ホッケー観るなら“サークル”をみる!(その3)

ホッケー観るなら“サークル”をみる!(その3)

YouTubeチャンネルにアップロードした「ホッケー観るなら、“サークル”を見る!」⑤-1から3の統合版「サークルをめぐる攻防」です。

The version with English subtitles will be available soon.

ホッケー編②では、ホッケーの試合の流れと独特なスティックワークを学びました。

今回は、公益社団法人日本ホッケー協会ご協力の下、男子ホッケー日本代表チーム(サムライジャパン)前・コーチの山下 学さんにホッケーの試合において、独特かつ特徴的なサークルをめぐる攻防について教えていただきました。山下さんは東京2020大会にキャプテンとして出場された方で、現在現役に復帰されて再び日本代表入りを目指していらっしゃいます。

本動画作成にあたっては、日本ホッケー協会の皆様、特にサムライジャパンの髙橋 章ヘッドコーチには多大なるお力添えを頂戴しました。

厚く御礼申し上げます。

ホッケー編⑤-1 サークルをめぐる攻防(オフェンスの考え方)

ホッケーではサークルの中でディフェンスとオフェンス、どちらが有利かというとやはりオフェンスの方が有利なんじゃないかなっていう風に思います。

オフェンス側が反則をしても相手の一番深いところで反則が起きるので戻ればそんなにリスクはない。ただディフェンス側が反則をしてしまうと相手に得点されるリスクもありますし、ホッケー特有の「ペナルティコーナー」っていう反則を与えてしまって、守備者が不利な状態で相手の攻撃をさせてしまうっていうところではかなりオフェンス有利なんじゃないかなっていう風に考えます。

なのでオフェンス側はまずはサークルにボールを運ぶことっていうのが第一優先かなっていう風に思います。

オフェンスの考え方

サークルの中でも特にゴール付近のこういったところで、ここに対してボールを打ち込む。

打ち込んで、ここでボールを触るっていうところがここのエリアで、ボールタッチしてゴールの枠の中に入れるっていうところではホッケーではここの得点率っていうのはかなり高くなります。

とは言うもののやはり相手もディフェンスでサークルの中に入らせないようにするので、そういった時に打ち込み、強打で打てばいいんですけど、ここには必ず相手がたくさんいるので、相手は中をこう固めるので、こういった時にはこういったサイドから攻める。

人がいればいるほどディフェンスが触って、さらにディフェンスの足に当たったりとか、速すぎて、ボールが速すぎて止められなくてそれが相手の足に当たったりとか、本当に何が起きるかわからない。

とりあえずサークルに入れるっていうこともあります。

あとはサークルの侵入はここから、どこからでも侵入していいんですけど、やはりこの、こういった角度では、なかなか得点…ここからシュート打ってもなかなか、角度がないので、こういったところではペナルティコーナーを奪って、ペナルティコーナーはここから出してここから打てるので。こういう角度がないところから打つのではなくて、反則取ってペナルティコーナーを取ろうっていう風に組み立ててくるチームも多くあります。

このエリアにボールが行った時には相手が一人、二人であれば個人技で、ドリブルでかわしてサークルに入るチームもありますし、自分たちがボールがあるってことは相手も寄るので、逆に、こう狭いエリアから脱却して逆サイドから攻める、っていうのがホッケーのセオリーかなっていう風に思います。相手がいないところを攻めるっていうのが基本的なセオリーかなって風に思う。

もちろん左に振っておいて右から攻めると、左側の守備っていうのはかなり難しいので右から攻めるチームもありますし、ただやっぱり(人が集中して)狭いと、反則取って、反則取って、反則取って、ってなるとかなり守られる確率が高いので、やはり広く使うために逆サイドに展開っていうのはかなり多いかなっていう風に思います。

ホッケー編⑤-2 サークルをめぐる攻防(サークル付近の戦術)

タッチシュート

ゴールに近いエリアでボールを少しでもオフェンスが触ればゴールになるので。本当にちょっと触っただけでゴールキーパーの頭の横だったりとかっていう角度がすごく変わりやすい。強い球であれば。

その変化はかなりゴールキーパーも難しいですし、ディフェンス側も難しいので、どの角度からどう打ってもそのタッチさえ上手ければ得点の確率が高いっていうのがやっぱりホッケーの特徴かなっていう風に思います。角度がなくてもそのタッチさえ上手ければ入っちゃう。ゴールの枠を外れてるのにその触るタッチが上手くて入る。なので逆にディフェンダーはまずは相手の前に入る。相手にボールを触らせない。

後ろの選手が逆に「おいっ」ってなるので、やっぱり転がってきて見えなくて足に当たってペナルティコーナーっていうのも正直あったりするのでサークルの中ではかなりの集中力っていうのが求められることがあります。

スティックの面一つを変えることによってオフェンスは得点のチャンスもありますし、ディフェンス側は逆にそれが命取りになるのでディフェンス側はかなり不利かなっていう風に思います。

サッカーでもコーナーキックの時は結構駆け引きはあると思うのですが、ああいう形のものがホッケーでも見受けられるのでかなり面白いですし、なんなら誰が触ったかもわからないような得点もあったりするので、そういったのも見逃さずに見てもらえればいいなっていう風に思います。

セカンドポストの活用

ここにボールがあれば、ここが「ニアポスト」。

ここがファーストとしてここが「セカンドポスト」です。

例えば右サイドであればここからドリブルで相手を振り切るか、こう行っててカットイン、アングルがある方に行ってシュート。もしくはペナルティコーナー。

あと一人ではないので、こうドリブルしていってここにいる味方に合わせてタッチシュートっていうのが多いです。ゴールキーパーの裏ですね。

これは世界的に、日本もそうなんですけれども約束事。誰かがサークルに入っていってシュート、もしくはドリブルしていった時には必ずセカンドポストで待っていましょうと。

なぜかと言うとボールが小さいので、強い球だったりとか、もちろん相手がいなかったら抜けてきやすい場所であるので、セカンドポストに必ずいると得点チャンスがかなり多い。逆に言えばセカンドポストで待っていれば点数は入るって言うくらい重要性が高いと。なので世界的にも、やっぱりシュートを打って必ずセカンドポストに走り込んだりとか、ダイブしたりとか、ここに来ますよっていうのが恐らくチームの約束事として決まっていると思います。

ゴールキーパーがここに人がいることによって、シュートなのか、果たしてタッチシュートなのか迷うっていうのもやっぱり一つあって、そこに誰もいなければシュートさえしっかりと守ればいいんですけど、タッチシュートの可能性があると思うと「いや、どっちなんだろう」と迷って。でホッケースティックの面を見ても意図を読むのが難しいので、やっぱりボールが速いですし。

そうなるとやっぱりそういったポストに(相手が)いるというのは一つそういう意味でもあるのかなっていう風に思います。

なんか「誰かに当たって誰かが決める」っていうのもあるんですね。ここに走ってきた選手にボールを合わせる。でここってもうゴール(の前)ではないじゃないですか。そうなった時にここに弾くんです。だけどここに、セカンドポストに必ず(味方が)いるので弾いた時にはここにいてシュート。

すごくなんかスーパーゴールなんですけど、言い返せば必ずそこにいるよねっていうような戦術。

その形を作る確率っていうのはそもそも高いんだな、みたいな。「たまたまいてラッキー」ではなくて「(そこに選手が)いるから(そのプレーを)やれる」みたいな、っていう(傾向がある)のはすごく感じますね、世界の映像を見ていると。形として見えているんじゃないかなっていう風に思います。チームとして。

ホッケー編⑤-3 サークルをめぐる攻防(ディフェンスの考え方)

攻撃側は狭いところではなくて、やっぱり広いところから、自由にドリブルだったり、スペースのあるところから攻めるので、それをさせないようにディフェンスはするっていうような考え方が基本的な考え方です。

第1優先事項:相手をサークルから追い出す

どこのチームも守備はやはり中を固める。中を固めるっていうことがセオリーで、外に出てもまずは中を守りましょうと。

例えば中から外に相手が行ったとしても、ボールがここにあって、二人、中と外がいると、中を捨てて外へ行くのではなくて。まぁ外はそんなに危なくないので。なんならサークルの外に出ればあまり危なくないので、こういったところはまずは我慢して、外に行ってもここに通されないように守る。

味方がサポートに来てくれたらずれるっていうような、中を押さえて外に追いやるっていうのがディフェンスのセオリー。

で、相手がここでボールを持った時には、ここに蓋をしてここで奪い取る。

この「×」が敵なんですけど、ここにボールが出て、体の位置というか、こういう風に押さえに行くとこっちにドリブルされるので、かつ、ここに味方がいるとここに返されて逆展開されるので、最初の選手をこっちから当たらせにいって、こっちにサポートして。極端なことを言うと、ここでこういう風にスティックで押さえる、っていうのでまずは進路を断つ。後ろの進路を断つ。

かつ、例えばここに相手がいるのであれば、味方の選手がここを押さえに行く。そうするとパスのコースがないのでこの選手は孤立する。例えばここにいてもこう守備をする。で、味方がいれば寄せる、っていうので、ここに逃さないようなラインを作ってしまって、もう体で、スティックで遮断していって意図的にここに追い込むっていうようなプレーをします。

もうここから逃すと、こっちまで出されたら移動しないといけないのでこれが結構大変だし、陣形がずれて相手に隙を与えてしまうので、こういったところで囲む。で、確実に奪うっていうようなプレーをしたりして外に、サークルの外に押し出すっていうようなことが基本的に第一優先かなっていう風に思います。

これをすると相手も取りやすくなる。次また奪い返しやすくなるので、ここではボールを奪ったら繋げられればベストですけれど、繋げずに、それこそ相手のボールを奪ってすぐに相手の反則を奪ってフリーヒットにする。フリーヒットにすれば時間があるので、その間に味方が広がっていけば相手もそれに対してついて行くので、かなりスペースが生まれてくるかなっていう風に思います。でそのような戦略的な反則の利用をよくやります。

もしくはクリアができればスクープボールだったりとかヒットで思い切り打って陣地を挽回するっていう方法もあります。逆にここで無理して繋ごうとして取られてサークルに入られて、これだけ味方が寄っているのでそのまま失点に繋がったりとか、ペナルティコーナーになったりとかっていうのは、逆に「あるある」っていうのはあります。

なので(ホッケーの試合を)見ていると「切っていいよ」って。「ボールを切る」、相手サイドにボールを出すっていうような声掛けもあったりするんじゃないかなっていう風に思います。

第2優先事項:ゴール付近の角度のないエリアを活用する

サークルにドリブルで入られないことが一番いいんですけど、やっぱり入られる。やっぱり相手の身体能力だったりとか、レベルによって(入られることが)あるんですけど、もちろんサークルの中で、全てなんですけど焦らないっていうことがすごく大事で。基本的にはやっぱりシュートだったりとかっていうのは、もうかなり速いスピードで、振り向いてすぐ思い切りヒットだったりとかされるので、少しでも体重移動が悪いと命取りになることが多くて。

こういった「アングルがない」ところで如何に焦らないか、かつここでドリブルされて、サークルには入られているんですけど得点、正直ここからの得点の確率っていうのはかなり少ないです。

なのでここで慌ててボールを奪おうとすると、やっぱり足(にボールを)当てられてペナルティコーナーを取られて失点っていう(事態になる)のが多いので、まぁこういった基本的にはアングルがないところは慌てないっていうのもそうですし、サークルの中全体で慌てて「ヤバい」と思って食いつくと、基本的には逆を突かれて簡単にシュートを打たれたりとか、ペナルティコーナー取られたりとかするので、そういったのは気をつけないといけないかなっていう風に僕自身経験してきて思いました。

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