YouTubeチャンネルにアップロードした「バレーボール観るなら、メンタルを見る!」⑤ー1から3の統合版「ローテーションとポジション」です。
バレーボール編④では、バレーボールのラリーについて学びました。
今回も、全日本男子バレーボールチーム監督や(公財)日本バレーボール協会の女子強化委員長などを歴任され、現在(撮影時)は大同生命SV.LEAGUE WOMENに所属するPFUブルーキャッツ石川かほくのGMでいらっしゃる寺廻太さんにバレーボールのポジションとローテーションについて伺いました。
ぜひ観戦の際に参考にしていただければと思います。
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パート⑤-1 ローテーションとポジション
ローテーションの考え方
簡単なんですよ、これ。バレーボールのローテーション的に、これはもう決まっているのは6分割するんですよ。コートを。6分割。
でこのエリアが「1」のエリアなんですね。でここが「2」のエリア。ここが「3」(のエリア)。「4」。「5」。「6」ってなってます。

「S」っていうのはセッター(Setter)のSです。「S1」スタートって言ったら、セッターがバック(後衛)のライトから始まるのが「S1」って言います。

例えばこっち側(のチーム)になるとですね。「S5」。ここに(セッターが)いると「S6」ですね。こうなるとね。ここに(セッターが)いると「S6」。(セッターがここなら)「S3」っていう(呼び方です)。

何にも難しくない。
Q:セッターが前衛か後衛かはアタックできる選手数に影響するのではないですか?
S1スタートが多いのは、それが大きな理由であると思うんですよ。3人が、アタッカーが3人前(=前衛)にいる。であともう一つの要素として、セッターに(身長が)低い子が多い場合があるんで。ブロックがちょっと弱いんで。
(セットの)スタートをやっぱり「S1」にすることによって、(ローテーションが)3つ回らないと(セッターが)前衛まで行かない。だから(セットの)スタートの位置で有利なところから始めるっていうのが、バレーボールは多いです。

Q:S1でセットを始めると攻撃力が高く、また高さのあるブロックが維持できる状況が長く続く訳ですね?
そうですね。ただ、例えばこれ、このマッチングですよね。(青は)S5スタートで。でこれを(次のセットも同じマッチングで)揃えようと思うと、次のセットになるとこっち(=黄が)サーブになると1つ(ローテーションが)ずれちゃうんですよね。1つずれちゃうから(ローテーションを)戻したり。
で反対にこの(青の)ミドルブロッカー(MB)に、こいつ(黄のMB)を当てたいっていう時にはもう(ローテーションを)ぐるっと回して、例えばここ(S4)をスタートでもいいわけですよ。

それはもう作戦上に、これ(選手)とこれ(選手)のマッチングがいいからS3スタートで行くよっていうことで練習をして、(試合に)臨むっていうそういうチームも非常に多い。今。
で今(のバレーボール)は結構(前衛のアタッカーが)2枚でも、バック(=後衛)から2人(攻撃に)入っていく場合があるので、大体どのポジションも4人(で)攻撃っていうチームが特にトップ(レベルの)チームは多いですよね。だからそういう意味じゃあんまりセッターのブロックが弱くないのであれば、(セッターが)前衛スタートっていうのも十分ありますね。
ただ一つ言えるのは、バレーボールって(セットの)最初の5点が非常に重要になってくるんですね。(セットの)スタートの入り(5点)が。だからそういう意味でやっぱり(自分たちの)強いところ(=ポジション)から(セットを)始めたいっていうスタッフ陣が多いのは確かですよね。やっぱり弱いところ(=ポジション)から始めると、そこから攻められるっていうのがあるから。
例えばここがすごい一番ブレイクポイントが多いポジションだっていうデータが出ると、もう相手チーム(のポジション)に関係なくS1スタートで、ここでブレイクを(セットの)最初に取っちゃうっていう形も(監督やコーチは)考えてもいいですよね。

だから必然的にS1スタートのチームが多いっていうのはそういうところだと思うんですよ。
パート⑤-2 センターからの攻撃
Q:よく解説で「センター線」について耳にしますが、何がポイントなのでしょうか?
いや真ん中(=センター線の攻撃)を使うのが一番(攻撃が決まる)パーセンテージが高いですから。(レセプションが)Aパスで(セッターが)高いところから、もう本当に(ネットから)1m弱のところに(トスを)上げて、(MBが)ヒッティングすれば(その攻撃は)大体決まります。だから60%以上は決まるんじゃないかな。(レセプションが)Aパスで行けば 60(%以上)。
だからどこ(からの攻撃)よりも(決まる)パーセンテージが(高い)。どこのポジションよりも(決定率が)高いはずです。ミドル(ブロッカーの攻撃)が(レセプションが)Aパスで打っていく時に。だから厄介なんですよ、ミドル(ブロッカーの攻撃)っていうのは。
(レセプションが)Aパスでクイック、Aクイック(や)Bクイック(が)入ってくると、やっぱり(相手は)そこ(=クイック攻撃)をどうしてもケアしなきゃいけないから、(相手の攻撃が)両サイドに行かれた時にブロックが遅れてっていう(のが失点する)パターンなので。だから日本(の攻撃)が(以前より)少し良くなっているっていうのは、クイックでサイドアウトが取れるようになってきたんですよ。小野寺(太志選手)と山内(晶大選手)で。
※小野寺太志選手と山内晶大選手:共にパリオリンピックに出場した男子日本代表のミドルブロッカー(MB)

Q:MBの打数自体も増えたような印象がありますね?
いや(クイック攻撃が)決まるようになったから(打数が)増えたんですよ。決まらないのに(クイックにトスを)上げてもしょうがないじゃないですか。でも今あの辺(=MBの攻撃)が確実にサイドアウトが取れるようになったから、余計にサイド(からの攻撃)が活きてくる。
Q:そうするとセッター(S)にとってセンター線が使えるかどうかは非常に大きい要素ですね?
そりゃ大きいですよ。そりゃもうすごく大きい。
Q:そのようなセンター線の攻撃を序盤に見せておくことで試合の後半にサイドからの攻撃の効果を上げる狙いですか?
本当は(試合の)後半もそこ(=クイック)で攻められれば、一番強いチームだと思うんですよ、僕は。
Q:それだけ効果的なセンター線の攻撃が試合の後半に止められる確率が上がる理由は何なのでしょうか?
まあ相手(=海外チームの)がやっぱり、やっぱりミドル(ブロッカー)がいいですからね。その(=日本のクイックの)速さに慣れてくるっていうのがあるんでしょうね。その(ブロックの)タイミングが(合ってくる)。
Q:それは相手がセンター線の攻撃を読みやすくなるということでしょうか?
まあ(日本の攻撃を)読んではいないんですよ、向こう(=海外のチーム)は。リード(ブロック)で(対応して)くるので。(日本がトスを)上げたところに(ブロックが)行くので。だから。でも前よりは(日本のクイック攻撃は)良くなっていると思いますよ。ずいぶん(良くなっている)。(試合が)競っているところでも、おぉそこでクイックを使えるようになったのか、っていうボールがすごい増えているし。
だからミドル(ブロッカーの攻撃)っていうのは、相手(のMB)が打ってくるのも止められないけど、こっち(のMB)が打ってくるのが決まるようになると、セッター(S)は(攻撃の)組み立てが楽になる。
Q:選択肢が増えることになればセンター線の攻撃が決まるかどうかは重要ですね?
ミドル(ブロッカーの攻撃)っていうだけですごい重要だと思いますね。攻撃の中では。
Q:センター線の攻撃が強力になることで相手のMBが意識せざるを得なくなり、その分サイドからの攻撃への対応が遅れるわけですね?
そういうことですね。そういうことですね。だからミドル(ブロッカーの攻撃)はより速くより高く(が重要)。だからやっぱり(MBは)身長が高い方が有利なんでしょうね。
Q:かつて高身長の日本人は動きがどうしても緩慢だった印象がありますね?
やっぱりフランスとかイタリアのミドル(ブロッカー)に比べると、やっぱり(日本のMBは)スピードが劣る。パワーも劣る。でもそれはしょうがないんですよ、日本人の特性だから。でも(昔よりは)良くなっている。(昔よりは)良くはなっている。
だから(日本の)チーム力は上がったんだと思いますよ。今もまだやっぱり(世界の)トップのチームに比べたら(日本の)ブロックは弱いけど、それでも(日本チームの)キルブロックは増えましたもんね、前に比べたら。
※キルブロック:ブロックしたボールが相手コートに落ちてそのまま得点やサイドアウトに繋がるブロック
だから(以前より)上達はしているのだと思うので。
Q:後衛にいくとMBがリベロと代わるのはやはりタフなポジションだからですか?
いや(MBは)タフです。タフなんだけど。別にミドル(ブロッカーが)そのまま(後衛でもコートに)残って、こいつ(=アウトサイドヒッター)と(リベロ=Lが)代わってもいいんですよ。
キューバのミドル(ブロッカー)でバックアタックも打つ奴(=選手)は後ろ(=後衛)に行っても(コートに)残ってますから。それ(=そのMB)はサーブレシーブはしないけれど、バックアタックを打つので(コートに)残っているから。だからミドル(ブロッカー)がバック(=後衛に)行ったら(Lと)代わらなきゃいけないっていうことはないですよ。
もちろんでも(MBは)すごいハードワークしなきゃいけないポジションなので、前で。ただそれだけの理由(でMBは後衛でLと交代する訳)じゃなくて、やっぱり(MBには)サーブレシーブが上手な選手が少ないっていうことは確か。間違いなく。今までもミドル(ブロッカー)でパスをしている選手は何人もいますし。実際そういう(=MBがレセプションをする)チームもいますし。
パート⑤-3 アウトサイドヒッター(OH)とオポジット(OP)
Q:オポジット(OP)の選手はレセプションに入らない印象がありますが?
あってもいいんですよ。(OPがレセプションが)できれば。で反対にOPだからといってサーブレシーブしなきゃいけないっていうルールは全くなくて。別にオポ(ジット)の位置でサーブレシーブがすごい上手いやつ(=選手)がいるんだったら、(OPの選手がレセプションを)してもいいと思います。これからどんどん(レセプションをするOPの選手が)出てくるかもしれない。
これ(OP)が要するに昔でいう「スーパーエース」である必要はない訳ですよ。もうほとんどがそういう形になっているけど。一つ言えるんだったらこれ(=OP)はそう(=スーパーエース)じゃなくてもいいよってことですね。これ(=OPの役割)は自由だよっていう。

だからこれ(=OP)がサーブレシーブをして、こいつ(=アウトサイドヒッター:OH)がサーブレシーブをしなくてもいい訳ですよ、極端に言えば。
Q:そうするとOPがレセプションに入るかどうかはその技量による訳ですね?
やっぱり(OPの)サーブレシーブが上手だったら(レセプションに)入ればいいんだけど。であとはやっぱりそこ(=OP)がチームのポイントゲッターだから、サーブレシーブが崩れてもそこ(=OPの位置)に(トスを)上げるから、余裕を持ってジャンプに行けるっていうあれ(=メリット)はありますよね。だから(OPは)打つだけだから、基本的にはサーブレシーブしないで。あとディフェンスはするけど。
あんまりね、固定観念に駆られて、今そういう(=OPがレセプションに入らない)のが多いから基本的にそうなってるけど。例えばミドルブロッカー(MB)って今(どこにいるか)決めてるけど、これは(位置は)ミドルでなくてもいい訳ですよ。こっちにミドル(ブロッカー)がいてもいい訳じゃないですか、こいつ(OH)がブロックが良くて。だから形(にこだわらなくていい)。

でもやっぱりずっとトータルして(バレーボールを)やってるとやっぱりそうやって、やっぱり(現在の)ポジション別にやった方がうまく行くよねっていうケースが(多い)、ということですね、多分。なんでセッター(S)の位置がここなんだろうなって言ったら、多分(他の位置も)試したことがあるんだと思うんですよ。僕も試したことあるんですけど、やっぱりここが一番確率がいいんですよね。
だからひょっとしたら人に、チームによってその人選によって。左利き(のアタッカーが)がみんないっぱい全部いるんだったら、(Sの位置は)こっちでもいいじゃないですか。(通常の)逆パターンをやればいいんだから、極端に言えば。

でもそれも面白いかなと思うけど。それはそれで見てみたいなっていう(やり方)。だから(固定観念にとらわれた)形はなくていいんだと思うけど、今の形がやっぱり日本には合っているんだと思いますよ。
だから(形は)変わってきてもいいんだと思いますよ。新しいバレー(ボール)っていうか、いろんな方法があるんで。そのメンバーがバレー(ボール)を変えるって言ってもおかしくないんじゃないですか。そのいるメンバーが(形を決める)。
サーブレシーブはみんないいけど、大砲(=強力なアタッカー)がいないよねとかっていうのであればもう、オポ(ジットの位置)にいるやつ(=選手)もサーブレシーブをしながら、みんながこう攻撃を仕掛けるみたいな(こともあっていい)。
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