ホッケー観るなら“サークル”を見る!(その1)

ホッケー観るなら“サークル”を見る!(その1)

YouTubeチャンネルにアップロードした「ホッケー観るなら、“サークル”を見る!」①と②の完全版「ホッケーの基本を知ろう」です。

The version with English subtitles will be available soon.

ホッケーの試合を見ていると、頻繁に試合が止まるように感じます。サッカーに似ている競技に見えますが、どこが違うのでしょうか。
今回は、公益社団法人日本ホッケー協会ご協力の下、男子ホッケー日本代表チーム(サムライジャパン)コーチの山下 学さんにホッケーという競技の基礎知識を教えていただきました。山下さんは東京2020大会にキャプテンとして出場された方です。
本動画作成にあたっては、日本ホッケー協会の皆様、特にサムライジャパンの髙橋 章ヘッドコーチには多大なるお力添えを頂戴しました。厚く御礼申し上げます。

ホッケー編① ホッケーの基本(サッカーとの相違点から)
サッカーとの類似点

ホッケーについてなんですけれども、サッカーとは、11対11という数が一緒で、あとは、サッカーのフォーメーションで、フォーワード(FW)、ミッドフィールダー(MF)、ディフェンス(DF)、ゴールキーパー(GK)というポジションは基本的には一緒で、サッカーと同じフォーメーションをとるチームもあったりします。

サッカーと一緒で、DFだったらサイドバックの選手がオーバーラップしてどんどん、どんどん、攻めに参加していったりとか逆に、FWの選手がディフェンスに帰ってきて守備をすることもあったりするので、パスを繋いで、ショートパスだったり、ロングパスを使って相手のゴールへ向かっていくというところはサッカーと一緒かなという風に思います。

サッカーとの相違点① オフサイド / ボディコンタクト

オフサイドがないので、前にも広く使えますし、横は限られているんですけど、かなり縦に早く攻守が切り替わるスポーツになります。

サッカーではボールコントロールするときに、体を入れて、ボールを奪われないようにしたりするんですけど、ホッケーは基本的にボディコンタクトが禁止なので、そこをどういう風に、体を使わずにボールをキープして相手のゴールに向かっていくかっていうところが、ホッケーとサッカーの違いかなっていう風に思います。

サッカーとの相違点② “サークル”

ホッケーのピッチ(コート)はこういう形をしています。

で、特に特徴的なのは、この半円の、ゴールの半円の「サークル」だと思います。

サッカーはどこから(シュートを)打っても決まればゴールなんですけど、ホッケーの場合は、この半円の中からシュートを打ってゴールに決めることが、ゴールの条件になります。外からボールを打って、ここのサークル内で味方が、誰でもいいので味方が誰か触ってゴールすれば、それもゴールになります。

で、サークルの中で相手、守備側が反則をしてしまうと「ペナルティコーナー」という反則になって、あと、ディフェンス側がボールを奪った瞬間にクリアを基本的にはすると思うんですけど、クリアをバックライン(エンドライン)側にするとペナルティコーナーという反則になるので、かなりこれでの得点率が高い、というのもホッケーの特徴かなという風に思います。かなりディフェンス側が不利な状態に陥ります。

こういった、大きいところでうまくプレーをしても、サークルの中にボールを入れないと得点にはならないので、そういったところはかなり、サークルというのはホッケーでは大事かなという風に思います。

サッカーとの相違点③ スティック

スティック、平らな面と少し丸い面があるのですが、この平らな面でしかボールを扱ってはいけません。

こっちを使うと「バックスティック」という反則になります。

本当にここの面しか使えないので、スティックを、ボールがこっち側にある時はスティックをこう向けて、常にこの面で扱う必要があります。

左利きとかってよく言われるんですけど、持ち方はみんな一緒です。

右に持つことがやっぱり強いとされているので基本的には相手の逆をつく、強いところから攻めるのではなくて、弱いところ、なので相手の守備者がこう立って、僕みたいに立っているとしたら、左側を攻めることになるので、戦術で言えば右サイドから、自分たちの右サイドから攻めましょう、というのがホッケーの、相手の弱いところから攻めるというので右サイドから攻めることが多いです。

サッカーであれば、自分の体なので、ある程度強く力を入れたりとか簡単だと思うんですけど、ホッケーの場合は、このスティックに対して強いボールをこう、少し力を入れるのか、そのままボールをいなして止めるのかっていうボールコントロールがすごく大事になってくるので、物を使うっていうのはかなり難しいかな…っていう風に思います。

かなり硬いです。

野球の硬球くらいの大きさで、ゴルフボールに近い硬さぐらいだと思います。ボールがこの大きさで、スティックの面というのがこれだけしかなくて、実質、面から少しボールがはみ出るくらい、ボールの方が大きいです。

なので、これを、強い球をしっかりと止めてボールコントロールするというのは、ホッケーではかなり難しいことかなっていう風に思います。必ずしもボールが転がってくるわけではなくて、少し跳ねてきたりとかするので、そういった、跳ねた時に対して、スティックをどういう風に向きを向けると止まるかっていうところが、かなり技術の高い選手であればしっかりと思ったところにボールを止められますし、ホッケーを見ている中で、ボールコントロールを上手にできている人は「すごい!」と思ってもらって結構です。

(ホッケーは)ミスが多いんですけど、やっぱりトップチームになるとそのミスが少なく、その差がやっぱり世界との差なのかなっていう風に感じます。

サッカーとの相違点④ 安全面

足に(ボールが)当たると反則になりますし、あとは、膝より上に(ボールが)上がるとデンジャラスボール、危ない、そういったルールでホッケーは守られているんですけど、安全性を。少しでも膝より上に(ボールが)上がると、必ず審判が笛を吹いてくれますし、あとは、スティックとスティックがぶつかるとまぁ、それも反則。これは「たたく」という行為がやっぱり元々のホッケーの起源が「紳士のスポーツ」なので、そういった「汚い反則」というか、というのは基本的にはなくて。かつ、やっぱりボールが速いので、そういった危ないボールに関してはかなり厳しくアンパイアリングされます。

サッカーとの相違点⑤ 選手交代

やっぱり大事なところで体力がないと最後のゴールまで行けないので、本当に戦術的にどこのチームも3分から4分で交代するチームがかなり多くなってきたと思います。15分を4クォーターやるんですけど、昔は35分の前後半だったので交代を、ホッケーは(交代が)自由なんですけど、あんまり代わらなかったですね。ただ、最近15分の4クォーターになって、スピードがかなりハイテンポになって、FWの選手なんかは3分から4分、3人FWはいるんですけど3枚を総入れ替えする、その繰り返し。MFも攻撃と守備を担っているので、本当に出場時間が4分から3分で試合をしている感じです。

ホッケー編② ホッケーの試合が止まる時

試合が止まる反則① オブストラクション

ホッケーではスティックだけでボールをコントロールするのでサッカーのようにボディコンタクトをするとすぐ反則になります。あとはボールを奪われないように、意図的にこう隠すっていうのは、これも反則になります。オブストラクションってなるんですけど。

意図的に隠すのではなくて、基本的にはしっかりと、正々堂々じゃないですけど、行くっていうのがホッケーの流れであって、それをやってしまうと反則、なのでそういったプレーが結構頻繁にあるかなっていう風に思います。

試合が止まる反則② インターフェア

やっぱりスティックとボールが付いている時にボールを奪おうとすると、スティックを叩いてしまう反則はかなり試合の中で多くて、ホッケーのプレーが止まるっていうことがかなり多いかなっていう風に思います。

試合が止まる反則③ デンジャラスボール

「デンジャラスボール」、ボールをコントロールするのはなかなか、打つ時難しいので、膝より上に上がったボールがデンジャラスボールで試合が止まるってことが多いかなっていう風に思います。

試合が止まる反則④ ボディ(キック)

ボールが太ももだったり、上半身に当たると反則になり、相手に囲まれた時に意図的に脛だったり足に当てて反則をとって、そこからリスタート。

で、リスタートする時も相手側が5メートル離れないといけないので、近いところで取って、その場からすぐにリスタートして抜け出せば、反則取られたDFは関与できないので。そういった戦術をとるチームもあったりします。

試合が止まる反則⑤ バックスティック

レベルが上がっていくにつれて(バックスティックの反則は)やっぱりないんですけど、「リバースヒット」っていうシュートをする時にはここで打たないと、ボールを、いけないのでかなり難しくて。やっぱり、こう叩いてしまうことが多くて、リバースで打つ選手がいる時は結構、逆に「バックスティック」っていう反則が多いんですけど、基本的にはあまりないかなっていう風に思います。

特に、やっぱりスティックを叩くっていうプレーがホッケーでは反則、止まる要因かなっていう風に思ってます。特に、サークル付近ではないところでは、足に当たるだったりとか、スティックを叩いちゃうっていう反則がかなり多いかなっていう風に思います。あとはセットプレーでボールを打ち込んだりとかする時に、ボールが浮いてきてデンジャラスなプレーということで反則になることも多いです。

試合の再開方法① フリーヒット(ボールがバックラインから出た場合)

サッカーでいうゴールキックっていうのは、攻撃側が、攻撃がアタックしてるゴールのバックライン(エンドライン)にボールが出ると守備側が、GKがやるのではなくて、フィールドプレイヤーが、このサークルのトップのどこからでもいいのでここからリスタートするっていうのが、ゴールキックみたいなフリーヒット、「ビハインド」っていう風になります。

あとは、ディフェンス側が当たって、バックライン(エンドライン)にボールが流れると、出た場所からの延長線上の23mラインからリスタートになります。

で、23m(ライン)から攻撃する際は、直接サークルには入れられなくて、5mを動かしてからサークルインしないといけないという反則になります。

試合の再開方法② フリーヒット(反則が起こった場合)/ ペナルティコーナー(サークル内)

何か反則があった時には「フリーヒット」と言われるんですけど、フリーヒットっていうのは反則があった地点から「セルフパス」という言い方もするんですけど、昔は反則のあった地点で、必ず誰かにパスを出さないといけなかったんですけど、今はもう反則をとった選手が自分でリスタートできるっていう方法になって、よりホッケーのスピード感が増したので。反則があるたびに止まるんですけど、そこからのリスタートが自分でできるようになったのでボールが近くにあればそのままリスタートできたりするので面白いんじゃないかなっていう風に思います。

あとは23mより外と中はかなり重要なんですけど、この23mの(内側の)エリアでは、フリーヒット、例えばここで反則があったとして、ここから直接サークルには入れられない。必ず5mドリブルするか、誰かにパスして、サークルに入れる。この点線とサークルが大よそ5mあるんですけど、この間で反則になってしまうとサークルには入れないので、右に行ったり、左に行ったり、下がったりして、ボールを入れたりします。

(23mラインの)外で反則があれば、ここから直接打つことができます。戦術が少し変わってくる。

なのでよくあるのは、ギリギリ23mより外にある場合は結構打ち込みが多かったりしますし、ここで、23mの中で反則があった時はやっぱりドリブルでリスタートしてすぐ入れるか、回して打ち込むか、っていう戦術が結構多いと思います。

であとはサークルの中、攻撃側が反則をしてしまうとフリーヒット、サークルのトップからリスタートになります。

で、守備側が反則をしてしまうと「ペナルティコーナー」のセットプレーになります。

試合の再開方法③ ペナルティコーナー(サークル外)/ ペナルティストローク

サークルに近く、かつ23m(ライン)の中で、守備側からしてみたらやっぱり、危ない。サークルに入られると得点のチャンスがあるので、守備者は危険だと思って、サークルの外でタックルをしてボールを奪えればペナルティコーナーのリスクもないので、よくホッケーの試合ではあるんですけど。

このサークルの近くになるにつれて、ボディタックルだったり、体で止めてやろうという守備者がかなり多くいて、それで攻撃の進路を妨害して、思い切りタックルして、ラグビーみたいに思い切りタックルして、ボールを奪うという行為は反則なので、そういった場合はサークルの中に関わらず、ペナルティコーナーを与えることがあります。

あとは、サークルに入ってきてそういうような行為、得点チャンスにも関わらず、故意にスティックを叩いたり、ボディコンタクトをすると「ペナルティストローク」。これはサッカーでいうPKみたいな、GKと1対1のここから「ペナルティストローク」という形になります。

この得点(が入る確率)はかなり高いと思います。稀にGKが止めるんですけど、やはりシューターの方が優位なのでこれはやられないように、守備側も気をつけて守っています。

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