(抜かれる)っていうことがあって。(ホッケーは)確実にボールを奪えるっていうのが、なかなか難しい競技なので。

それこそ(ボールを)取る時にそんなに人(が)寄ったのに、相手のスティックを叩いてしまって、(相手)1人に対して(自分たちが)4人寄ったのに(ボールを)取れなくて(自分たちの)反則になってそこからリスタートされたら、その少しリスクもかなり高いし、ボールも速いんですぐ局面が変わってしまうので、なかなか本当に高度なレベルで戦術理解だったりとか技術があればできるんですけど、なかなか厳しいってのが一つ正直問題があったりとかしますね。

一概に全部FWの選手が、こう上手いなって思うかもしれないんですけど、守備側も実は仕掛けてたりとかもするんで、そういったところを見てもらうと面白いかなっていう風に思います。

パート⑦−3 DFのポジション取り

Q:相手へプレッシャーをかけに行く時のポジション取りのやり方にはどのようなものがあるのでしょうか?

立ち位置とか(を)変えますね。どこのチームも中を固める戦術を取るので。サイドから攻めさせてもいいよと。真ん中から攻めさせると右も左も真ん中も行かれるんですけど、そうじゃなくてワンサイドに誘導すると限定がしやすい。こうなったらワンサイドに囲むことによって10人(が)ここに行けば、パスコースがないっていうので誘導がうまくしやすくなる。

なので基本的には中から ボールがここに出たら、基本的には中から当たりに行くんですけど、例えばこっちに誘導したいのであれば、意図的に縦から入って中にドリブルさせて、中から当たりに行ってどんどん追いやってこっちに、逆サイドに追いやったりとかっていう。

プレッシャーをかけにいくランニングラインっていうのを変えたりとか、それは各々チーム戦術があって縦から行くチームもあれば、最初からここについておけばここには出ないので、相手は仕方がなくこっちに出すっていうチームもありますし。そこは戦術によってプレスの掛け方、当たりに行く人のランニングラインっていうのは見てると、「このチームはこっちにかけるんじゃないかな」とか、「ここで取ろうとしてるんだな」っていうのが見えてくるかなっていう風に思います。

Q:一般的には自分たちの左サイドから攻められるより、右サイドから攻められる方が守りやすいのですか?

そうですね。やっぱり守ってても自分の右側に(相手が)来てくれるんでボールもカットしやすいんですよね。フォアサイドだとエンドラインが横にあってもフォアでこう強く、しっかりと両手で取れたりとかダイブしても取れるんですけど、左は中から守っててもフォアで取ろうと思ったら、体を回さないといけないので結構限界があるんですけど。

で左はさらにリバースっていうこういう形になっちゃうんで、結構こぼれたりすることが多いので、やっぱりできるだけフォア(の方)に(相手を)来させてこうやって守ってると(ボールを)取りやすい。かつ相手のレフトDFにしてみたら自分(が)攻めてる方向にフォアのスティックがあるとかなり嫌なんですね。当たるかもしれない(と思うからです)。

でも(向かっている方向が相手の)左でいうと相手はこう(スティックを)持っているのでここにスペースがあるんですね。こう(相手がスティックを)持ってているのと、(相手の)ここで(ボールを)通すのと、(相手が)こうやって(スティックを)持ってて、こう(ボールを)通すのであれば (左側には)スティックがないので、(スティックは)出てくるには出てくるんですけど、(通常の構えは)こうなっているんでここの方が通しやすいんですね。

かつやっぱり(左にスティックを出す場合は)リバースなんで、速い球を通せばもしかしたらミスするかもしれないってなるんで、基本的にはやっぱりフォアサイドに追い込むっていうのがセオリーかなっていう風に思います。

パート⑦−4 スイーパー

Q:DFについて、ホッケー特有の点はありますか?

同じラインに並ばないことですね ディフェンダー(DF)が。サッカーだと同じラインに並ぶじゃないですか オフサイドがあるので。ただそれしちゃうと(ボールを)裏(に)越えられるんで。(相手FWに)引っ張られちゃうんで。

そういうのを防ぐために僕は「2ライン」って言ってるんですけど、ここの(DFの)ラインより段差をつけたりとか。守備だけで言うとダイヤモンドって言うんですけど、こういう(形)の(陣形)を作ったりしてて、今で言うと大体この前の選手がスイーパー(SW)っていうフリーな選手がいるんですけど。

基本的にはこうやって(マークする)DF(に)なってるんですけど。SWっていうの(=選手)の役割は、例えばここにボールがあって、ボールとゴールを結んだラインに立つっていうのがSWの役割のセオリーで。

それに対してここはそもそもここに(選手が)いるんで、ここのエリアは(ボールが)通って来ない、この選手はここのエリア(をカバーするのでボールは)通ってこない、この選手はここ(この選手は)ここ、でここの選手のライン(が)越されてもこの選手がカバーできるっていうような、ここの1ライン、2ライン、3ライン。

こういう段差をつけることによって、もし(ボールを)こぼした(つまり)裏取られたとしても次の選手(がいる)、さらに帰ってまた次の選手(がいる)っていうような、段差をつけるってことを各チームしてると思います。

Q:ホッケーではスイーパーが前にいるんですね

SW、ストッパー(ST)ってあるんですけどここがSTですね、(ここが)SW、(ここが)ライトバック(RB)、(ここが)レフトバック(LB)。もちろん後ろでSWするシステムもあります。それはやっぱりチームによって違うんで。

あと相手の戦術によって、やっぱり打ち込みとか1対1が強いチーム、もしくはスクープボールで裏にどんどん(ボールを)入れてくるチームであれば、やっぱり後ろにサポート(が)付くっていう戦術を採ったりするチームもあります。どちらかというとSWが前っていう認識のチームは男子は割と多いかな(と思います)。女子に関してはもしかすると後ろ(が多い?)、まあ(前と後ろは)一緒(くらいかな)。フリーになっている選手が前なのか後ろなのかって(いう)のは、やっぱりそのチームによってやっぱり違うかなと思います。でもホッケー(では)今で言うとSWが前のチームが多いかなと思います。

Q:それは技術レベルや戦術によって変わってくるわけですね?

全然変わってくると思います。

打ち込みがやっぱり多いのであれば(ボールが)後ろにこぼれる確率が高い、ドリブルが上手い選手が(相手に)いれば後ろにサポート(に)行けないといけないから(SWの位置が)低かったり、逆に(相手との)力関係で(自チームが)強ければ、どんどん前からプレッシャー(をかけに)行くために、そのFW(や)MFのサポートをするためにSWは高め(のポジション)にいる必要があるよねっていうこともあります。

本当にやっぱりそのSWって役割(の選手)がどこをサポート(するのか)、もちろん全部サポートするんですけど、そのやっぱりSWが出ていくことによってある意味数的同数、もしくはその局面で言ったら数的有利を作ることができるので、そういったのはやっぱり戦術に(よって変わる)、どういう分析をしてどういう風に守るかっていうところで、SWの(ポジションの)高さっていうのは変わってくると思います。

相手の(DFの)4枚がもう不安定であれば変な話(自チームの)FW4枚(を)上げるってなったら、SWが誰か(相手の)MFを見ないといけなくなる。(MFを)押し出さないといけないので、そういったところはもう(SWであっても)マンツーマンで(守る)とか(っていうのは)あります。

でも基本的にはやっぱり(SWは)真ん中で安定して(ポジションを取って)、必ず相手の攻撃(の場面では)真ん中を攻めさせないように真ん中にいるっていうのが基本的には大前提ではあります。なのでSWが機動力があるSWなのか 後ろでどっしりして(いて)サポートだけする(SWな)のかっていう(点でも)、結構チームによって(SWの)カラー(が)違うし。

守備(が)固いチームは割と機動力(が)高い(SWの)選手がいて、もう全部ロングボールは(SWが)全部カットするっていうようなシーンも見られるので。

(ロングボールの)出どころをしっかりと予測してボールを奪うSWもいたりとか、カバーリングが絶妙に上手い(SWもいて)、DFが1対1をしている間に後ろから来て相手からボールを奪う(SW)とかっていうような、SWのタイプはすごく見てて、(SWは)チームのキーマンなのである意味、(SWのタイプを見てみると)面白いと思います。

パート⑦−5 カウンター攻撃への対応

カウンター攻撃の遅らせ方

ここの選手がドリブルしてって(ボールを)取られたってなった時に、基本的にまずは(ピッチの)中(のエリア)を守ります。何でかっていうと中にボールを繋がれると、ここから右も左も行かれて。

成熟したチームであれば恐らくセオリー通り、こっち側に追いやるんですけど、守備する側がどっちに追い込むかっていうのを、なかなかそういうのをとっさに作るのは難しいんですね。

でこういう陣形でよくあるのがカウンター、ここで(ボールを)取られた瞬間に中(に)繋がれて、でこのサイドの選手が走ってきて、誰につく誰が行くっていうような攻防が多いんですけど。そういうのをされないために(ボールを)取られた選手がまずはボールを奪い返すっていうところから始まって、こういった攻めてた選手がまずは中に帰ってくる。

で中を固めてここで奪った選手が遅らせる。こう外に繋がせて攻めさせる。外に出してる時間のうちに全員がボールのライン、このラインまでに帰ってきて、もう一回守備の陣形を整える。

カウンターコントロール

何もしてないチームは簡単に相手がFWの選手に繋がれて、ここから例えば個人技がある選手であれば、(相手が)4人いようがドリブルで行ったりとか。もしくは(DF)4対(OF)3だったり(を作られたり)とか下手したら(DF)3対(OF)3だったりとかっていうような状況が起きたりするので。

こういったのをしっかりと防ぐためにまずはボール(を)奪った瞬間にボール(を)奪った選手が自由に狙わせないために、このボール(を)奪われた選手がまずプレッシャー(を)かける。もしくは近くにいる選手が自分のマークを外してプレッシャーに行く。

で外に(ボールを)出させて。横パスは(ゴールに近づくまでに)時間がかかるんで。その間に3歩4歩くらい帰ってこれると思うんで、そうやって(相手を)外に追いやって、ボール(を)出されてももう一回行って、ここでしっかりと遅らせる。時間を遅らせてドリブルさせて、パスよりドリブルの方が(動きが)遅いんで、ドリブルさせることによってその間に帰ってくる。

もしくは意図的に反則を取られて、ボールをどこかに弾いたりとか、溢れて(相手の)リスタートを遅らせてその間にDFが帰ってくるっていうことをチーム戦術としてやってくるところが多いかなっていう風に思います。

あとは相手は恐らく(FWが)3枚残ってるので、そこに繋がれないように、カウンターコントロールっていうことをDFの選手は攻めてる間でも必ず考えてます。まずはここの選手に出させないように(DFの選手は)押し上げる。かつここの選手も押さえる。でここの選手も押さえる。ってなるともしここでボールを奪われた瞬間にここさえカットしておけば、この選手はドリブルしか(選択肢が)ない。

でそうするとこの選手が(相手に)パスされないんで、ドリブルだったらダッシュすればプレッシャーをかけられる。かつ(DFが)4枚残っていればもう1人が後ろで、もしここでミスした時のカバーで1人(置ける)。もしくは(他のDFの)前で1人(置くこともある)。

こういったことをすることによってもしここに出されて、そしてもし抜かれたとしてもこいつがカバーできるっていうような戦術、カウンターコントロールっていうんですけど、カウンターされないようにしっかりとコントロールしておくっていうのが見受けられるんじゃないかなっていう風に思います。

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