YouTubeチャンネルにアップロードした「アメフト観るなら、攻守のじゃんけんを見る!」⑦ー1と2の統合版「サイドラインの考え方(ディフェンス(DF)の仕掛け)」です。
アメリカンフットボール編⑥では、アメリカンフットボールの攻守の駆け引きについて教えていただきました。
アメリカンフットボール編⑦では、ディフェンス(DF)の仕掛けについて、今回も桜美林大学アメリカンフットボール部「スリーネイルズクラウンズ」前監督の関口頼久さんに伺いました。
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パート⑦−1 プレッシャーのかけ方
絶対ここで相手に1stダウン取らせたくないというシチュエーションって必ず試合中何回か出てくると思うんですね。例えば3rdダウンでロングが残りましたよというと相手は例えばレシーバーをいっぱい入れてきてショットガンやりますよというようになった時に、まあ当たり前なんですけどプロテクションをするんですね
クォーターバック(QB)を守るのはこの5人(の)オフェンスライン(OL)プラスまあランニングバック(RB)が参加したり、参加しなかったりするっていうのがあるんですけども。それに対して通常は3人だったり、4人でパスラッシュをするというところに対して、さらに例えばラインバッカー(LB)ですね、場合によってはセーフティ(S)みたいな選手もラッシュさせて、5人だったり6人でラッシュさせることによって、パスを投げる前にQBをタックルしてしまおうっていう、まあパスの止め方ですね。
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もしくは後ろの人数を増やして今度はインターセプトを狙う、まあこういったこともあるんですよね。そうは言ってもいつもブリッツ(Blitz)ばっかかける訳にもいかないので、なんか上手くOLのですね、ブロックをかわすことができないかと、っていうところで一つ生まれたのがスタンツなんですね。
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まあパスプロテクションこの5人の(OLの)選手たちがどうやってこの4人の(DFの)選手たちをブロックしようというのは、こういう風についたらこういった形でこの人たちをブロックしましょうっていう風な、必ずどこかでルールができてるはずなんですよ。ブロックする相手が決まってる時に、じゃあクロスしたらどうですかね。
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例えば自分がブロックする選手が内側に来たら、この人(T)内側(を)当然見ますよね。その裏側(に相手が)来るとわーってなかなか追いかけられないと。だからこれ「スタンツ(Stunts)」って言うんですけど、ディフェンスライン(DL)の選手もしくはLBも加えてこうクロスしたりとかですね。両サイド(の選手)がこっち側に流れて、今度この選手(DT)が大きく回ってくるとかですね。もう見えないですね、こういう選手(G)にとっては。
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なのでいろんな形でDLをクロスさせながら、OLのプロテクションを破るという作戦もあるんですね。なので単純にパスを止めるといったことでも、止め方にしてもそのチームの特徴、ブリッツでやるのか、スタンツ(で)来るのか、それとも後ろのカバーを増やすのかみたいなことですね。こういうところを見るのも一つポイントかなという風に思います。
Q:オフェンス(OF)はブリッツにはどのように対応するのですか?
パスコースにOFで出られる選手っていうのはどんなに多くても5人なんですね。まあQBも一応(パスコースに)出られるんですけど、(QBはパスを)投げる人なんで、まあそう考えると5人なんですね、パスコースに出られる人っていうのは。仮にDFが6人ラッシュしてきたら(レシーバーのマークは)もう絶対マンツーマンなんです。
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1対1(でのDF)だと必ず、(DFの選手)全員がいい選手っていうことは難しいんで、どこかにミスマッチが生まれるんですよ。この(ワイド)レシーバー(WR)とこのコーナーバック(CB)だったら絶対こいつ(WR)の方が勝つよなあっていうんだったらそこ狙うとかですね。これ一個の考え方です。
あとは例えばランニングバック(RB)がいてこの短いコースを走らすとしたときに、いやいやもしこの外側の選手(OLB)がブリッツしてきたら、もうオートマチックにこの選手(RB)に投げるよというのを。これ「ホットレシーバー」っていうんですけど。
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この選手(OLB)が入ってきたら誰も(RBを)ブロックしないからオートマチックに(RBに)投げるよと知っておけば、(OLBが)入ってきたって(RBが気づいたら)すぐQB(を)見るんですね。QBは(RBに)すぐ投げる。そうすると今度後ろにスペースが、今度広いスペースがあったりするので、そうしたらそこを今度短いパスでも取っていけると。
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まあマンツーマンになった場合ミスマッチを狙うか、こういうホットレシーバーを狙うか。まあそういったことで空いてるレシーバーを作って、なるべくブリッツがQBに届く前に早くパスを投げちゃおうというのが基本的なブリッツへの対処の仕方です。
Q:その他の対抗策はありますか?
プロテクションを増やす場合もあります。これは一長一短あるんですけど。例えばこの選手(OLB)明らかに入ってきますよねと。こんな一線目にいてわかっていたら、本当だったらこの人(RB)パスコースに出る予定だったんだけど、いやいやちょっと一枚多く(DFが)入ってくるから、あなた残って6人でプロテクションしてくださいと。
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ただ難しいのはこの5人の(OLの)選手っていうのはブロックするの専門じゃないですか。まあ例えばたまにこういう人タイトエンド(TE)なんかをプロテクションにしたり残したりすることもあるんですけど、TEもRBもどちらかというとボールを持ってプレーすることが本職だったりするんですよ。この人たち(OL)ほどプロテクションが上手くないんですよ。
こういうスピードもあって獰猛な選手が入ってきた時に果たして綺麗にプロテクション、ブロックできればいいんですけどそうじゃないと、ただプロテクションにしただけ無駄になっちゃうんで、だったらこの人(RB)を早めにパスコースに出して早めにパスを通そうっていうのが、さっきのホットレシーバーの考え方で。
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いやいやこの人(RB)ものすごくプロテクション上手いからブロックさせようよっていうのがプロテクションを増やすという考え方ですね。なのでどういう選手を持ってるのかによって、そのアジャストの仕方も変わるということになってきます。
パート⑦−2 ディフェンス(DF)が仕掛るタイミング
Q:ディフェンス(DF)はどのような時にプレッシャーをかけるのですか?
(トム・)ブレイディ(Tom Brady:NFL史上最高と評されるクォーターバック(Quarterback=QB)の1人)なんかはブリッツ入ってもらった方が得意なんですよ。つまり後ろ(を守る選手)が1人少なくなるじゃないですか。そうすると(パスを)投げやすくなるのは事実なんですよ。ボールを持ってる時間が短くなるんで。長くなると(QB)サックされちゃうんですね。だから判断力がいいQBなんかはブリッツ入ってきてもあんまり困らないし。
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まあそれに、例えばブレイディのさっきの話に対して、あんまり経験が少ないQBだと、例えばですね、インターセプトしたいからブリッツ入れるっていうのもあるんですよ。つまり5人ラッシュ来たってその時点でブリッツに弱いQBはもう気分的にちょっと萎えてるんですよね。早くボールを離さなきゃっていうことだけが頭に入ってると、レシーバーが本来いくだろうコースにまだ達してないのに先に(パスを)投げちゃう、つまりスローイングミスも発生しやすくなるってことですね。
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そうするとこの辺でボール奪いたいなっていう時に(QB)サックももちろんなんだけれども、それよりさらに先にQBにプレッシャー与えて変なパスを投げさせる。(そうすること)によって、例えばインターセプト狙うとかですね。この辺の考え方をミックスさせる場合もあります。
だからボールが欲しい時、それからモメンタムチェンジャーですよね。それから前半の傾向から見て、プレッシャーが入ってる時にどうもパスの成功率、どうやら相手のQBよくないぞっていうことがわかっていたりすると、後半肝となるシチュエーションでやっぱりブリッツ入れるっていうのは、まあそういうのが大体きっかけだと思いますね。
逆に思ったより全然(QB)が動じてないなと。全然(ブリッツがQBに)届いてないし、全然(QBが)動じてないなみたいなこともあるので。あとはこのシチュエーションになったら必ずブリッツ入れるって決めてる時もあるんで、まあきっかけは色々だと思うんですけども何かしらの理由があってブリッツ入れてるっていうのが本当のところだと思います。
Q:その他にもDFによる仕掛け方があれば教えてください
そうですね。まあもちろんブリッツ入れる風に見せかけて行かないっていうのも当然あったりするんですけど。ディフェンスバック(DB)のローテーションっていうのもあります。例えばなんですけど、前にちょっと話した「カバー2」みたいなですね。(ディープゾーンを)1/2(に分けて)アンダー(ゾーン)ファイブ(5人)と。
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5人アンダー(ゾーン)にいて2人でディープ(ゾーン)を守りますよっていうカバーに見せながら、実はこの(カバー2の)形からこの2人(のCB)が下がってこういうことで。これ「スカイローテーション」って呼ぶんですけど。でローテーションしてカバー3になったりとか。(カバー)2に見せかけてからの(カバー)3(になる)とか。
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逆に言うとこれ こういう「クラウド」、こういう「クラウドローテーション」っていうのがあるんですけど。こうですね。こういう「クラウドローテーション」ですね。
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あとはそのよく日本のDFなんかで多いんですけど、学生のDFなんかで、そんなにやっぱり肩のいいQBってたくさん揃ってる訳じゃないので、パス投げるんだったら狭いサイドに投げたいと、要はレシーバーとQBの距離が近いところに投げたいって思う選手はすごく多いんですね。
そうすると(DFが)何をしてくるかっていうと、ここに人を多くさせるんですね狭いサイドに。で狭いサイドのパスを消すと、勝手に相手は広いサイドでミスしてくれる。そもそもパスが上手くないからというところもあって、日本なんかでは狭いサイドに人を、こういうの「ローテーション」っていうんですけど、ローテーションさせることが結構多々見られます。
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Q:最後の例は相手のパスを通しにくくする工夫ですね?
そうですね。そうですね。
Q:最初の2つのローテーションの意図はなんですか?
カバーによってどこが強くてどこが弱いっていう、強いところと弱いところがあるので、それをまあ明確に(把握させて)プレー(を)QBにさせないっていうことですね。やっぱり本当にコントロールが良くて肩が強いQBだと(どこが弱いか)バレてるとどんどんパス通っちゃうっていうシチュエーションが出てくるので、こういうローテーションをすることでDFが弱いところを隠し続けられるというか、そういった目的を持ってローテーションをしたりしますね。
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