カーリング観るなら「FESRAIN」を見る!(その2)

カーリング観るなら「FESRAIN」を見る!(その2)

YouTubeチャンネルにアップロードした「カーリング観るなら、“FESRAIN”を見る!」②-1から4までの統合版「ゲームプラン」です。

カーリング編①ではカーリングという競技の戦術の基本を学びました。

今回も、2002年にアメリカ・ソルトレークシティで開催された第19回オリンピック冬季競技大会に、カーリングの日本代表として出場された松沢美香さんに、カーリングのゲームプランについて教えていただきました。

カーリング選手がどのように考えて競技をしているのかがわかってくると思います。

カーリング編②−1 試合序盤から中盤のゲームプラン

では1エンド目から10エンド目までのゲームプランの組み立て方についてですが、

試合序盤

序盤の1エンド目から3エンド目くらいですね。

ここはアイスの状態がわからないっていう中での試合が始まっていくので、割とアイスを読む、他は自分たちの石の特徴をつかむというのに使われやすいのが1エンド目、2エンド目、3エンド目。

もちろんですね、大会の中盤だったりするとアイスの状況もわかってくるので、そうなるとどれくらい曲がりがあるっていう、どれくらい滑るのかっていうのがわかってくるともっと早い段階で攻める場合もありますが、基本の考え方としてはこの序盤にしっかりアイスの状態と自分たちの石の状態を掴むというのがセオリーなので、割と点数はそんなに動かないっていうパターンがあると思います。例えば(第1エンドは)0対0、で次のエンドに行って2エンド目で2点を取る。

そんなに大きく試合を動かさずに、石の状態アイスの状態を読むことを目的として(試合を)進めていきます。

試合中盤

次に4エンド目から6エンド目、中盤ですね。

中盤になってくるとはいもうアイスの状態石の状態もわかっているので、じゃあここからどんな風に点差をですね、広げていけるかっていうのを考えていきます。

なおかつこの5エンド目と6エンド目の間にですね、ここにハーフタイムがあります。あのテレビでよく見る何か食べたりだとか、コーチと接触したりっていう時間が持てるので、これも含めつつのこの中盤はこの後半のエンドに向けての点数をあまり離されないようにしつつ、自分たちがしっかりリードを保っていけるような形にしていきたいので、割と試合が動いていくのがこの4エンド目。3エンド目、4エンド目くらいですね。

ハーフタイムまでに例えば負けが、点数が開いてるっていうのであれば、5エンド目終わる頃にはしっかり同点で終えたいっていう考えになったり、例えばリードができそうだというのだったらこの6エンド目に向けて、点差 1点差なり2点差なり勝ってる状態で後半に行きたいっていうような考え方をしていきます。

ここでしっかり8エンド目、さっき言った如何にね、10エンド目に後攻を持つかっていう流れでいくために、8エンドに後攻を持つ流れというのを5、6、7、8(エンド)くらいで考えていきます。8エンド目に後攻を持つのにこの序盤からこう計算高くいってしまうとなかなか思い通りにいきません。

なので序盤にそこまで考えるのではなく、序盤はしっかりアイスを読みつつ、自分たちのコンディションも整えながらいつでも攻められるぞっていう状況を作りながら中盤を迎える。中盤でしっかり(自分たちは)2点を取って(相手に)1点をあげる、2点を取って1点をあげるというような形が作れるといい状態で8エンド目を迎えることができます。

ここで気をつけなくてはいけないのは8エンド目の時点で点差をやはり少なくしておく。1点差2点差くらいであれば10エンド目までにもうしっかり追いつけたり勝ち越したりっていう考え方ができるので、8エンド目くらいまでは点数を離されないで(試合を)展開していくっていうのが非常に大事になっていきます。

カーリング編②−2 試合終盤のゲームプラン(僅差の場合)

終盤ですね 終盤はもうこの10エンド目に向かって、どういう形で試合をフィニッシュしていこうかという考え方になります。点差が1点差・2点差で勝っている負けているっていう時は、8エンド目までのコントロールとしてはそこまで深く考えなくてもいいのではないかと思います。この8エンド目にしっかり後攻を取ることによって10エンド目(に)点数を取って勝つっていうのが理想的なんですけれども。

じゃあ例えば5エンド目(が)終わった時点で2対2で同点ですっていった時に考えることは、やはり6エンド目に2点を取る。7エンド目で(相手に)1点あげる、1点アップで8エンドを迎えています。8エンド目で2点ないし1点を取りたいっていう形が理想です。この状態ですと2点取って6対3。

9エンド目(に相手に)1点あげる展開(にできれば)6対4になります。(10エンド目に)2点のアップ(が)あって後攻を持っている状態、もうほぼほぼ勝ちかなっていうのを意識してもいいんじゃないかなと思います。

じゃあ例えば相手に2点取られました。4対4で並んでる状態です。この時点でもしっかりここ(8エンド)で2点取りたいですよね。すると6対4(で)2(点)アップ。2(点)アップでいって(相手に)1点取らせて、1点アップで10エンド(を迎えると)悪くないですね。

じゃあ例えば(8エンドに)1点しか取れませんでした。だとしても5対4で9エンド目(を迎えるのは)悪くないですね。相手が(9エンドに)1点取りました。同点で10エンド目、後攻です有利な後攻、1点でも取れば勝ちです。この考え方も赤チームとしては悪くないよねっていう考え方になります。

リードはないですが後攻でしっかり10エンド目を迎えているので、展開としてはしっかりコントロールできているのではないかと思います。

じゃあ例えば相手ももちろん後攻で2点取りにくる。(相手が9エンドで)2点取れましたってなると、ここで初めて1点ダウン、1点ダウンですが10エンド目(は)後攻です。1点でも取ればタイでエキストラエンド(に)いけます。もちろん2点取れるといいですが。

この駆け引きですけれども赤チーム主体で今お話(を)しましたけれども、先攻の黄色チームももちろんその駆け引きをしてきます。

赤チームが考えている通りに黄色チームが動いてくれるとはもちろん限らないので、例えば8エンド目(には)相手も後攻を欲しいっていうところで、黄色チームが先攻で私たち(赤)は後攻 4対4で並んでます。例えば相手にスチールされてしまいました。5対4になりました。9エンド目で後攻が来てしまいました。1点ダウンで後攻です。

じゃあ10エンド目にどういう形で(試合を)終わりたいか。9エンド目にブランクでも悪くないですね。(9エンド目は)0対0で1点ダウンですが10エンド目(に)後攻です。

じゃあ例えば点数(を9エンド目に)本当は2点欲しかったけど1点しか取れませんでした。5対5でタイ、同点で(10エンドは)先攻。ここ(10エンド)でしっかりスチールを狙いに行かなきゃいけないっていうような展開になります。

こんな風にですね、ここ(終盤を)1点差・2点差で行けると、自分たちがどういう形で(試合を)終わりたいのか。1点アップしていたいのか、同点でもOKって思うのか。1点ダウンしていてもしっかり後攻があれば5対4で赤チーム(は)負けてますけれども、しっかり10エンド目は後攻です。

これって自分たちで心地がよいのかなどうかなっていう風な考え方をしたりします。

もちろんじゃあここ(9エンド)でブランクできるなら、ブランクでももちろんいいですよね。ここ(9エンド)でブランクできれば、後攻を持ったまま同点で10エンドに行けます。

ただブランク(に)しようとしても相手がどういう風に出てくるのかっていうのがあるので、やはり相手の出方を見ながら9エンド目・10エンド目(を)どういう風に戦っていきたいのかっていうのを考える必要があります。

こんな風にこの8エンド目と9エンド目・10エンド目のこのフィニッシュの仕方っていうのを常にパターンで考えていくのが大事になります。

カーリング編②−3 試合終盤のゲームプラン(点差が大きい場合)

では例えば今赤チームは3点黄色チームは7点。4点負けている状態で8エンドを迎えました。もう絶対的にこの(8エンドの)後攻で2点ないしは3点狙っていけるといいですがまずじゃあ2点取れました。2点取れてもまだ2点ダウンです。

9エンド目、10エンド目。相手に例えば1点をあげると 1点をあげたらもちろん10エンド目(に)後攻が来ますが8対5(で)3点差です。3点ダウンで後攻で勝てるのか。

じゃあ例えば、9エンド目、10エンド目。ここ(8エンド終了時)で今2点差なので、9エンドもスチール。10エンドもスチール。これで7対7で同点になります。ゲームオーバーではないですね まだエキストラエンドに行けると。

このダウンが、点差がかなり大きく負けていると、どうしてもスチールをしなきゃいけない場合になったり、相手に1点をあげることさえも難しい。点差が広がってしまうから後攻が来ても、3点最後取れるだろうかっていう風になってくるので、点差を縮めるなおかつ先攻・後攻も考えていかないと(ならないと)なると。点差がついたまま後半を迎えるとかなりリスクを冒した展開にしないといけないので、できるだけ中盤までには1点差・2点差でいられると(良い)っていう考え方になります。

反対に勝っている時、黄色チームとして(考えて)いくならば、4点アップで8エンド目を迎えました。もう4点もアップしているのでこの時点で、相手に2点取られてもここでもまだ2点アップです。2点アップで9エンド目、10エンド目。

じゃあどういう風にいくかというと、まあブランクできるといいですね。2点アップのまま10エンド目(に)黄色チームは後攻が持てます。ただし2点アップなので相手に1点スチールされても10エンド目に6対7で黄色チームとしては1点アップした状態で後攻です。これは全然悪くない形です。

最終的に1点でも多く点数を取っていれば勝ちなので、たくさんリードしている必要はないので、1点をあげる展開っていうのが作りやすくなります。なのでたくさんリードして終盤を迎えるとこの先攻・後攻のシーソーゲームも余裕を持って考えて進めていくことが可能になります。

じゃあ例えば終盤で大きく差がついている時は先攻チームとしては点数がたくさん負けている場合はガードがいっぱい欲しいです。ガードがないと点数が取れていかないので、ガードをたくさん置く展開。これが先攻の場合ですね。

例えば後攻でたくさん負けてる場合は真ん中を空けつつ、サイドにガードをたくさん置いていく展開を作りたい。相手(の石)が例えば真ん中に入っていたとしても、後々2点目3点目に繋がる石をしっかり作っていく。こうですね。はい。

しっかり作っていくことによって最後どうにかこの(相手の)石を出して複数点を狙うという形を作りたいです。なのでガードが非常に大事になってきます。

ただ反対のチームからすると、ガードがあると点数を取られやすくなってくるので、たくさんリードしている黄色チームとしてはガードを外す作戦ですね。ガードを外す作戦。こんな風に陰になるものをなるべく減らすことによって、相手にチャンスを与えない展開を作っていきます。

よくテレビでね前ばっかり出していくっていう展開があると思うんですが、ガードがあるっていうことは自分たちにも危険な展開になるので、点数(を)たくさんアップしている時は、いらないガードをまずどんどん出していくという風になります。

カーリング編②−4 ゲームプランの”難しさ”

撮影終了後に松沢さんがゲームプランの難しさと重要性を語ってくれました

※一部撤収時のノイズが入っていますがご了承ください

(カーリングは)スポーツなのでいっぱい点数がもちろん入ればこうやって、どんどんこうやって(点数が入って)いけば絶対勝つんですけど。カーリングは点数を取ると(次のエンドでは)先攻になっちゃうので。その点数を取った後相手が後攻の時に点数を取られないようにしたいんだけど、でも(相手が)点数(を)取ってくれないと有利な後攻が来ないので。

先攻でずっと点数(を)取り続けるのは難しいから、だからこの1点を最小得点の1点を、この(1点を相手に)取らせるっていうのが実はすごい難しくてこれさえできれば、結構もう後攻の時にねなんか2点とか取って、1点とか取れていけると思うので。この相手にいかに1点を取らせるかっていうのがカーリングの面白いところっていうか。

それが(簡単には)できないから、変に攻めて(逆に相手に点数を)取られたりとか。

あとよく「点差はいっぱいついてないと不安」みたいな。あの「いっぱい点数取りたい」みたいな風になってきちゃうと、逆にすごい点数(を相手に)取られたりしちゃうので。そのいっぱい点数(を)取ってなくても、最後1点差で勝てればいいっていう風にいくまでがなかなか難しくって。

なんかジュニア(の選手)とかはやっぱり点差がいっぱいないと不安でしょうがないみたいな。なのでその組み立てで9エンド目。もちろんアップして10エンド目にいけるのがもちろん最高だけど、もう最低でも同点で10エンド目後攻まあまあ1点ダウンで10エンド目で後攻でもいいよねって思えるかどうか。そういう風に思えたらもうあとはその組み立てをどうにかしていくかっていう話だけなので。

なので(最後に)1点差で勝てればいいみたいな、で9エンド目に同点で、10エンド目に後攻を持てればもうOKっていう考えにいけるかどうかっていうのが実はすごい大事です。

Q:先攻で点を取り続けることが難しいのはなぜですか?

よっぽど毎回もう絶対的に(相手に)出されないようなNo.1(の石)を取り続けることができたらいいけど、実はそれがすごく難しいので。よっぽど自分たちが(ショットを)決めないといけないのと、よっぽど相手も(ショットを)ミスしてくれないと(相手に出されないNo.1を作り続けるのは)きっと難しい。

すごいどっちも上手なチームでもやっぱり人間なのでミスが出てくるので、そのミスがやっぱりカーリングの面白いところでもあると思うので、いかに(相手に)ミスをさせるか、(相手のミスを)誘うかっていうところに石を置けるかっていう風にしていくのが(カーリングの面白さです)。

こうやって手で置いてこうやってやっていけるんだったら、絶対に点数(を)取り続けられるし、1点(を相手に)あげて(自分たちは)2点取るみたいな形も絶対的にできていくのかもしれないけど、こうやって(手で)置けないからこそ、置けないからこそのちょっとした、こういうなんかカチンカチンとかこのミスが出ちゃうからこそのショットの面白さっていうか、(カーリングは)ミスありきの競技(です)。

そりゃずっと点数(が)取れてビッグエンドの3点とか4点とか取れればもう安心して勝てるけど、そうじゃないからきっとカーリングって面白いんじゃないかなって思います。なんかその近い点数でも絶対的な有利のこの後攻みたいな、10エンド目のその絶対的有利(である)後攻さえあれば何にも怖くないみたいな。

なんか他の競技だったらきっともう絶対にこの時間で絶対にこの点差だったら追いつけないでしょうみたいなのが、もう絶対的な安心かもしれないけど、もうカーリングはじゃあ10エンド目の後攻でちょっとだけ勝ってるとか同点とかくらいだったら、ああもうきっと大丈夫みたいな風に思ったもん勝ちみたいな気がします。

なのでいかにして(相手に)1点をあげるかっていうのと、いかにしてこの10エンド目(に)後攻を持つかっていうことだけを見ているとカーリングって面白いのかなって思います。

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