ホッケー観るなら“サークル”をみる!(その4)

ホッケー観るなら“サークル”をみる!(その4)

YouTubeチャンネルにアップロードした「ホッケー観るなら、“サークル”を見る!」⑥-1と2の統合版「攻撃のセオリー」です。

ホッケー編③では、ホッケーの試合で特徴的なサークルを巡る攻防について学びました。

今回は、公益社団法人日本ホッケー協会ご協力の下、男子ホッケー日本代表チーム(サムライジャパン)前・コーチの山下 学さんにホッケーの攻撃のセオリーについて教えていただきました。山下さんは東京2020大会にキャプテンとして出場された方で、現在現役に復帰されて再び日本代表入りを目指していらっしゃいます。

本動画作成にあたっては、日本ホッケー協会の皆様、特にサムライジャパンの髙橋 章ヘッドコーチには多大なるお力添えを頂戴しました。厚く御礼申し上げます。

ホッケー編⑥-1 ビルドアップの方法

ビルドアップのセオリー

ホッケーは自分たちの右サイドから攻めるのがセオリーです。ここ(のエリア)からスタートした時に、ここのエリアで 自分たちの自陣の深いところでボールを奪われると、すぐに(そこは)サークルに近いところになるので、こういった自分たちの深いエリアではリスクを冒さないように安全にボールを回す。

もしくはここからロングボール、スクープボールでサークルに近いゾーンからボールを遠いところに出して攻めるっていうのがノーリスク(No Risk)、リスクをかけずに攻めるっていうのが一つセオリー(です)。

この中盤のエリアでは少しリスクを負ってもいいのでしっかりとボールを繋ぎましょうっていうのが(セオリーです)。サッカーと似てると思うんですけど。

あとはホッケー界でよく言われるのが、縦にコート(ピッチ)を切って、ボールがここにあるとすると、ここ(ボールがある半分)がボールサイド、でここ(ボールがない半分)はヘルプサイドって言うんですけど。ボールサイドに人が多分寄ってるので、中盤をしっかりと、そこから空いてる逆サイドにボールを運んで相手がいないところから攻めましょうっていうのが、今のホッケーのセオリーだと思います。

ただその中でここでしっかりとボールを繋がないと、一本でここに繋ぐと相手も簡単に守りやすいので、しっかりとこの真ん中のエリアで、しっかりと中盤もしくはサイドバックを使って攻めていく。まあ自陣よりは少しリスクを負って攻めていくっていうところが一つ戦術としてあるのかなっていうふうに思います。

で最後に相手陣のサークル付近には積極的にサークルに入っていくっていうところで、もうリスクをかけて攻撃していくっていうところが見えるんじゃないかなっていうふうに思います。

Q:局面を打開する時にロングボールを使う時とパスを繋ぐ時はどう違うのでしょうか?

まあ相手(と)の力関係にも依りますけど多く見られるのは、やはり相手がマンツーマンのような、高い位置でプレスを しっかりとマーク(を)全員についてきてパスコースがないっていう状況の時に、リスクのあるゾーンで無理して繋いで取られてサークルに入られるのをやられてしまうと失点の確率が高いので、こういったフルプレスをかけられた時に、ここからダイレクトに空いてるスペースにロングのスクープボール(などを使って)ボールを運ぶっていうことが多かったりとか。

中央でここでスクープ(ボールを使ってパスを)してここでミスをすると拾われると中から攻められるので、外に出してからサイドから(ロングボールを送る)、簡単にリスクのない(パスを出せば)外から奪われても中で守れるので、そういったことが多いかなっていう風に思います。

で逆にしっかりとした基本スキル、ボールを止めて出すっていうところが上手いチーム、もしくは個人技が強いチームであれば、前からプレスが来たとしてもしっかりとリードしてボールを受ける、でサイドバックが上がってボールを受けるだったりとか。ここで個人技を活かして1対1でかわして逆サイドだったりとか中盤に繋いで攻める、っていうような構成をしてくるようなチームもやっぱりあったりします。

オフサイドがないことの影響

ホッケーではオフサイドがないので、サッカーであればこういう風に(DFが)並んでて(いれば)、これより先はオフサイドになっちゃうので(OFは)行けないんですけど、ホッケーの場合はオフサイドがないので極端にここまで引っ張ってもOK(です)。でこうやって引っ張ることによって相手DFが下がらざるを得なくなるので。まあスイーパーは1人いるんですけど。

やっぱりこういったスペースができるので、逆にここ(の空いたスペース)にさらに中盤の選手が引っ張れば、ここに大きなエリアができて、ここでは(DFが)1、2、3、4、5人いて、(OFが)1、2、3、4(人)っていうような形がベーシックな形になるので、ここで数的有利を作って攻めていくっていうような形が多く見られます。

なのでサッカーでは深く攻めることができないんですけど、(ホッケーでは)FWが攻めることによって中盤エリアが空いてスペースを作ったりとかっていうのはできたりします。

ホッケー編⑥-2 ロングボールの戦術的活用

Q:ロングボールをどのように活用するのかを教えてください

ホッケーはボールも硬いですし、スティックも硬いので安全にプレーするために、基本的には先に(落下地点に)入った側が安全にボールを取れるようにルールが定められています。

例えばですけどここにスクープ(ボール)を上げるとしてここから上がった時に、先にDF側が入ってボールが上がってきたら、そこでやっぱり邪魔するともしかするとケガのリスクもあったりするので先に入った側が優先権を得ます。

ただ今はルールが少し変わって、基本的には(優先権を持たない選手は)5m離れなきゃいけないんですけど、その前でインターセプト、ボールをカットできればOKになってます。なので基本的にはこういった長いボールであれば予測(を)DFはしやすいので、先にDFが入ってボールを奪うっていうのが結構多いと思います。

ここは本当に難しくてアンパイアによって少し変わったりとか。僕は現役の時に「オーライ、オーライ」って先に入ってなくても、「オーライ、オーライ」っていうと割とマイボール(になったこともありました)。DFやってたんですけどこうやってシグナル出すとここ落下点(だ)な(と判定されることもあった)。で逆に落下点の予測が全然違って後ろだったりとかもすることもあるんですけど、それ野球のフライと一緒で結構「あるある」です。

でサークル内にスクープ(ボール)を(入れることもあります)。例えばですけどここにボールがあってパスした瞬間に意図的に下がる。ここから下がっていってここにピンポイントでボールを上げると、ピンポイント(のボール)なので(DFが)5m以内に寄るとペナルティコーナー(PC)になったりとか。

最近はこういうシーンが多くてもう一瞬でもマークが少しでも空いてたら、FWが少し引っ張ってハイボールでサークルに入れて、相手は5m離れてないといけないので(ボールを)コントロールして、止めてすぐ打てば相手は5m離れた状態から来るので、結構時間があったりとかしてもしくは(DFが)慌ててPCになったりとかシュート打てるっていうシーンは多く見られます。

なのでスクープボールっていうのはかなり戦術的に使われることが最近では多く見受けられます。一昔前まではサークルにスクープ(ボールを)入れるってのはあんまりなかった(です)。

世界的にプレスの形が変わってきたっていうのもあるんですけど、マンツーマンマークからゾーンマークってのが移り変わってきて。マンツーマンだとやっぱりスクープ(ボール)っていうのはあんまり有効ではないんですね。DF(の選手)につかれているのでDFがスクープ(ボールを)処理すればDFボール(になるからです)。

ただ(最近のトレンドは)ゾーンマークなのでこういったエリアが結構空いてくる。ゾーンマークなので そういったところにわざと(OFの選手が)入って、下(グラウンダー)のボールもそうなんですけどハイボール(を)出して、相手が(5m以内に)寄れないのでここで受けるっていうような、あいだあいだで受けていくスクープっていうのが最近では多いかなっていう風に感じます。

それこそショートスクープ(ボール)とか(もあります)。スクープ(ボール)って大体ロングが多いんですけど、ただ飛ぶ距離がやっぱり半端ないので男子の場合は。本当(に)飛ばせる人は自分の(陣地の)サークルトップから相手(陣地)のサークルトップ近くまで飛ばせる選手もいたりとか。ただ逆にそれが仇となってすぐボールを失っちゃって、守る時間が長いっていうのもやっぱり問題ではあります。

Q:少しでも距離感などが狂うと簡単に相手にボールを奪われてしまう訳ですね?

やっぱりボール(を)持って相手を動かす(方が楽で)。自分たちがリアクションするとしんどいじゃないですか。常にリアクション リアクションしてるんですけど、自分たちが思うように動けばそんなにしんどくないっていうか。

それを僕たちがさせられることが多くて守備に時間を割いて攻撃の時に疲れちゃったみたいなことがあるんで、多分FWとかも3分とか4分とかで(交代するのは)、プレスもかけに行かないといけないし、点も取らないといけないしっていうので、かなり疲労も多いかなっていう風に思います。

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