アメフト観るなら「攻守のじゃんけん」を見る!(その4)

アメフト観るなら「攻守のじゃんけん」を見る!(その4)

YouTubeチャンネルにアップロードした「アメフト観るなら、攻守のじゃんけんを見る!」④ー1から3の詳細版「ディフェンス(DF)のプレー」です。

The version with English subtitles will be available soon.

アメリカンフットボール編③ではオフェンス(OF)のフォーメーションや主要なプレーについて教えていただきました。

アメリカンフットボール編④では、ディフェンス(DF)の考え方やフォーメーションについて、今回も桜美林大学アメリカンフットボール部「スリーネイルズクラウンズ」前監督の関口順久さんに伺いました。

パート④-1:ディフェンス(DF)のフォーメーションとランプレーの守り方

ディフェンス(DF)のフォーメーションの考え方

次ディフェンス(DF)のフォーメーション、守り方のところですかね。

DFはオーソドックスに言うと、4人のディフェンスライン(DL)に対して3人のラインバッカー(LB)。これ4−3(フォー・スリー)って言います。

それから3人のDLに対して4人のLB。これ3−4(スリー・フォー)です。

だいたいオーソドックスなのはこの2つです。

最近トレンドとしてちょっと多いのが 3−3(スリー・スリー)。

これはさっきも言ったようにニッケルバック(NBが)入ることを前提にした、フロント(のタックル)ボックスの中(は)基本的に6人で頑張りましょうと。

なぜかというと 1、2、3、4、5、タイトエンド(TE)入れても6(人)なので、6(人)対6(人)でアベレージでしっかりランを止めて、パスカバーを強化していきましょうというところで3−3というDFがあります。

ランプレーの守り方

絶対DFはですね、まずランプレー止めることから始めるんですね。ランプレイ(が)止まらないとオフェンス(OFは)ものすごい楽なんです。

どんなリスクもなくパス投げるとやっぱりインターセプトっていうリスクが常にあるので、ランは本当にリスクが少ないので、そういった意味ではランプレーをずっと、ランプレー(で)必ず3、4ヤード出るのであれば(OFは)ずっとランプレーやってます。

(このフォーメーションは)3−4ですね。

でこのDFの特徴は何かっていうと、特にこの3人がすごくいい選手がいると、例えばどっちの方向のランプレーに対しても(DLは)全員行くんです。全員、全員、全員。

ランプレーがどこに来たとしても(DFが)1対1で勝ってるって事なんですね。(DFが)1対1で勝てれば、ランニングバック(RB)がどこに行っても、ここに来ればこいつがタックルする。ここに来ればこいつがタックルする。

こうですね。ここに来ればこいつがタックルする。

いずれにしてもどこにボールがあるかっていうのを(DFが)見ながら リードしながら行くというのが、一個「リードディフェンス」ということですね。つまり基本的に2対1でやられたら必ず1人(選手が)余るよねと。

1対1だったら常に勝てるから絶対タックルいけるよねっていうのが、このDFの考え方なんです。

だから1対1で勝てる選手がまあまあこの中に揃っていれば、リードディフェンス(を)やった方が絶対強いです。(相手の)全部のプレー、ランプレー(を)ノーゲインにできるので。

だけど最近はどんどんどんどんここ30年も40年の中で、このオフェンスライン(OL)というのがですね。やっぱり大型化して技術も高くなってくると、どんなに良い選手でも1対1で常に勝てますよっていう選手を作るのが非常に難しくなってきてます。

そんな中で考え方としてできてきたっていうのが、ギャップを守るDFと「ギャップディフェンス」っていうのが考えられるようになりましたと。どういうことかっていうと考え方として(DF)1人1ギャップ。

(DF)1人に対して僕はここ(を)守ります。(別の選手は)ここ(を)守ります。ここ(を)守ります。ここ(を)守ります。守ります。守ります。守りますと。

いったことで自分が担当するギャップっていうのをもう決めておく訳ですね。で(相手が)ここを来たら絶対にタックルしましょうと。もしここでダブルチーム食らうんだったら、ここで耐えて残りの2人でここ(を)止めましょうと。

こういう要はチーム戦で、1人1ギャップを担当することによって、どっか大きい穴を開けようとしたOFに対しても、常にチーム戦で対抗できると。で1対1でダメかもしれないけど、1人1ギャップならなんとか勝てるかもしれない。勝てる確率が上がるでしょうということで。まあこうギャップを守る形ですね。

これ付き方によって全然違ったりもするんですけど、(DFが)1対1で勝てれば絶対(相手の)正面につくんです。何でかって言うとどっちも右も左も行けるので。

だけど(DFは)1対1でやっぱ勝てづらくなってるんで、そうしたら最初からアドバンテージ取れる位置にいましょうということを考えるんですね。そうすると今何が起こってるかというと、多くのDFでちょっとずつずれて(相手に)ついてます。こういう感じですね。

そうすると(DFの選手は)端から自分が守るべきギャップについてるんですよ。これシェードっていうテクニックなんですけど。

だからもうこの(DFの)人たちにとってみれば、OLが来るよりも先に自分が守るべきギャップに体を入れてるっていうことで、相手にアドバンテージ取りましょうということで。

こういうギャップを守るというDF、リードに対してギャップをコントロールするDFというので、そのだいたい2種類っていうのがこのランを止める考え方になると思います。

Q:ギャップに注目しているのはランニングバック(RB)の走路になる可能性があるからですか?

そうですね。だいたいどこを走らせたいかっていうのはOFのスキームの中で決まってくるので、そこをしっかりみんなで埋めていきましょうと。

でこれ(ギャップDFを)やってると大きい事故起きにくいんですよね。さっきの1対1で勝てるでしょ(を)やってると、もし勝てないシチュエーションがあるとそこ(に)大きい穴が開くんですよ。だけどここだとまあまあアドバンテージを(DF側が)先に取ってるっていう事もあって、ギャップは埋めやすくなるのでまあ(DFが)ちょっと押されちゃったとしたとしても、まあこいつが頑張ってくれれば3ヤード(程度)で止められるよね、みたいな。

比較的事故が少ないということもあるかなというふうに思います。

こういうことでまずはランプレーをしっかり守りましょうというところから、DFの考え方は始まりますよ、ということですね。

パート④-2:パスプレーの守り方①(カバー3)

じゃ次にパスの話を少ししましょう。

一番わかりやすいのはマンツーマン。はい僕君見ますと。はい見ます。見ます。見ます。はい常に全部1対1です。

じゃあランニングバック(RB)は、ラインバッカー(LB)が見ますよと言うと、もうこの人たちはランだけ見てればいいんですよ。ものすごく守りやすいですよね。だからランはすごい止められると。

だけどじゃあパス来た時にどうかというと、じゃあミスマッチ(を)どこかで作られちゃうと…こいつめっちゃ足速いんだけど、こいつまあまあなんだよなとか。こいつすごいパスカバーうまいんだけど、いやこいつでかいからさあとか。じゃあここに来て、こう。こういう交差するパス来たらどうするこれ。こう行ってこっち置いてかれちゃうよねみたいなとか。

こういったことが生まれてくるので、じゃあどうしようっていう風に。元々はマンツーマンだったと思うんですよ、(パスDFは)すべて。

だけどじゃあ生まれてきた考え方っていうのはゾーンDFということですね。でちょっと代表的なゾーンカバーをちょっと紹介しようかなという風に思います。

カバー3

カバー3っていうのはまさにこの人が1/3、ディープ(ゾーンの)1/3ですね。ディープ(ゾーンの)1/3。この人も(ディープゾーンの)1/3。この人も(ディープゾーンの)1/3を守って、それ以外の選手がアンダー(ゾーン)ですね。みんなだいたい1/4ずつ守りましょうと。

Q:「アンダー」とはボールからどのくらい後ろを指すのですか?

だいたい(ボールのあるスクリメージラインから)10ヤードから12ヤードと言われてます。こういった形になります、それぞれ(の選手が)守るところ。

(パスが)12ヤードより(奥に)行ったらディープになるし、それまで(パスが)行かなかったらアンダーになるし。ただシチュエーションによって、例えば3rdダウンでとっても長いヤードになっ たら、これが15ヤードぐらいで考えてるところもあるし、まあそうじゃないところ、もう少し短く見てるところもありますよと。

でこれは考え方としてはゾーンDF。つまり自分のゾーンに入ってきたレシーバーに対して対抗していきましょうと。ということですね。

パス(DF)っていうのは基本的にマンツーマンなんですよ。当たり前ですけどレシーバーにつかないとパスは守れないので。だから自分のゾーンに入ってきたレシーバーに対して、まあカバーしましょうというのが基本的な考え方になりますね。

なのでディフェンスライン(DL)以外の選手たちが何をするかって言うと、その中でまずは自分のゾーンにしっかり下がって、自分のゾーンに入ってくるレシーバーに対してしっかりつきましょうということになります。例えばボールオン30 ヤードからOFがプレーしたとしたら、後ろは当たり前ですけどこれ先70ヤードあるんですよ。70ヤード(の範囲)なんか絶対守れないですか。70ヤード(の範囲で)フィールドの1/3(を)守れたらスーパーマンなんで、基本的には無理があるんですね。

もちろん(DLなどがパス)ラッシュして、そこまでレシーバーがいかないところまでで止めとこうというのは当然考え方としてあるんですけど、パス取らせてもしっかりタックルしましょうというところで、きれいに人間を散らばせておこうというのがゾーンディフェンスの考え方なので、比較的ゾーンDFの方がパスは通りやすいです、やっぱり。だけどパス取ったらすぐタックルされることが多いですよというのが、ゾーンDFの特徴かもしれないですね。

でこのDFやってるときに、じゃあどこがあれ(弱い)かっていうと、やっぱり一番弱いのはですね。ここですね。ここ。ここ。

何でかっていうと特にこういう人たちは、やっぱりランプレー(も)見てるので、そうするとここまで、これフィールドやっぱり広いじゃないですか。53ヤードあるので。これを4人で横広げるのって結構難しいですよね。

あとはここですね。このつなぎ目のところ。これつなぎ目のところってシームって言うんですよ。縫い目ですね。

まあこれも(幅)53ヤードを3人で守るってそもそも無理な話なんで、そこに対してこういう切れ目のところでしっかりパス取ったりとか。外の人が、人口密度が低いところですね。こういうところでパス投げたりとかということが、このディフェンスの時には、カバー3の時にはこういうところで投げ分けてるよっていうところが多いかなと思います。

カバー3の発展形

いくつかあるんですけれども。例えばこの人を(ここに)行かせて、アンダー(ゾーンを守る選手)を5人にしてみたりとか。

もしくは1人ブリッツさせて、3アンダー3ディープというのもあったりします。

だからディフェンスがどれだけクォーターバック(QB)にプレッシャーかけるかっていうことと、後ろに下げるにしてもどうしても(アメリカン)フットボール(は)11人でしかできないので、そのバランスによって、3ディープっていうのは変わりないながらも、アンダーとかで調整してたりとか、もしくは外側だけマンツーマンにしたりとか、このカバー3の形の中で、いろんな呼び名を変えてやったりもしてます。

Q:外側をマンツーマンにするとは、具体的にどうなるのですか?

絵で描くとこういうことです。

Q:マンツーマンを2つ作って、残りをゾーンディフェンスにするということですか?

そう。

で、ここの中で、この2人で挟めるじゃないですか、この2人。でこの2人で挟めるじゃないですか。真ん中も伸びてきたら、この人がいるのでということで、ここの2人が離せると、ここで9対9のフットボールやってたりするんですね。

こんなDF。プロ(に)多いです、これ。これプロ(では)カバー7って呼んだりとかして(います)。だからこの辺にいたりもしますよ、自信があるコーナー(バック:CB)は。

そうするとここはもう9対9で。あとはもう(CBに)任せるからさと。片っぽだけの(サイドだけ切り離す)場合もあるんで。

1試合マンツーマン(DFを)してるって精神的に相当辛いはずなんですよ。プレッシャーも大きいし。あととにかく走るから疲れるし。それは(チームとしての)DFの考え方とか、どれだけ良い選手がいるかによって少し。あとディフェンスコーディネーター(DC)の好き嫌い(次第)ですね。

パート④-3:パスプレーの守り方②(カバー2)

カバー2

カバー2のディフェンス(DF)は、カバー2というぐらいなので、ディープ(ゾーンの)1/2、深いゾーンに(いる)セーフティ(S)が1/2ずつ担当しましょうと。でアンダー(ゾーン)をこういった形で5人で守りますよというDFになります。

で当たり前なんですけど、ディープゾーンですね。これも一緒で例えば(アンダーは)10ヤードから12ヤードみたいな話なんですけど、ここから先を2人(だけ)で守るっていうのはそもそもちょっと異常な話で、これを可能にするためにはこの人たちだけの能力だと非常に難しいということがあるんですね。だからこのアンダーの人たちで、このディープの人たちの重い役割を助けてあげようというのが基本的な考え方です。

じゃあどういう風にやってるかというと、外側のレシーバー2人ですね(2人に)対して、必ずこの人は外側、必ずこの人は内側にいます。でパスだなってわかるとこの人に対して、基本コースを狭めていきます。

こういうことですね でこうなるとレシーバー(は)この2人しかいないのでこっち側は。この1/2のSが守るカバーは、この間だけ守ればいいってことになるんです。

当たり前ですけど(このSは)、こっちも守らなきゃいけないんですけど、この広大なエリアよりも、ここ(を)狭めてあることによって、この人がまず守らなきゃいけないスペースがまず狭まるので、そうすると比較的(Sの役割が)楽になるわけですね。

なので必ずこの人たちはこう、いかにしぼめるかによって、このカバー2の成功と不成功っていうのは出てくるわけですね。

カバー2のDFの攻められるとちょっとDFからしても嫌だなっていうところは、Sが下がりづらい、もうサイドライン際のディープゾーンと、あとゾーンの切れ目シームって言われるところが守りづらいということですね。

そうすると一番大外のコーナーバック(CB)は絶対外(に相手に)行かせたくないんですよ。外行かせるとここですぐボール取られちゃうんで。(相手が)外に来て外まくられちゃうなってなったら、ここマンツーマンになるんです。

そうしたらオートマチックにこの人(が)こうやって見ればいいんで。外(にレシーバーが)リリースされたら(そのまま)ついていくか、この人が広がれるタイミングになったら、始めてアンダー(ゾーン)に戻ってくるとか。じゃあ外行かれた時にどうしようかっていう考え方は絶対(予め)決めてるはずなんですけど、それによってこういうディープゾーンをきっちり守っていくというの(考え方)が一個あります。

カバー2の発展形

やっぱりここって弱いんですよ。やっぱりどうしても外側嫌なので下がるんですよね。そうすると真ん中が空いちゃうんですよね。そうするとこういうレシーバーがここ入ってこられると、もうこれタッチダウン(TD)なんですよね。これを止めるために生まれたのが、2ディープなんですけど、これタンパ2って、

タンパベイ・バッカニアーズで最初採用されたんでタンパ2っていうんですけど。とにかく真ん中のマイクラインバッカー(MLB)が、普通だったらこの人こういうまずランプレー、タックル上手い選手ってさっきも言ったんですけど。

でもパスになったら一目散にディープ(ゾーン)に下がると。大体15ヤードぐらい下がります。そうするとやっぱり大きい選手が真ん中にいると、ここでやっぱりパス(を受けるのは)怖いんですよね。レシーバー(はDFの選手に)ボコーンって当たられたりもするので。

なので同じカバー2なんだけどLBに関しては、ちょっとゾーンがいびつなんですよ。なんでこういうところ、例えばこういう風に入ってくる選手に対しては、こういう(形で)絶対ついてきます。タイトエンド(TE)がこういう(形で入る)のに対して、この人がこういうルート(で入ってくる)とかは、もうきっちり、ここまできっちりLBが来てくれたりします。

これ(タンパ2)も使ってるところ結構多いと思います、アグレッシブにDFしたい時には。

こういった形でですね、同じ2ハイ系のDFでも守り方によってちょっとずつ変わってくるとっていうのもあると思いますね、はい。まずはテレビ画面になかなか映りにくいところでもあるんですけど、このSの位置をですね、見てるとDFのパスカバーがすごくよくわかりやすくなるし、理解が進むかなという風に思います。

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