YouTubeチャンネルにアップロードした「アメフト観るなら、攻守のじゃんけんを見る!」②ー1から4の統合版「各ポジションの特徴と枠割」です。
The version with English subtitles will be available soon.
アメリカンフットボール編その1ではあの”ゴチャゴチャ”の中で何が行われているのかを教えていただきました。
アメリカンフットボール編その2では各ポジションの特徴と役割について、再び桜美林大学アメリカンフットボール部「スリーネイルズクラウンズ」前監督の関口順久さんに伺いました。
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パート②-1:各ポジションの特徴と役割(オフェンス編①)~オフェンスラインとタイトエンド~
フォーメーションというところから、概念で言うと、オフェンスというのは結構ルール上決まってます。オフェンスは必ず、この一線目ですね。
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ボールに並んでる選手が最低でも…3、4、5、6、7人いないといけないということになってますね。で、そのうちの5人はオフェンスライン(OL)ですよと。で、一線目の選手の両端の選手だけパスを取れることになっています。
よってこの選手たちは、まあ、基本的にはパスを取ることもできなくてボールに触りません、というのがこの人たちの役割ですね。オフェンスは、あとの…オフェンスライン5人、この7人以外の選手は誰がどこに入ってもいいということになってます。
オフェンスライン(Offensive Line=OL) センター(Center=C) ガード(Guard=G) タックル(Tackle=T)
オフェンスラインはですね、このCですね、センター。それから両サイドのガード(G)、両サイドのTはタックルですね。この5人でオフェンスラインというふうに呼びます。
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アメリカフットボールが始まるのはセンターがスナップと言って、ボールをこうQB(クォーターバック)にだいたい手渡すところからプレイが始まるのが多いんですけれども、それを出す人がセンター。この選手はやっぱりこう、こういうディフェンスの隊形とかを見てこの他の人たちに伝えるのも役割だったりするので、比較的こう安定的な選手、スナップが毎回同じところに行く選手だったりとか、まあ少し頭が切れる選手というのがどちらかというと多いと思います。
それから次にガードですね、この両ガード。この大きい2人の選手と常にこう対峙していかなきゃいけないと。っていうところがあるので、比較的こう大きい、1対1でこう強い選手みたいなものを、そういう選手を選ぶところが多いです。
で加えて最後にこのタックルの選手ですね、このディフェンスエンド(DE)、ここがいわゆるQBサックが多いポジションなんですね。そうするとこの人たちがどんどん、どんどんアスリートになっていくに従って、この人たちも、タックルの人たちも、このディフェンスエンドと相対さなきゃいけないので、こういうすばしっこい、大きいけど速い選手なんかにも対抗できるような、まあアスレチックな選手かつやっぱりサイズの大きい選手ということが最近のフットボールでは必要とされているということですね。
どちらかというと大型の選手を5人並べてるということが基本的なコンセプトになります。
タイトエンド(Tight End=TE)
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タイトエンドは、これ実は結構ですね、すごく人材的には…ものすごい難しい選手でですね。というのもこの選手はオフェンスライン、この5人のオフェンスラインですね。この人たちと一緒に、こういう大きい選手をブロックする役割がありますよと。なので比較的大柄な選手でありつつも、このタイトエンドの選手はこうやってパスコースに出てですね。クォーターバックからパスをもらうこともできると。なので、大型で、こういう人たちと対峙するように、力強さもあり、かつ、レシーバーと同じようにパスを取るということで、速さ、スピードですね。ある程度ないとこのポジションが務まらないという選手になります。
パート2-2:各ポジションの特徴と役割(オフェンス編②) ~クォーターバック・ランニングバック・ワイドレシーバー~
クォーターバック(Quarter Back=QB)
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クォーターバックはフィールド内のコーチと一緒で、フィールドの中で、こうやってサイドラインなんかからコーチが出したサインとか、入ってきたプレイをこういった他の10人に説明する役割を持ってたりするわけで、あとは自分でこういうディフェンスの隊形を見てプレイを変えてみたりとか、より良いプレイを選択したりとか。ですので比較的頭が切れる選手でありつつも、運動能力にも長けて、かつ自分でボール持って走ったりもするので、体も強かったり、QBサックもされると比較的怪我しやすいポジションでもあるので、怪我にも強い、精神的にも強い選手が望ましいというふうにされています。
ランニングバック(Running Back=RB)
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ランニングバックは基本的に、ボールを持って…ランプレー、クォーターバックが(Cから)もらって、持ってるボールをもらってこうやってゴリゴリ、ゴリゴリ進めるというのが役割だったりします。
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比較的特徴としては、やっぱり足が速くてですね。衝撃に強いとか、ある程度がっしりした体になっているのが理想というふうにされていますね。
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フルバックはですね。基本的にはこのランニングバックがボールを持って進むための走路を開ける選手のことになります。例えばこういう感じでブロックしていって、この一人残った選手をこの人にブロックさせて、ここを走らせると。
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という役割もあったりするので、基本的にはブロックが専門、たまにランプレイで、自分が、この近いところですね、持ったりします。
で、フルバックはやっぱり基本の仕事がブロックなので、ランニングバッグよりもどちらかというと足の速さはそんなに気にしないんですけども、体が大きくてブロックが得意で、かつこの選手、たまにパスコースにも出たりするんですね、こうやってレシーバーとして。
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なのでちょっとパス取ることもうまかったりすると、器用さもある意味必要とされているポジションでもありますね。
ワイドレシーバー(Wide Receiver=WR)
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それから最後になるんですけれどもワイドレシーバーですね。まあこのフォーメーションだと2人ワイドレシーバー入ってます。3人入ったり4人だったり、1人だったりすることもあるんですけれども、まあワイドレシーバーというぐらいですからもうワイド、外側についていてクォーターバックが投げるボールを取るのが役割になりますよということですね。クォーターバックが投げるボールを取るとまあどちらかというとワイドレシーバーの選手っていうのは、そんなに体が大きい選手ではなくて、どちらかというとスピード重視、ボールを取るの、ボールを扱うのが上手くてですね。スピード重視でこういうスピードのあるディフェンスの選手なんかと常に相対している人なので、役割としてはパスを取ることが中心になります。
もちろんさっき言ったランプレーの時なんかでは当然こういった人たちをブロックする役目もありますので、
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ブロックすることも仕事のうちなんですが、メインの仕事というのはレシーブ、ボールを取ること、ということがメインになりますね。なので比較的すばしっこい選手というか、ランニングバッグ同様にですね。足が速くて、で最近はやっぱり長身でレシーバーの選手というのがすごく必要とされてますね。
OFフォーメーションのバリエーション
パスが多いチームなんかでは、例えばですけど、もうランニングバック一人で、レシーバー、ワイドレシーバーは4人だったりとかいうフォーメーションもあるんです。
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これも同じなんですね、一線目に7人いるんですね。で、一番外側の選手だけパス取れますよ。で、この人たちはどこについてもいいです。ここでもいいし、ここでもいいし、ここでもいいし、ここでもいいし。それはオフェンスの戦術によって違うんですけど、一線目に7人いるというのはオフェンスの絶対条件でありますよと、いうことですね。
例えば同じこういうランニングバッグが1人のフォーメーションでも、「ランプレー、結構僕らは比較的多く使うんだよね」というところで言うと、例えばですけど、こういう…タイトエンドを2人つけてですね。ここガッチリ、たくさん大きい人を前に並べてランプレーもできるし、
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この人たちがパスも投げれるし、この人たちもさっき言ったように両端の選手はパスコースに出られるので、こういったフォーメーションを使うところもありますよと。最近のトレンドとしてはだいたいこの、タイトエンド1人、ランニングバック1人、レシーバー3人というのが
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プロ(NFL)、カレッジ(NCAA)、日本の大学生、社会人でもここが一番ベースで、それからシチュエーションに応じていろいろ変わっていくというのが多くて、これが一番ベーシックなフォーメーションなのかもしれないですね。
パート2-3:各ポジションの特徴と役割(ディフェンス編①) ~ディフェンスラインとラインバッカー~
じゃあ次ディフェンスのパーソネルとか、一人一人の特徴について話をしたいと思います。
ディフェンスタックル(Defensive Tackle=DT) ノーズタックル(Nose Tackle=NT)
まず、僕はノーズタックルをノーズガードと言ったりもします。それからディフェンスタックルですね。
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この中の選手っていうのはもちろんパスラッシュ、クォーターバックに(パスを)投げさせないようにラッシュしてくる役割もあるんですが、メインの役割としてはやっぱり中央に来るランプレーですね。こういうのを止めるのがこの人たちの役割であります。なので、まずはこの人たちに求められるのはやっぱ大きいサイズですね、大きいサイズ。それから、大きいながらもそれなりに俊敏性っていうのは必要とされていて、こういった選手、オフェンスラインに対してですね、パワーだったりスピードだったりで勝負していくという選手が比較的多いですね。
ディフェンスエンド(Defensive End=DE)
次にディフェンスエンドになります。
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この人たちがやっぱり一番クォーターバックがパス投げる時にプレッシャーをかけられるんですね。こう、外側からこうラッシュしてクォーターバックサックしたり、もしくはクォーターバックにいつもよりも早いタイミングでパスを投げさせるようにしたりとかっていうことで、比較的ビッグプレイをする選手が多いということで、求められるのは、やっぱりこういった大きい選手たちとですね…この人たちとも対峙しなきゃいけないので、それなりのサイズはあると思います。かつ、やっぱりスピード。このタックルもですね、アスリートが多くなってきて、そうするとタックルに勝てるようなスピード、運動能力のものすごい高い選手がここには求められます。なので、単純にディフェンスラインで大きければいい、ということではなくてその中でもやっぱりこう外側を守る役割もあるので、ランプレーですね、そうするとこういうランニングバックの速いスピードにも対抗していかなきゃいけないということを考えると、やっぱり大きいサイズがありながらも、例えばノーズタックル、ディフェンスタックルと比べると、よりスピードが、クイックネスですね、が求められるポジションというふうになっていますね。
ラインバッカー(Linebacker=LB) インサイドラインバッカー(Inside Linebacker=ILB) アウトサイドラインバッカー(Outside Linebacker=OLB)
続いて、ラインバッカーの話に行きたいと思います。ラインバッカーはですね、ここで言うと3人ラインバッカーを書いていますね。
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僕らはよくここをボックスって言うんですけどね。タックルとタックルの間のことをタックルボックスと言って、この中はもう本当に人と人とがぶつかり合って、ランニングバックがボールを3ヤード4ヤードゲインしたりとか。インサイドラインバッカーはやっぱり一番タックル数が多い選手。タックルがうまい選手、それからこういうオフェンスラインがブロックして出てきた時にも対峙できる選手が必要とされてます。なので、この他のラインバッカーの中でも比較的やっぱり体が大きいですね。横幅も大きくて、オフェンスラインとも対抗できてかつランプレー、しっかりタックルできる選手というのが求められますね。
それからさっき言ったセンターとかクォーターバックと同様にインサイドラインバッカーっていうのは、このオフェンスのフォーメーションに対してディフェンスがアジャストするときに、やっぱり基本的にサイン出すことが多いんですね。特にこのボックスの中のことに関しては。比較的体が大きくて、タックルがうまい選手でありながらも、リーダーシップがあるとか、サインコールができるとか、プレーのアジャストができるとか、そういった意味では頭の切れる選手が多いところだと思います。
インサイドラインバッカーに対してアウトサイドラインバッカー、外側の選手ですね。外側の選手で言うと特徴としてはですね、この選手さっき言ったみたいな他のインサイドラインバッカーと同様にランニングバックをタックルしにいく時も当然あるんですけれども、インサイドラインバッカーと比較して、例えばタイトエンド、それからレシーバーのパスコース、パスカバーもしなきゃいけないんですね。
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もちろんこの選手も、インサイドラインバッカーもパスの守備するんですけれども、どちらかというとアウトサイドラインバッカーに関して言うとランプレーも守れてパスも守れる選手。インサイドラインバッカーに比べてサイズが、背が大きかったり、足が速かったりする選手が多いですね。こういったパスを取れる選手に対しても対抗できるというようなスピードが必要とされています。で、この人ですね、こういったところでパスラッシュしたりもするんですね。
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というので、比較的高い運動神経が必要されるポジションですね。ランも守ってパスも守る、たまにはパスラッシュもしますよということで、この2人というのは、この2種類のアウトサイドラインバッカーとディフェンスエンドというのが、とにかくサイズもあって、足も速くて運動神経も高くてという選手が非常に多いですね。
パート2-4:各ポジションの特徴と役割(ディフェンス編②) ~ディフェンスバック~
コーナーバック(Corner Back=CB)
コーナーバックはさっきのワイドレシーバーと同様ですね。7割~8割パスを守るというのが自分のメインの仕事ということになってます。
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コーナーバックの前には、相手チームの中でおそらく足が速いだろうとされるレシーバーがいるので、ゾーンで守るにしろ、マンツーマンで守るにしろ、こういった人たちと対峙しないといけないということで、比較的、チームの中では多分一番スピードがある選手を、だいたいコーナーバックに持ってくることが多いです。なので、とにかく俊敏性ですね。サイズが小さかったりしても、こういった選手とスピードで対峙できるということが一番求められるポジションであります。
セーフティ(Safety=S) ストロングセーフティ(Strong Safety=SS) フリーセーフティ(Free Safety=FS)
セーフティーは、ストロングサイドのストロングセーフティ、逆サイドのフリーセーフティ、2種類あったりもするんですけど
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基本的には役割としてはそんな大きく変わらなくて、この人たちもやっぱりまずはパスをしっかり守るというのが重要な役割になっています。かつ、例えばランニングバッグのランプレーがわーっとこう出た時にですね、最後にタックルできる選手はこのセーフティなんですね。このセーフティが、要はこの人たちを止められなければ、
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もうこれはもうタッチダウンにつながるよと。もう一気に得点につながってしまうということなので、パスカバーはもちろんなんですけども、やっぱりタックルの重要性ですね。しっかりこういった抜けてきた選手を止められる、かつスピードがあってこういう選手たちとも対峙できる、というようなことが必要とされています。
セーフティはですね、やっぱり守備に関しては基本的にこう…オフェンスのフォーメーションを見て「おー、サインこれに変えるぞ」とかですね、「やっぱりブリッツこういう風にしよう」とか、「ブリッツ無くして普通に守ろう」とか、いろんなアジャストをするのが大きな役割になってます。だからより広いビジョンで他の10人、9人をしっかりコントロールする役割も必要になってくるので、もちろん運動神経も必要なんですけど、頭脳明晰というかですね、あのいろんなことを察知して他の10人にしっかり指示を出せる選手というのが求められるポジションになっています。
DFフォーメーションのバリエーション
今ここに書いてあるのは俗にいう「フォー・スリー」ですね。「フォー・スリー」っていうフォーメーションで書いています。
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4人のディフェンスラインに対して3人のラインバッカー、加えて4人のディフェンスバックですね。大体これがベーシックなフォーメーションでもあります。
で、中にはですが「スリー・フォー」。
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3人ディフェンスラインですね、に対して4人のラインバッカー。こういったところを使うところも多いですね。
パスが多いシチュエーション、3rdダウンとか4thダウンになると、ディフェンスバッグ、5人目のディフェンスバッグを入れて、例えば4人のディフェンスラインに対して5人のディフェンスバックを入れると。だいたい5人目はニッケルバックって呼ぶんですけれども、
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まあパスが多い時にはこういったスピードのある選手をより多く入れると。で本当に、もう絶対このシチュエーションはパスだよねっていうことがわかっていたりすると、例えばですが…もう一人。ラインバッカー抜いて今度「ダイム」ですね。
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ディフェンスバッグを6人使ったりするフォーメーションもあったりします。これはコーチの考え方、ディフェンスがどういうふうに相手を止めるかと、もしくはオフェンスがどういうプレイが多いかということでだいたい決まってくることが多いです。
今、NFLではスタンダードとしては、だいたい4人または3人のディフェンスラインに対して、2人もしくは3人のラインバッカー、加えて5人のディフェンスバックっていうのが、基本的にはスタンダードなスタメンということが多いです。
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