ホッケー観るなら“サークル”をみる!(その6)

ホッケー観るなら“サークル”をみる!(その6)

YouTubeチャンネルにアップロードした「ホッケー観るなら、“サークル”を見る!」⑧−1から3の統合版「ペナルティコーナー(PC)」です。

ホッケー編⑤では、ホッケーの試合における守備のセオリーについて学びました。

今回は、公益社団法人日本ホッケー協会ご協力の下、男子ホッケー日本代表チーム(サムライジャパン)前・コーチの山下 学さんにホッケー特有のペナルティコーナー(PC)について教えていただきました。山下さんは東京2020大会にキャプテンとして出場された方で、現在現役に復帰されて再び日本代表として活躍されています。

本動画作成にあたっては、日本ホッケー協会の皆様、特にサムライジャパンの髙橋 章ヘッドコーチには多大なるお力添えを頂戴しました。厚く御礼申し上げます。

パート⑧−1 ペナルティコーナー(PC)とは?

ペナルティコーナー(PC)はかなりの得点率が多くて、試合の中でももう勝敗を決めると言っても過言ではないセットプレーになります。

※第15回FIH男子ワールドカップ(2023年)では1試合平均で10.45回のペナルティコーナー(PC)が与えられて2.14回が得点に繋がり(成功率20.4%)、総得点の37.8%がPCからでした。

こういったところでパスを出してここからドラッグフリックで得点を決めるっていうのが基本的なPCの形になります。ディフェンス(DF)側はゴールキーパー(GK)入れて5人しか守れないので、攻撃(OF)側は何人人数かけても大丈夫です。

なのでこの半円の中でGK入れて5(人のDF)対、極端なことを言うと(OFは)10人でもいい、圧倒的にDF側が不利なセットプレーになります。なので得点の確率が上がるということです。逆に言ったらPCを決められるチームっていうのがどんどん上位にいくっていう上では、(PCは)かなり重要な役割かなっていう風に思います。

ドラッグフリックを打てないチームもあるので、こういった時はここからヒット(でシュート)を打って、ヒット(でシュート)を打つ場合はゴールのボードより上は反則なので、必ずボードより下に打たないと得点にはなりません。

(ドラッグ)フリッカーに関してはプッシュの延長線上のドラッグフリック(でのシュート)なので、打つということはしないのでこれに関してはゴールのどこ(にシュートを)打っても得点になります。

あとはタッチシュート。打ったボールを触れば、触って(ボールを)浮かすのであればボードより上でもゴールになります。

※公益社団法人日本ホッケー協会「ホッケー競技規則」には「フリックやタッチシュート及びスクープによるシュート及びヒットによる2打目以降のシュートにおいては、 危険でない限りボールはいかなる高さに上がってもかまわない。」という記載があるので、 2打目以降であればヒットによるシュートでも高さは問われません。

PCが“終わる”時 (ルールブックでは「完遂」と表記されています)

フリッカーがここからシュートを打って枠に外れるか。ここでパス出してミスしてこの点線、あるんですけどホッケー特有の(点線が)、ここの外に(ボールが)出たらPCの解除(完遂)になって。

※公益社団法人日本ホッケー協会「ホッケー競技規則」では他に「得点が入った時」「守備側チームにフリーヒットが与えられた時」「ボールがバックラインから外へ出され、PCが与えられなかった時」「守備側が反則を犯したが、その反則に対するPCが与えられなかった時」「ペナルティストロークが与えられた時」もPCは完遂されると記載されています。

もし(ボールが)ここの点線(の外)に出てからもう一回サークルに入ってシュートを打った場合は(PCから)フィールドプレーに戻るので、(打ち方が)ヒットであろうが何であろうがボードより上でもOKです。

(各クォーター(Q)の終了を告げる)試合のホーンが鳴った時にPCだった時、(各Qの時間が経過して)試合が終了した時にホーンがなるんですけど、そうなった時にPCになっていた時は、普通時間内のPCであれば点線(の外)に出たらフィールドプレーになるんですけど、試合終了になった後のPCであればそのまま試合終了になるので、ラストプレーのPCはOF側は点線より外には出さないようにしないといけないので、かなり注意しないといけないシチュエーションかなっていう風に思います。

パート⑧-2 ペナルティコーナー(PC)での役割

攻撃側選手の役割

攻撃側に関しては特殊な役割をする選手がいます。ここからボール(を)出すんですけどこれがインジェクター。パスを出す選手。

でここにボールを止める選手がストッパーっていうので、今世界的にも国内的にも2つセットすることが多いです。

でドラッグフリックのスキルを使ってゴールに得点を入れる(ドラッグ)フリッカーっていうのが基本的にはストッパーとセットでいます。

あとはタッチシュートも可能なので、タッチシュートをする選手が基本的には2人もしくは3人います。

でもしここでミスした時にカバーする選手。

あとは守る時には4人フィールドプレイヤー(が)ゴールの中にいて、それ以外(の守備側の選手)はハーフラインより逆側にいないといけないので。

こういうところでカウンターもしくは守備に帰る選手がいるので、カウンターを防ぐための選手が2人ほど後ろにいます。

(インジェクターが)正確にストッパーへのパス(を出す)。でストッパーは確実に止める。でフリッカーがその止めたボールに対して、思い切って助走をつけて入って打つことができる。この一連の流れが完璧にならないと(得点は)決まらなくて。

パサー(=インジェクターからのパス)がずれました。フリッカーは(パスが)ずれないという下で助走つけて(シュートを)打つので、そのタイミングがズレるともう全然、すごいいいフリッカーでもやっぱり外したりとか、そのチャンスをみすみす失なったりもするので、インジェクター、ストッパー、フリッカー、これがワンチームでする作業だと思います。

そのチームにフリッカー、ドラッグフリッカーっていうのが、いい、確実に決めてくれるっていうような選手がいるかいないかで、やっぱりチームの差っていうのを感じます。

守備側選手の役割

ディフェンス(DF)側は基本的にはフリッカーに対して1番2番3番4番っていうような役割があって、ボールに対して一番目に当たりに行く選手が「1番騎」。その次に前に出ていく選手が「2番騎」。でゴールキーパー(GK)の右側にいるのが「3番騎」。でゴールキーパー(GK)と横に左側にいる選手が「4番騎」。

基本的には「1番騎」は最初のフリッカーのボールへのプレッシャー(に)行く選手。もしくは(相手のシュートの)コース(を)限定させるために身体を張って守る選手がいます。

で「2番騎」に関しては「1番騎」が躱された、フェイントで躱された時に2番目に行く選手なのでそこの駆け引き。もしくはタッチシュートも来るんでそこの(シュートを)防ぐ。バリエーション対応(を)する選手が「2番騎」だと思います。

で「3番騎」に関してもゴールに割と近いところでリバウンド。もしくはこれもタッチ(シュート)どこからかタッチ(シュートが)来るんでそのタッチ(シュート)のカバリング。で「4番騎」に関してはGKが守りきれないエリアを守る。

でPCに関してはフィールドプレーでは使わない両手のグローブだったりとか、膝を守るプロテクターだったりと、フェイスマスク、顔にボールが当たっても危なくないような、PCだけ使えるマスクっていうのもちゃんとあって、少なからず安全に守れるようにはなってます。

ゴールの中を守るので。速いボールがかなり通ってくるのは確実なので。そういったところで骨折だったりとか、生命に関わるところなので、見てる側はかなりスリリングな感じなんですけど、守ってる側はかなりヒヤヒヤするような形です。

パート⑧−3 ペナルティコーナーでの駆け引き

バリエーションのつけ方

ストッパーが2人いて、このままストッパーが動かずにその場で、パサー=インジェクターがボールを出してストレートに打つパターンと、ストッパーが右か左にわざとずらして相手の守備者を混乱させるようなプレーもあったりとかします。

あとはタッチシュート。相手の守備陣形を見て、自分たちから見て右サイドからのタッチシュートだったりとか、もしくは左からのタッチシュートもあります。

あとはこのストッパーが(ボールが)出た瞬間に(前に)抜けてって、このフリッカーが(シュートを)打つふりして、後ろの選手の、前の選手(に)通して(シュートを打つ)、1人目の選手が打つふりしてその後ろ(の選手にパスを)通して、もう1人の選手がフリックを打つっていうような形のフリッカー同士のバリエーションもあるので、結構面白いと思います。

PCを有利にする駆け引き

アタック(の確率)を高める上ではやっぱり基本的にはメインのフリッカー、確実に決めるっていうフリッカーがチームに1人もしくは2人いることが前提。例えば(フリッカーが)2人いればどっち(にボールが出て)来るかわからないんで的を絞れないんですよね。(フリッカーが)1人であればもちろん(的を)絞れるんですけど、それでもやっぱり決めてくるチームがやっぱり強いし。

あとは相手の出方を見てバリエーション、メインのフリッカーがいて本当だったら普通に(シュートを)打ったら入るけど、それを守られた時に相手が守ってくるのをかわしてバリエーションを使うとかなり確率が上がったりします。で逆に守備は相手がどういうところが得意なのかだったりとか、相手はどういう風に入ってきたらここに(シュートを)打つのかとか、相手のバリエーション、タッチ(シュート狙い)で入ってくる選手のスピード感を分析して、毎回ゆっくり入ってくるけど、バリエーションの時だけはダッシュして(入って)くるとか。

そういった予測っていうのが駆け引きがあって、そこで駆け引きに勝つと(ゴールをされる)確率はかなり下がると思います。

PCのための戦略的交代

基本的にはタイムテーブルっていうのをしっかりと2人のフリッカー、2人のストッパー、1人のインジェクターが(ピッチ上に)いるように、チーム内で(予定を)組み立てて(計画的に交代を)やってたりしますし。

結構傾向があってフリッカー、ドラッグフリッカーっていうのが結構DFに多いんで。DFは結構割と長い時間(試合に)出てるんでドラッグフリッカーが(ピッチ上に)いないっていうことはあまり正直なくて。ただストッパーだったりとかインジェクターっていうのは割と前(FW)の選手なんで、コロコロ代わってる状態なんで(ピッチ上にいないことが)あり得るかなっていう風に思います。

どっしりしてる選手がやっぱり足腰が強いというか。なので(ボールを)引っ張ってって強い球を打てる選手が、やっぱり下半身(が)しっかりどっしりしてるんで、そこから放たれる(強い)シュートがドラッグフリックなんで、基本的にはやっぱり(ドラッグフリッカーには)DFの選手が多い。割とどっしりした選手がDFラインやっててドラッグフリッカーっていうのが多いかもしれない。

(交代ミスでピッチ上にストッパーが不足して)ダミーでストッパーの形だけとって、実はメイン(のストッパー)はこっちでしたっていうのも結構「あるある」で、逆にそういうチームだとフリッカーが出てなくて(PCを)とってもあまり意味がなかったりとかもするので、そこはある意味駆け引きかなっていう風に思います。

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