YouTubeチャンネルにアップロードした「バレーボール観るなら、メンタルを見る!」⑦ー1から5の統合版「ディフェンス」です。
バレーボール編⑥では、バレーボールで重要なセッターとリベロについて学びました。
今回も、全日本男子バレーボールチーム監督や(公財)日本バレーボール協会の女子強化委員長などを歴任され、現在(撮影時)は大同生命SV.LEAGUE WOMENに所属するPFUブルーキャッツ石川かほくのGMでいらっしゃる寺廻太さんにバレーボールのディフェンスについて伺いました。
ぜひ観戦の際に参考にしていただければと思います。
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パート⑦-1 ブロックとフロアディフェンス
なんで(ディグが)上がるんだろうなって言ったら、もう位置どりなんですよ、もう。上がるところに(選手が)いるからです。そこに(選手が)いるから(ディグが)上がる。
であとはワンタッチで来たボールは飛び込むのは、これはもうファインプレーだから。だからその辺も見てもらいたいなって(思います)。
で一番多いのはレフト/ライトの普通のトスなんですけど。そうなるとブロックがこう揃うじゃないですか。こう(相手は)レフトから打つ訳ですよ、レフトから。(ブロックが)2枚きれいに揃った時って。
基本的ですよ。基本的には、(攻撃が)ブロックの内側から来る場合は、こういうコースに来る訳ですね。だからこういう(コースに来る)。わかりますよね。こういう風に来る訳ですよ。

だけどこのミドルブロッカー(MB)がクイック(へのブロック)に飛んじゃったり(して、ブロックが)1枚になった場合は、だからこれ(=MBがい)ないから、要するに(相手の攻撃は)こう(いう範囲に)来る訳ですね。ここも来る。ここも来る。ここも来る訳です。

でそういう時に、(ブロックが)1枚になったといった時に、ディフェンスはこういう風(なポジション)になるんです。
Q:扇形ではなく横並びになるのですか?
この(ポジションが)扇形になると(相手に攻撃を)ここに打たれた時に、こいつ(=選手)が(ディグに)行ったり。こいつ(選手)が行ったり。こいつ(選手)が行ったり(して混乱)するんですよ。
だから今世界の主流のチームディフェンスっていうのは(ブロックが)1枚になった時に。基本ですよ。基本ここにでかいマットがこう(あるような)。こう。こうなる訳ですよ。こうなる訳(です)。

そうすると、(ディグが)上がる/上がらないは別にして、(相手の攻撃が)どこに行っても(守備の選手の)体には当たる訳(です)。
例えば反対にMBが、(MBが)速いの(=攻撃のブロック)へ行くと、(サイドにブロックに行くのに)遅れちゃって、ここの(ブロックの)間が空いちゃうっていうことは、ここに(相手の攻撃が)来る訳ですよね。でここに(相手の攻撃が)来る。
だから(相手の攻撃が)来る空間を必ず人(=選手)で埋めていくと、(ディグが)上がる/上がらないは別にして、ノータッチで(コートに)落ちるボールが減るんですよ。だから(ブロックが)空いたここ(のコース)に(守備の選手が)入っちゃうんですよ。だからそういうことを確実に。
だから(ブロックが)2枚ついたら、綺麗に行ったら、ここは(守備の選手が)1枚でいい訳ですよ。(相手の攻撃が)これ(の幅の中で)で出てくるなら。でそうなるとここはワンタッチボールが(飛んでくる可能性が)あるから、ちょっとこう(いう風に)後ろ目に構えておいて(備える)。

だからそういうのが、その、チームディフェンスっていうか、そういう風になっているんです。世界のバレー(ボール)って。
だから例えばよく日本なんかが(使う)バックアタック。石川祐希(選手)とか髙橋藍(選手)が(バックアタックに)入った時って、(ブロックがMBの)1枚になりがちなんですよね。
※石川祐希選手・髙橋藍選手:いずれもパリオリンピックに出場した男子日本代表のアウトサイドヒッター
だから(相手のバックアタックは)必ずこっちかこっちに打ってくる訳ですよ。でそこに(守備の選手が)入るんだけど(石川選手や髙橋選手のバックアタックは)上回っちゃうんですね、スピードが。後ろから行くから、バァーンって。

でもね、(バックアタックが来るところに守備の選手が)入ってないチームもある訳(です)、こう。だからそういうチームは(基本的なことが)何にもできてないっていう(ことになる)。
その形、(ディグが)上がる形を如何に模索して、データを見て、この子(=選手)はこうやってこう打ってくるから、パーっとここに(守備ラインを)引いて(備える)、(相手の攻撃を)取る訳ですよ。だからバレー(ボール)って(ディグが)上がるべくして上がって、やっぱり上がらないよね、それ(=その状況)じゃっていうことなんですよ。
パート⑦-2 3枚ブロック
Q:ブロックが3枚揃った時の考え方はどうなりますか?
(相手の攻撃が)抜けてくるところを押さえていくんですよ。で(ブロックが)3枚ここ(に)来てるとどうしてもやっぱり、ここって超インナー(コース)しかないじゃないですか。

でここを押さえるのか。それとも対角を押さえて。こいつ(=ミドルブロッカー:MB)をワンタッチ(ボールを)押さえて、こいつ(=セッター:S)はフェイント(のカバー)に入るのかとか。それ(は)チームでもう約束事を決めればいいんですよ。

でこいつ(=アウトサイドヒッター:OH)はやっぱり(ブロックが)3枚来ると、(アタックを)かち上げてワンタッチ(で得点を)狙うか、ここの超インナー(コースを)狙っていくか。でも難しいからこう対角(へのアタック)だったら(ブロックの)上からいけるよねって(考える)。であとフェイント。ここに(守備が)位置してないんだったら、フェイントをここに持っていってもいいじゃないかって、フェイントをって(考える)。
だからそういう目で見るとバレーボールってすごく面白い。

Q:ブロックに3人使うとその分フロアは広くなりますよね?
なります。でもブロックが3枚揃うと、(アタックを)打つ方は間違いなく嫌なんですよ。だからフェイントしたり、(アタックを)長くいったりし始めるじゃないですか。だからそれをレシーブする。フェイントをレシーブするっていう。
だから3枚(ブロック)のやっぱりリスクとやっぱりパワーポイントって、やっぱり(ブロックが)3枚になった時ってやっぱり相手がプレッシャーかかるんで、(アタックを)すごく強くもう本当にバーンって打ってくるのか、フェイントが多くなります、間違いなく。だからその辺のあれ(=駆け引き)も面白いですよね。
でもこれ(ブロックが)3枚いけないぞって思った時に、でもこいつ(=オポジット:OP)がハードワークして3枚目(のブロックに)行って、シャットアウトするんですよ。(そういう場面が)あるでしょ?。こいつ(OH)は(3人目のブロックが)来てないと思って(アタックを)インナー(のコース)に打ったんだけど、(3人目のブロックが)後から来て、(ブロック)3枚でバーンって、3枚目が(ブロックで攻撃を)止めちゃうってあるじゃないですか。あれもバレー(ボール)の醍醐味ですよね。
そうか、遅ればせながら(3枚目のブロックが)行って仕留めたかっていう(場面がある)。でも(アタックを)打った方は、あー(3枚目の)ブロック来てなかったのに後から来やがったかみたいな。そういうのもバレー(ボール)の面白さ(だと思います)。
パート⑦-3 ハードワーク
例えばライトからこいつ(=OP)が(スパイクを)打ってくる。こいつ(=MB)が(ブロックに入るのが)遅れる。(MBはブロックに)いない。バッてこう(フォーメーションを取ることが)できる。

そのブロック、(相手の攻撃が)クイック(で自チームのブロックが)1枚になった。こう(ブロックの)両サイド(を)抜かれる(可能性がある)。そのポジション取りをパッ、パッ、パッ、パッてやって、また戻ってブロック(に行く)。またこうグッ、グッていう、その、その動きを。
ラリーが続くじゃないですか。(攻撃)一発で決まらなかったら、またブロックに戻る。レシーブに(入るために)引く。その動きを、(相手に攻撃を)打たれる時にこう(いう風に)待っているっていうことが、確実にできるチームは世界のトップ(レベル)のチームですので。

改めてそうやって(バレーボールを)見てると、あ(そういう動きに)なってる、なってる。おお(確かに)そう(いう動き)だ、そうだ。(確かにレシーブのために)下がってる、下がってるって(なっている)。
ああ今のちょっと打たれる時にもう、まだ(ディフェンスの位置取りが)間に合ってなかったよねとか、(攻撃が)速すぎたから。だからハードワークなんですよ。
だからこう(いう風に)ブロック(に)飛ぶ。(ブロックで)ワンタッチ取ったら、これ(=MBは後ろに)下がる。(他の選手は)こう(ディフェンスの)ラインを引いてた。でもすぐ(元のポジションに)戻る。
もうそのハードワーク。ハードワークを如何に速く、もうそれもしっかりできるチームが間違いなく強いです。
Q:そうであれば長いラリーになればなるほど疲れますね?
(長いラリーは)疲れる。でそれでインターバル(に入る)じゃないですか。でも絶対(選手の)呼吸は(完全には)戻らないですよ。だからバレーボールってやっぱりトップ選手がいて、強いチームはやっぱり(選手がしっかりと)ハードワークをする。
だから一つのそのトスからのディフェンスも、ああ今のはなんでワンタッチ取ったんだろうと(考えてみる)。ああ(ブロックに)ヘルプ(に)行ってるんだとか。
なんかそういうそのブロックとディフェンスの関係がすごくこうやっぱり、すごいなと思うのはやっぱりフランスはすごいですね。ミドル(ブロッカー=MB)の動きが。MBの横の動きとその辺(=ブロック)の高さも見ていただくとやっぱりすごいですね。やっぱりイタリア、フランス、ポーランド(などはすごい)。
だから日本だってもうあの速い平行(トス)を、(速い平行トスが)ここへ来るって言ってもう。セッター(S)がこうそのスピードで(アタッカーが)来るからって言ってもう、助走してピンポイントで(速い攻撃を)打ってくる訳でしょ。(相手は)その速さにパンって早く対応しなきゃいけないから。これを踏まえてみると(バレーボールが)また面白くなってくるんですよ。
であとはデータで(ポジション取りが)微妙に変わってくる時はありますよね。(相手は)あんまりこっちには打ってこないから、こいつ(=MB)は(反対側に)残っておこうとか。

だから強い気持ちがないとハードワークもできないしね。だからトップ(レベル)に行くとやっぱり、それ(=メンタル)が一番大事ってことだと思いますよ。
パート⑦-4 ブロックの駆け引き
Q:キルブロックはバレーボールの醍醐味の一つですよね?
で僕プレイヤーやってたんで、(キルブロックが)一番気持ちいいですね。スパイクを決めるよりも、キルブロックした時の方が一番気持ちいいですね。でアタッカーって(攻撃を)決めてナンボじゃないですか。でそれ(=攻撃)をシャットアウトするっていうのは(気持ちいい)。だから(通常スパイクを)打ってるやつ(=選手)も、石川祐希(選手)とかサイド(アタッカー)のやつ(=選手)がブロックした時ってめちゃ喜ぶでしょ。

でミドル(ブロッカー=MBにと)って(ブロックは)もう俺たちの仕事だから、もちろん(キルブロックは)嬉しいんだけど、「よしよしよし」ぐらい(の喜び方)なんだけど、サイド(アタッカー)のやつ(=選手)って、自分(のスパイク)がシャットアウトされた時のショックがあるから、うわーみたいな相手を威圧したり。ちょっと。
でそこでやっぱりまた、このなんていうんだろう。お互いの精神状態の戦いが、せめぎ合いが。だからタフじゃないとダメなんですよ。タフじゃないと。
Q:アタッカーの傾向に基づいてブロックの位置を決めるのですね?
そうです。そうです。それで(どう守るかの)準備をするんですね、まずね。レフトからの石川(祐希選手)はこのコース(に打ってくること)が一番多いとか。で対戦相手はそれで準備を(どう守るか)する訳ですよ。
Q:ブロックの駆け引きの中で斜めに手を上げるブロックもありますよね?
あります。でもあんまりやらないですね。ヨーロッパ(のチーム)で。なんでかっていうと、(ブロックが)揃った時の(ブロックの腕が)前に出ちゃうんで、(スパイクを)インナーに打っても(ブロックに)かかっちゃうんですよね。(斜めに手を上げなくてもブロックが)高過ぎて。

だから(相手のブロックが)1枚半くらいになってないと、やっぱり石川(祐希選手)とか髙橋藍(選手)は(相手のブロックに)やられちゃいますよね。だから2枚目のMB(のブロック)が完成する前に(日本選手はスパイクを)クロスに打ちたいし。(相手のブロックが)完成したんだったらストレート(に打つこと)で、こっちに(ワンタッチを取ることを)狙いたいし。
でもそれも(できそうも)なかったらリバウンドを取るか、(ブロックの上を越す)っていう形はやっぱり多くは(なります)。だから(相手のブロック)に綺麗に付かれると(日本の攻撃や)やっぱり厳しい。厳しいですよね。
Q:アタッカーは相手を見てスパイクを打っているのにきちんとブロックが完成するとキルブロックをされてしまうのですか?
されますよね。自分じゃあこう、ブロックのインナー(のコースにスパイク)を打ったつもりでも、予想以上に(相手のブロックの腕が)前へ(出てきていてスパイクが当たる)。その時ってシャットアウト(されたボール)が半端なく(コートに)落ちますから。
Q:パリオリンピックで日本チームが手を握ったブロックを行いましたね?
あれは石川(祐希選手)が編み出したんじゃないかな。それか最近(よく)やっているのかな。すごいよねあれ。1本ハマりましたもんね。今回(パリ)オリンピック(で)。すごいなぁと。
でもあれ危険は危険ですよね。でもグーの(形で腕を上げる)方がいいかもしれない。(ブロックの腕)外すと(相手のスパイクが)真下に来るかもしれないから。本当に一瞬の、打つ瞬間に(ブロックの腕を)下げないと、ちょっと早く(腕を)下げたら(アタッカーは)わかりますから。
だからあれも駆け引き。でもあれもやっぱり、バレーボールをやってる上での面白さですよね。
日本代表のブロック
Q:日本代表の戦術として「コミットブロック」も採用しているのですか?
実はさっき(言ったように)、日本のミドルはちょっと弱いんで(コミットブロックを採用することがある)。他(国)のチームはもうコミット(ブロックを)することはないですよ、ほとんど。フランスもイタリアも。もうほとんどリード(ブロックを)主体で行って。
※リードブロック:セッターがトスを上げたところを見極めてからそこをブロックする方法
コミット(ブロックに)しちゃうと(相手は)コミット(ブロックを)してるのがわかるから、必ずセッター(S)はサイドとかに(トスを)振ってきますよね。(そうするとブロックが)1枚になっちゃう。
Q:コミットブロックではアウトサイドヒッター(OH)にもミドルブロッカー(MB)にもコミットすることがあるのですか?
まあミドル(ブロッカ=MB)が多いですよね、基本的には。ミドル(ブロッカ=MB)がクイック(を打ってくること)に対してコミットする。でコミットして先に(ブロックに入る)。要するに(トスの)ボールがクイックに上がる前から、先にジャンプして待っているっていう状況(がコミットブロック)ですよね。
だから他に(トス)を上げられたらもう(MBは)ついていけないんで。(サイドのブロックは)1枚で(対応する)。でもそれもOKで、レシーブ隊形を引くんですよ、今日本(チーム)は。でそれ(=サイドのブロックが1枚になること)をOKにしている。でもそれは仕方がないんですよ。もう日本の弱さだから。

Q:サイドのブロックが1枚になることを覚悟の上でクイックを止めようとする訳ですね?
で(ディフェンス)ラインを引いて(ディグを)上げに行こうよっていうのが。(相手のレセプションが)Aパスになった時の男子(日本代表ではこの)パターンが多い。それは他の国もわかってるので。だからそれくらいやっぱりちょっと弱点はある、やっぱり日本も。でもそれでも僕は(日本の)ミドル(MBは)良くなったと思います、前より。
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