カーリング観るなら「FESRAIN」を見る!(その6)

カーリング観るなら「FESRAIN」を見る!(その6)

YouTubeチャンネルにアップロードした「カーリング観るなら、“FESRAIN”を見る!」⑥-1から3までの統合版「ショット」です。

カーリング編⑤ではカーリングの試合でスチールを狙う時について学びました。

今回も、2002年にアメリカ・ソルトレークシティで開催された第19回オリンピック冬季競技大会に、カーリングの日本代表として出場された松沢美香さんに、カーリングのショットについて教えていただきました。

カーリング選手がどのように考えて競技をしているのかがわかってくると思います。

パート⑥−1 石の動き

石と石が当たった時の挙動

石の動きとしては、当たった石は当てた方向に飛んでいきます。さらに自分(が投げた石)は当てた方向から90度に進んでいくので、(当てる)角度をしっかり見るっていうのが大事になってきます。

石の回転とスイープ

カーリングは「氷上のチェス」と言われるように、こういう風にですね、石を置いて戦術を組み立てていくのですが、今こういう風にこの盤面でやってるように、じゃあここねって言って(石が)ここに行くか。じゃあここねって言って(石が)ここに行くかというとそれがなかなか難しくて。実際の(石を)投げるところから(反対側の)ハウスまでは大体40mくらいあります。

そこをこの(石の)回転と投げる速さですね。(この2つ)をコントロールしていくんですが、例えば回転はですね。インターンと呼ばれる時計回りの回転。こういう風に回転しながら(進んで)いくのと、

アウトターンと呼ばれる時計と反対回りの回転ですね。はい。

こんな風にそれぞれ回転をしていくんですが、その回転も実は、回転の回数っていうのも、ある程度安定していないと同じような曲がりにはなっていきませんし、あまり回転をかけずに(石を)放してしまうと、石がより曲がっていくっていうことが起きてしまうので、(石を)コントロールして投げたいんですけれども、回転が不安定だと(石は)毎回同じところには到達しません。

なので(石に)安定した回転(をかけて)、なおかつ(スキップに)指示されたスピードで投げるっていうことがショットを決めるコツになっていくのですが、石(を)投げた後にこうね、スウィーピングって言って、ブラシで(氷の上を)掃いていくんですけれども、その(ブラシで氷の上を)掃くことによっても石の方向をコントロールすることができます。

なのでよりですね、投げた石。投げた人だけの技術ではなくて、掃く人の技術と、あとこっちのスキップがね、向かってくる石を見るんですけれども、その石が今どういう風に曲がっているのか。どこに(石を)置きたいのかっていうのを判断して、「イエス」と「ウォー」ですね。掃いたりやめたりっていうのを指示しますが、例えば今こういう風に(石が)インターンで時計回りの回転をしている時に。スウィーパーって2人います。

こっちからとこっちから2人で掃いていくんですけれども、例えばあまり(石を)曲げたくない時っていうのは、回転に向かっている方の人がこうですね、こういう風に掃いていく。例えばこう縦に掃くっていうパターンもあるんですけれども、回転に逆らって掃くような形でスウィーピングしていくと、(石は)曲がらないとされています。

逆にですね、曲げる方向の掃き方っていうのは、回転している方と同じ方からこういう風に掃いてあげるんですね。するとより石が曲がって進んでいく。曲げることが可能になっていきます。

ただ石(の先)をいつ掃くかによって曲がりも変わります。(石を)投げてすぐに掃いてしまうとまだですね、石が直進性を保ったまま進んでいっているので、そこまで(石は)曲がりません。石はある程度直進性を保っていくと、今度曲がり始めるポイントがあります。ブレイクポイントっていうんですけれども、そのポイントがきた時に、曲げるスウィープをしてあげると、石が何もしない時よりもしっかりと曲がっていくというようなことになっていきます。なのでいつでも曲がるスウィーピングをしていいという訳ではなくて、そのブレイクポイントが来たタイミングで曲げる方から掃いてあげるっていうのが大事です。

よくテレビで(の試合中継で)ですね。(選手が)「待って」「待って」って言うのは、まだブレイクポイントが来てないんですね。なのでブレイクポイントが来たらこっちの曲げる方向の人の名前を呼んで、「なになにちゃん掃いて」とか、「曲げたいよ」「曲げたいよ」っていうようなコミュニケーションを取っている場面がよくあると思うんですが、それはですね、ブレイクポイントを待ったりっていう「待って」ですね。ブレイクポイントを待つっていうのが非常に大事になってきます。

パート⑥−2 ドロー系ショット

ではここからはそれぞれのショットについてのお話をしたいと思いますが、ショットは大きく分けるとドロー系と、テイク(アウト)系に分かれるんですけれども、まずはドロー系のショットですね。

ドローって言うのはハウスの中に入れるショットのことをドローといいます。このドローショットも1人で投げて、ここに持っていくというよりかは、ある程度ですね、このくらいの(ところに来る)強さで投げることによって、あとはスイーパーがこう(狙ったところまで)運んでくれる。これは確実に(石を)置きたいところに置くショットになります。

投げ手1人だとなかなかこのコントロールできないんですけれども、ピンポイントで(狙ったところに)持っていくにはスイーパーの人がこういう風に運んでくれるので、ドローはスイープをできるくらいの強さで(石を)投げてあとはスイーパーに任せるっていうのが、(ドローショットを)しっかり決め切るポイントです。

ドローの他にガードですね。ガードもドロー系(のショット)。ガードというのはハウスの前に止まるような石になります。自分たちの石を守るような石、ガードショットと言いますが、時々ね場合によってはハウスの中でもガードをするというような場面ももちろんあったりします。

ガードがあってガードの裏に隠れるショット、カム・アラウンドと言います。よく曲がるアイス(の場合)なんかはですね。こんな風にハウスの中の石にもこういう風に、カム・アラウンドって言って。カム・アラウンドも1つのドローのショットになりますが、ガードの後ろに(石を)隠していくようなショットになっていきます。

これはしっかりですねアイスのこの幅ですね。(石が)曲がっていく幅と、石の強さ(の)両方が必要になってくるので、非常に難しいショットになってきます。

なおかつもう1つもっと難しいのが今度フリーズですね。フリーズというショットもドロー系のショットですが、(自分の)石がしっかり相手の石にぴったりくっつく、なおかつ縦関係についたり。まあ必要であればですね、もちろん斜め(につくの)でもいいんですけれども。

しっかりとくっつくっていうことがまずすごく難しくって、これはスイープする人が石がやっぱりどのくらいまで(進んで)止まるのかっていうのを見越して、スイープするのかしないのかっていう判断と、アイスの曲がりを読むスキップですね、スキップの判断。どれくらいアイスが曲がるのかっていう判断が出てくるので、フリーズというショットがドローの中では一番難しいショットになっていきます。

パート⑥−3 テイクアウト系ショット

次にテイク(アウト)系のショットですね。テイク系のショットはもちろん(ハウスに)入っている(相手の)石をテイクアウトですね。ヒットしてステイする。(投げた石が)その場に留まることをヒット&ステイと言いますが、目的は相手の石をまず出すことっていうのが非常に大事になってくるので。とにかく相手の石を出して、自分の石をハウスの中に留まる。これが基本的なテイクアウトになります。

でさらに例えば、はい。ヒット&ロールですね。(相手の石に)当てた後に、例えばガードの後ろに隠れるようなショット。ヒット&ロールと言いますが、このロールするっていうのが、実は簡単そうに見えて、これも結構難しくて。石の当たる角度ですね。角度と石の当たった時の強さっていうのがあってないと、しっかりガードの後ろには隠れません。

なので例えばすごく速いテイクアウトで薄く(相手の石に)当たってしまったら、例えば両方とも出てしまうような場合も、同じ場所に薄く当たってもあまり速くない石だったら、ちょうどこういう風にガードの後ろに隠れたり。なので(投げた石が)速すぎるとロールしすぎてしまうし。

じゃあ今度(投げた石が)遅すぎると例えばね、相手の石を出しきれないなんていう場合もあるので。相手の石を出し切る強さで当てたいところに当てて、しっかり置きたいところにロールする、ってなるとちょっと考えることが3つもになってくるので、少し難しいショットにはなってきます。

例えばこのガードに少し隠れてるよっていうような石なんかも、少し遅めのテイクアウトになってくるので、曲がりが必要なので曲げながら、しかも相手の石も出しながら、なおかつ自分の石も残るってなると、ちょっとね、(ヒット&ロールは)技術的には難しいんですが、当てどころとスピードがしっかりあっていれば、テイクアウトした後も自分の石を残すようなことが可能になってきます。ヒット&ロールですね、これが。

でよくある、例えばこんな風に最近ね、このガードがたくさんある展開があるので。これもよく見るかと思うんですが、このねランバックって言って、前の石から後ろの石を出していくような展開ですね。

はいこんな展開。これは相手の石がガードになっているので、(相手の石が)両方とも出なきゃいけないパターンですけれども。

例えばこんな風に自分の石がガードになっているのであれば、そのまま真ん中で(ガードに)当ててあげると、そのまま(ハウス内に)残って、自分の石がガードに隠れつつ、相手の石も出せたり。ランバックって言っても前のガードの石が何色か、自分たちの石なのか相手の石なのかで、当てどころっていうのが変わってきたりします。

ランバックももちろん(ガードがハウスに)近かったら割と簡単ですし、遠かったら遠かったでまた難しいし。なのでこのガードの高さっていうのもショットの成功率に関係してきたりします。

であとはカーリングと言えばっていうところだと思うんですがダブルテイクアウトですね。(相手の石を)2個いっぺんに出せるよ。こんなショットもありますね。

もちろん(石の)配置によってはよく最近見ますね。トリプルテイクアウトですね。これを出しつつこっちの石がこっちも出してトリプルテイクアウトみたいなこともあります。

そうなるとかなり速い石で投げなきゃいけないので、(ショットの)精度としては難しくなってくるんですけれども、石が速いと(石の)曲がりっていうのはすごく実は少ないので、ここに当てたいっていう場所さえしっかり見えてれば、すごく速いので投げるとそこまで曲がらないので、しっかりと石の動きが見えていれば、トリプルテイクアウトもしっかりと出しきれます。

(石同士の)角度が浅ければ浅いほど当てどころを厚くして、(当てた石を)飛ばさなくちゃいけないので、より力強く(石に)ぶつかんなきゃいけないので、男子の選手の方が、この(石同士の)角度が浅くても、ダブルテイクアウトっていうのは非常に決まりやすいです。そういうところも男子と女子の見どころの違いでもあるのかなっていう風に思います。

※動画には「おまけ」もありますのでぜひご覧ください!

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