アメフト観るなら「攻守のじゃんけん」を見る!(その3)

アメフト観るなら「攻守のじゃんけん」を見る!(その3)

YouTubeチャンネルにアップロードした「アメフト観るなら、攻守のじゃんけんを見る!」③ー1と2の詳細版「オフェンス(OF)のプレー」です。

The version with English subtitles will be available soon.

アメリカンフットボール編②では各ポジションの役割と特色を教えていただきました。

アメリカンフットボール編③ではオフェンス(OF)が繰り出すプレーについて、今回も桜美林大学アメリカンフットボール部「スリーネイルズクラウンズ」前監督の関口順久さんに伺いました。

パート③-1:オフェンス(OF)のフォーメーションと主要なプレー

オフェンス(OF)のフォーメーション

えっとじゃあオフェンス(OF)のまずフォーメーションの話ですね。

基本的にこの5人のオフェンスライン(OL)、それからクォーターバック(QB)、それからランニングバック(RB)というのはほぼ固定で常にOFにはいます。

よりランを効果的に使いたければ大きい選手、ブロックできる選手をより多く置いて攻めるというのもこれ1個考え方ですね。

これは2人のRBに2人のタイトエンド(TE)を入れて、俗に言うとこれ22パーソネルということを世間一般的には言います。

これはすごくこう要はOFから見ると重いフォーメーションで、ランに(偏っています)。(ワイド)レシーバー(=WRが)1人しか入ってないです。パス投げる人が1人しかいない、TEももちろん(パスを)取れるんですけれども、フルバック(FB)、ランニングバック(RB)置いて、TE1人置いて、とにかくランが多いと想定されるOFなので当然ディフェンス(DF)もボールの近くに元々集まってきますよと。

こういうことですね。

Q:ディフェンスはどの辺りを見てラン重視と判断できるのですか?

ハドル(Huddle)の時点でこういった選手がたくさんハドルに集まってきた瞬間に、DFしてはよりランヘビーだなということでランプレーに備えようということになります。

でももちろんこういう風にしていったらランが多いフォーメーションで、ランを効果的にできるんだけれども、相手もランを守りにきますよと、いうことが基本的な考え方になってます。

当たり前ですけどパス(を)投げないOFは基本的にはあまりないので、オーソドックスなところだとRB2人、TE1人、これ21パーソネルと呼ぶんですけれども。

これがですね、まあ非常にバランスの取れたフォーメーションかなと思いつつも、全体的にはこれでもランの確率が非常に高いフォーメーションと考えていますね。

今オーソドックスな形としては、TE1人、RB1人。そうですね、(TE)1人、(RB)1人で11パーソネルと。

11(パーソネル)だとオートマチックでWR(が)3人になるということですね。これが比較的多いんじゃないでしょうか。世の中的にはですね。

でQBが直接センター(C)からボールを受けるフォーメーションもあれば、QBが元からセンターから離れて(ボールを受ける)ショットガン(フォーメーション)ということですね。

主要なオフェンス(OF)のプレー① スクリーンプレー(Screen Play)

相手の裏をつく短いパスのことをスクリーンプレーと言います。じゃ具体的にどんなプレーかなというとちょっと一番わかりやすいところを説明します。

まあ例えば3rd(サード)ダウンで残り10yds(ヤード)ですよと。っていうと多くのDFの選手は、まあ思うのはパスですよね。そうすると何が起こるかというと、この人たちですね。ランプレーよりもQBサックしたいよねってガンガン突っ込んできます。

そういった時に何するかっていうと。WRも「はい、パス投げますよー」っていって、この人たちも「おおそうかそうかロングパスか」ってガンガン下がるわけです。こうするとここにものすごくスペースができますよね。

こうやって(DFの選手が)ラッシュしてきます。QBがプレッシャー受けると。

こういったところにRBがヒョロって出てですね。このラッシュが届く前に、この人にふわっと投げて、(この選手たちが)ブロッカーになるんですね。

こういうのをここにスクリーンができるようなので、スクリーンパスというような形で呼んだりします。

もともとスクリーンパスっていうのはそのRBにパスを投げるっていうのが多かったんですけども、最近はですねWRのスクリーンパスっていうのも実は増えてきてて。

どういうことかっていうと、このシチュエーションパスだよねっていう風に(DFに)思わせた時に、このWRに(長い)パス行くよって見せかけて、(WRが)戻って短いバスを投げるんですね。でこれに対して、この人たちはラッシュしてくるんで、同じような発想でこういう人たちがブロックすることで短いパスで取ってから走らせると。

一概にRBだけじゃなくてWRも、短いパス。要はスクリメージラインよりも手前のパスですね。(そういうパスを)を通して、ブロッカーを使ってパス(を)取った後に走らせると。っていうのをスクリーンプレーと言います。

チームによっては1種類だけじゃなくて何種類もいろんな形のスクリーンパス持っててですね。

例えばこのレシーバーがこう(DFが)ラッシュしてきた時に、真ん中に入ってきてふわってボールを渡したりするんですね。この時に実は1人だけブロッカーとして生きてて、こうやってブロックすると。

こういった特徴なんですけど。真ん中のスクリーンですね。

主要なオフェンス(OF)のプレー② オプション(Option)

で最近のトレンドとしては1人、この選手をあえてブロックしないで、この選手がRBを追っかけてったらQBは(ボールをRBに渡さず)抜いて、(自分でボールを持って)走っちゃう。(DEが)QBを守りに来たらRBに(ボールを)渡そうというプレーです。これオプションと言いますけれどもね。

なのでこの人(DE)を見ながら、この人(RB)にボールを渡すのか自分で走るのかと決めるようなプレイもできたりする(訳です)。

主要なオフェンス(OF)のプレー③ ラン・パス・オプション(Run Pass Option)

ランパスオプション(Run Pass Option)ですね。俗にいうRPOとラン(Run)パス(Pass)オプション(Option)と。

このOLとTEですね。この辺の人たちはインサイドゾーン(を)組みましょうと。そうすると6人の(OFの)ブローカーに対して、この人(OLB)は仮に中に入ったとしても1、2、3、4、5、6。(人数が)6対6なんですね。つまりイーブン(同数)の場合はOFが強いですよと。

でこの人(DE)の動きを見て(RBに)、ボールを渡すかQBが(自分でボールを持って)走るかということを決めましょう、っていうのをさっきオプションプレーと言ったんですね。でこれはRPOの間の”R”、ランになりますね。

じゃあ仮にもう一人オプションしようよと。この人(OLB)がいやランだなと思ってランプレーに思いっきり食いついてきましたよっていうと、 ここは2対1でOF有利なんです。じゃあ(WRに)5yds走らせようと。いや待てよとこいつ(DE)はこっちに来てるし。RBを追いかけてるし。この選手(OLB)もRBに反応して。いやいやここスカスカじゃんと。でOF対DFで2対1になってるっていうんだったら、じゃあ(RBにボールを渡さずに)抜いて、俺(QBが自分でボールを持って)走ろうと思ったけど、やっぱパス投げちゃおうって空いてるWRに投げると、これ簡単に5yds取れるんですね。でこれはRPOの”P”のところパスになりますね。

ランパスオプションと。こういうプレーが最近トレンドです。

いやでもさっきこれやられたからって、今度はこいつ(OLB)が(RBの方に)行かなくなるんですねこうやって。そうすると(DFの選手が)来ないから、じゃあ、(DEは)QBも見てるし、RBにボール渡しちゃおうっていうと、ここなんと6対5になって絶対的にOF有利なんですよ。

だからランもあるよ、パスもあるよ、常に選択してますよっていうことでいうと、この今ランパスオプションというのが非常にトレンドです。

パート③-2:オフェンス(OF)から見たパスプレーの考え方

「パスルート」についての考え方

まずディフェンス(DF)の、特にディフェンスバック(DB)って言われる選手ですね。コーナーバック(CB)、フリーセーフティ(FS)、ストロングセーフティ(SS)、ニッケルバック(NB)も含めてなんですけど、この人たちが一番恐れてる事って何だと思いますか。

Q:裏を取られることでしょうか?

これはもう絶対そうなんですよ。裏取られる、自分の裏に行かれるっていう事は、そこにパスを投げられたらタッチダウンに即結すると。これだけは避けたいんですね。

(アメリカン)フットボールの戦術として4バーティカル(Vertical)っていうのがあります。(ワイドレシーバー=WR)4人がまっすぐ進むっていうことですね。

で(アメリカン)フットボールはまあ、大体ハッシュマーク(を活用して)、(このように)サイドラインがあったとしたらフィールドを4分割して走りましょうと。で一番いいマッチアップのところにボール(を)投げたら、(パスが)一番通りやすいじゃないですか、というのがこの考え方です。

で やっぱり後ろには抜かれたくないですよ、みんな。(だからDFの選手は)とにかく下がるんです。(WRが)縦(に)来たら。

ここで最近というかもう、ここ10年20年ぐらいの考え方として、これ(DFが)下がるんだったら(WRを)ストップさせるんですね。もしくは走ってるWRの背中に投げるんですね、わざとボールを。

もし、いやいやいや、この人たちは勝負してきますよと。もうこういったDBがみんなスクリメージラインにセットして、もうここは、もうとにかく1対1で僕ら守りますわ、というのであれば、もうとにかく(WRに)縦に行かせると思います、多分。

これで奥で一番いいマッチアップのところで(パスを)取ればいいし、(DBが)下がると。いやいや後ろ抜かれたくないからと。とにかく後ろしっかり守りますよというDFのところには、じゃあ(WRを)ストップさせようと。こういう考え方があるんですね。

基本的な発想として、これ5歩の俗にヒッチ(Hitch)って言われるコースですね。これ大体6yd(ヤード)ぐらいです。

それからフック(Hook)。これも高校生からみんなやりますね。これ大体12ydぐらいですね、7歩。

それから9歩。これねロングフック(Long Hook)って呼んだりします。これでだいたい16から17ydsですね。

それから縦ですね。縦(に)いくのはバーティカルって呼びます。

だからこの一人の(WRの)まっすぐスタートするパスプレーだけでも、考え方としては、さっき言ったスクリーンはここで止まりますから、1、2、3、4、5段階あるということですね。

縦だけでこういった考え方があるので、例えばここでクロスしたりとか、外出てみたりとか、両方とも中(に)行ってみたりとか、中(に)行くことに対して外(に)出るとか、こういったことでコンビネーションを考えていくともう何万通りのパスプレーの考え方ができるわけで。

相手のプレーのそもそも体の持ってる身長的な特徴、それからスピード クイックネス、あとは技術ですね。あとはそのダウンシチュエーション、ダウン(&)ディスタンス、フィールドポジションによってどういうプレーの使い分け(を)このDFがしてるかによって、OFとしてはどういうパスプレー(を)考えようかということはもう当然でスカウティングでやるし、逆にDFからしてみたら、じゃあこのシチュエーションでこの人たちこういうパスを多くやってるよねっていうところである意味餌(を)撒いていたりもします。

だからつまり下がるよ下がるよって思わせておいて、すぐ戻れるようにしておくとか。実はすっごいこういう風にプレスカバー、もうギッチギチに守るようなフリしてすごく下がってみたりとか、スナップの直前に。こういった形で常に縦の馬鹿し合いっていうのは常にCBとRB(と)でやってますね、はい。

アンバランスなフォーメーションの効果

例えば(WRが)アンバランス(=非対称)になった瞬間に、4分割したいんです フィールドを。4バーティカル(をする場合)は。こういうふうに走るんですね。

そうするとこの(FS)選手、(WRに)こっち行かれるのか、こっち行かれるのか。はたまたこういうルートでも(走れるし)、こういうルートもあるし。まあまあとにかく下がるしかないよねみたいな感じだと、ここでじゃあ(パスを)通してやろうかとか。

だからバランスを変えることによっても、じゃあ綺麗にこの前についてくれるんですかという時もあれば、いやいやこっち(に)ランプレーで来られたら困っちゃうからさということで、すごくバランスよくついてくるS、フィールドに対してバランスよくついてくるSもいるし、人に対してついてくるSもいるし。

このアライメントによって例えばここだったら、やっぱりこっちに投げた方が得だと思うんですよ。ここにいるんだったらここでフックした方が得だと思うんですよ。じゃあつく位置、どういうバランスでこの人たちが考えていくかによって、狙いどころを変えていくっていう考え方もありますね、はい。

Q:パスを投げるターゲットはあらかじめ決まっているのですか?

ゾーンDFで大体狙うパスっていうのは1つのゾーンに2人WR(を)入れ込むんですよ。それに対してそのDBがどっち(のWR)につくかによって、空いてるの方のWRに投げるということが多いので。

大体マンツーマンDFだったらついた時点でもうここ投げようというのは、だいたい多くのQB(は)8割方決めてると思います。

やっぱり例えばこうやって(WRが)クロスしたりすると。こうやってクロスしたりすると当たり前ですけど時間かかるんですよね。それだけ(の時間)パスプロテクション(が)持つんですかみたいな。いやいやDFでアーロン・ドナルドみたいなのが(そんな選手がいるから)、そんな(長い時間)持たないよね。ダブルチームで取っても っていうと、(WRが)クロスするほど時間ないねみたいな(判断をします)。

こういったところ全体で考えながら、じゃどのプレーが一番ベストかなっていうのを、(選択肢は)何通りもあるとはいえ、こういうところのマッチアップ、DBとWRのマッチアップ、じゃあ他の人たちどういう風なアライメントでつくのかっていうのは常にこう見ながら、スカウティングと今日の試合は一緒なのか違うのかとかですね。こういったところを常に確認しながら常にベストな選択をしていくっていうのが、OFコーディネーター(OC)であったりQBの役割だったりします。

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