YouTubeチャンネルにアップロードした「バレーボール観るなら、メンタルを見る!」⑧ー1から3の統合版「身長差/男女差/データの活用」です。
バレーボール編⑦では、バレーボールのディフェンスについて学びました。
今回も、全日本男子バレーボールチーム監督や(公財)日本バレーボール協会の女子強化委員長などを歴任され、現在(撮影時)は大同生命SV.LEAGUE WOMENに所属するPFUブルーキャッツ石川かほくのGMでいらっしゃる寺廻太さんにバレーボールにおける身長差、男女差、そしてデータの活用について伺いました。ぜひ観戦の際に参考にしていただければと思います。
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パート⑧-1 身長差の影響
Q:バレーボールにおいて「背が高いこと」の最大のメリットは何だとお考えですか?
基本的に(身長が)デカい人っていうのは高いところに早く到達するんですよ。チビがそこに到達しようと思ったら、もう本当に0コンマ何秒の差だけど、やっぱり時間がかかるんですよ。(より高く)ジャンプしなきゃいけない分。だからデカいやつ(=選手)はジャンプしなくてもそこに到達するんですよ。この差は大きい。

それである程度速く向こうのミドル(ブロッカー=MB)なんか動いちゃうから。(身長)2m5(cm)でも10(cm)でもパッパッって動いちゃうから。だから早く(高いところに)到達する、早く。だからそれが、それが嫌かな、一番。(相手が)高いところに早く到達する(ことが嫌)。で僕はチビだから、やっぱり時間がかかるんですよ、そこまで(到達するの)に。それって不利なんですよ。
より早く打てるんですよ、クイック(を)。だからミドル(MB)がすごい厄介なんですよ、特に。(高さ)350cmのところにデカくて早く飛べる奴(=選手)がいたら、(アタックを)早く打てる訳ですよ。だけど(小さい選手が)そこに(到達点を)持っていこうと思ったら、(背の高い選手よりも)先に飛んで、先に飛んでそこに到達するまでの時間を作らなきゃいけないです。

同じスピード(=早さ)で(アタックを)打とうと思ったら、こいつ(=身長の高い選手)はパパーンと(アタックを)打つけど、(身長の低い選手は)ウワーンと行ってここまで(到達するまで)待ってて、トスを上げてもらって(アタックを)早く打つしかないっていう(ことになる)、オーバーに言うと。だからその差は大きいですよ。(アタックを打つのが)同じ高さでも。
で(身長の低い選手が高く飛ぼうとすると)やっぱりブレがあるんですよ。やっぱり(より高く)ジャンプしようと思うと、(到達点が)340(cm)ぐらいだったり、350(cm)ぐらいだったり(ブレる)。でもデカくてその辺ってあんまり飛ばなくても到達する(選手)だったら、常にそこ(=同じ打点)で(アタックを)ヒットしてくるから、(身長が)デカくて。その差は僕は痛感することはあります。

Q:同じことはブロックにも当てはまる訳ですね?
そうなんですよ。(背が低いとブロックが)早く完成しないんですよ、だから。(ブロックするときに)こういかなきゃいけないから。チビだから。だから(ブロックを)早く完成しようと思ったら高さが取れないじゃないですか、ジャンプするのに。(腕を前に)出そうと思ったらそこ(の高さ)まで行くまでに時間がかかるんで。デカい奴(=選手)はパッと(ブロックを)完成しちゃう。この差は大きいと思う。

だからこれからやっぱりでも日本の男子、女子はそんなにいないけど、男子は(身長が)2m超える子(=選手)も出てきてるから結構。甲斐(優斗選手)とか、いい選手が。だから(日本チームの今後は)まだまだ面白いんじゃないかなと思いますね私は。
Q:ブロックの完成に時間がかかる分日本チームはフロアディフェンスの構築にも時間がかかってしまう訳ですね?
だからよりハードワークしなきゃいけないんですね、日本の選手は。レシーブにしても、なんにしても。
Q:身長が低いことでブロックの上から相手に打たれることはリスクではないですか?
でもね、(アタックをブロックの)上から打たれる方が、結構(相手が打つところが)見えるから、(ディグが)上がる/上がらないは別にしても、対応はそんなに難しくはないんですよね。

だから身長のハンデっていうのはあるはありますよ、そりゃもう。でもそれはもう(バレーボールが)身長別でない限りは(その差は)埋まらない話なんで。まあ、その意味では今(日本チームが)やっているバレー(ボール)は、男女ともいいバレー(ボール)はしていると思いますね。
Q:そのようなハンディがある中で日本チームとしてはやれるだけのことをしながら戦っている訳ですね?
やっていると思います。まだやれるところがあるんだと思うけど。だからそれぐらいで勝負するぐらいで僕はいいんだと思いますよ。日本のバレー(ボール)はやっぱりそこで生きていく。それが日本の道だと思っているし、それができる。僕は(日本人はそういう)人種だと思っているんで。(日本人は)きめ細かく(プレーできる)。
パート⑧-2 女子バレーの魅力
Q:日本の男子チームと女子チームは基本的には類似の戦術の下で戦っていると考えてよいのでしょうか?
似通ったバレー(ボール)はしています。やっぱり(男女とも)ディフェンスを中心に粘りのバレー(ボールをやっている)。でテクニックがあるっていう(特徴がある)。

やっぱりディフェンスは(日本は)男女ともやっぱり世界のトップクラス(にいる)。だからその意味ではすごく日本人に合ったスポーツなんじゃないかなっていう風には思ってはいますけどね。
Q:男子と女子ではどうしてもフィジカルの差などもあり女子の方が見劣りしてしまう競技もありますが、バレーボールの場合はいかがですか?
他のスポーツに比べたら、僕は、卓球はそんな(=女子が見劣りする)ことはないじゃないですか。バレー(ボール)もそんなことはないと思うんですよ。だからそういう意味では団体競技の中では(バレーボールは)稀有な存在(だと思う)。
女子(のバレーボール)が男子を追いかけている。でもやっぱり体力的なところはやっぱりどうしても(女子は)男子に勝らないけど、女子バレー(ボール)っていうのは一つのラリーが(男子に比べて)続くとか、ちょっと独特なものがあるので。よりメンタリティ(が重要)だし。
だからそういう意味では男子バレー(ボール)と女子バレー(ボール)の違いっていう、(男女のバレーボールが)どこが一番違うって言ったら、(男女のバレーボールは)近づいているけど、やっぱり男子は迫力、女子は繋ぎ(という特色がある)。
実は女子バレー(ボール)と男子バレー(ボール)って(女子のネットの高さが男子の)19cm下なんですよ。
※シニア(年齢制限なし)の場合、ネットの高さは男子=2m43cm 女子=2m24cm
また(ラリーが)繋がった、また繋がったっていう、そういうちょっと異ことなるところが(女子バレーボールにはある)。でもより男子(バレーボール)も(ラリーが)繋がってきたり、よりでも女子(バレーボール)もパワフルになってきたり。
でも女子バレー(ボール)はだいぶね、もう本当に。もう今回(=パリオリンピック)の決勝の(パオラオジェキ・)エゴヌなんか見ててももう男子と一緒だし。
※パオラオジェキ・エゴヌ選手:パリオリンピックで優勝した女子イタリア代表チームのオポジット
その意味ではどんどん(男女のバレーボールは近づいている)。でもやっぱりその差は埋められることはないと思いますよ、男と女が。
バレー(ボール)がいいのはやっぱりネットの高さが男女で違うっていうのがいいですね。これがやっぱり他のスポーツにはない(女子バレーボール独特の)迫力を出すんだと思いますよ。サッカーであればフィールドをちょっと狭くしてゴールを狭くすると女子選手も活きてくるし、バスケット(ボール)だったら(女子の試合ではゴールの高さを)3mのところを2m90(cm)くらい(の高さ)にすると、ダンク(シュートを)する女子選手が出てくるかもしれない。
※バスケットボールのゴールリングの高さは3m05cm
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そうするとまた(女子の競技の)面白さが出るかもしれない。
パート⑧-3 データの活用
もうこのデータバレー(ボール)が出る前からアメリカはすごいデータを重視してて。このローテーションではこの選手が何パーセント(攻撃をして)きて、その選手はどういうふうに打つとか全部、もうローテーションごとに全部インプットして。もう30年くらい前からやっていますんで。それがどんどんどんどん、その何ていうんですかねえ、高度に、色々分析のスピードもアップしたりしてますので。

まあこれは他のスポーツにも言えるんですけど、やっぱりデータとかっていうのは絶対ではないんですけど、かなりのそのウェイトを占めているっていうのは、バレーボールにおいてはすごくデータっていうのは大事になってきていますね。
Q:そのようなデータを活用することによって日本のような背が低いチームが戦い方を見出している訳ですか?
いやデータ(の活用)はもう世界全部、どこの国もやっているんで。もう優劣(が)つかないくらいやっぱりどこの国もやっていて。それをデータをいかに本当に有効に活かすかっていうことの方が大事かな。
だから日本独自ですごくデータ(の活用)が発達しているとは僕は思わないし。世界的にも本当にみんな(=各国が)アナリストを何人も抱えて(データの分析を)やっているようなのが現状なんで。あとは(日本は)それ(=データ)をどう使って、どう選手がそれを活かしていくかっていうのが優れたチーム、国になっていかなきゃいけない。
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