YouTubeチャンネルにアップロードした「バレーボール観るなら、メンタルを見る!」②ー1から4の統合版「メンタルの重要性」です。
バレーボール編①では、バレーボールの“仕組み“について学びました。
今回も、全日本男子バレーボールチーム監督や(公財)日本バレーボール協会の女子強化委員長などを歴任され、現在(撮影時)は大同生命SV.LEAGUE WOMENに所属するPFUブルーキャッツ石川かほくのGMでいらっしゃる寺廻太さんにバレーボールにおけるメンタルの重要性について伺いました。
ぜひ観戦の際に参考にしていただければと思います。
パート②−1 心技体
僕がすごく強調したいのはですね。体力、技術、メンタルってよく言うじゃないですか。心技体って。
私の意見はですね、もう80から90(パーセントは)メンタルなんですよ。上(のレベル)に行けば行くほど。でなぜかっていうと、そこまで行ってる選手って技術的にも体力的にも鍛え上げられてる訳ですよ。
強いメンタルによって技術も支えられる。体力もよしまだいけるぞっていうことに(なる)。で試合する時によし絶対俺ら負けない。こういう風な(試合の)組み立てをやってる(と)自信を持って戦えるかどうか。でどんな(状況の)時にもやっぱり落ち込まない。前向きに(試合をする)。(相手に)点を取られても、いやまだまだまだ。まだ行ける、まだ行けるっていう(心理状態)。
Q:そういうメンタルの状態である選手は活躍しそうですね
もうね、(そういう選手はトスを)自分に上げろって(いう考えになるという)ことですよね。もう例えば西田(有志選手)が打てば決まる(ほど好調な)時あるじゃないですか。
※西田有志選手:パリオリンピックにも出場した男子日本代表の中心選手
あんなの全部(彼にトスを)上げりゃいいんですよ、極端に言えば。(彼の攻撃が)止められるまで。もう6割7割(彼の攻撃が)決まるんだから。だからそういう(状態の)時って無双状態になっちゃうんですよね。
だからそういう(状態の)選手が試合中に(自チームに)何枚かいてくれるとそのチームは非常に強いですよね。だからそういう(状態の)選手を見つけ出すのもセッター(S)の役割だったり、ベンチの役割だったりするので。
Q:そういう選手がきれいにブロックされたりした場合に流れはどう変わりますか?
あえて(その選手を)もう1回使って次(の攻撃が)決まったら(大丈夫)。でも2本連続、また(相手にディフェンスを)決められちゃうと、ちょっと(状況は)厳しくなっちゃうんですよ、一気に。だからその辺が面白いんですけどね、(試合を)見てたら。(お互いの)せめぎ合いだから、もう。
でも(好調な選手に相手の)ブロックも集中してくるじゃないですか。でもそれでも(攻撃を)決めちゃうっていう時もありますし。だからそれを見てるだけでも、あぁこれちょっと今(流れが)ヤバいからちょっと他の選手(が)頑張らなきゃいけないなぁとか。だからそういう意味では、今の男子バレー(ボール日本代表でS)の関田(誠大選手)とかうまく(トスを)あげてますよね。
※関田誠大選手:パリオリンピックにも出場した男子日本代表のセッター
結構(メンタルについては)見逃すじゃないですか。普通に(試合を)見てると。だからその辺(=メンタル)までちょっと自分の中で想像しながらバレー(ボールの試合)を見ると。あ、この選手ちょっと今ちょっと動揺してるのか。こいつ絶好調だなぁ。こいつに(トスを)全部上げときゃいいじゃないかとか。
だからそういう、なんて言うんですかねぇ。(選手の)好不調だとか、相手のそういうメンタル状況っていうのも監督とかは見てますから。あぁあの選手今ちょっと(メンタル的に)弱ってるよとか、あの選手今ちょっと弱気だよとか。
だからそこで(流れが)変わるのがメンバーチェンジだとかっていうことがある訳じゃないですか、バレーボール(には)。だからバレーボールの見方を変えると、本当に(面白さが)数倍っていうか、もうめちゃくちゃ(バレーボールが)面白いと思いますね。
ただ(攻撃が)決まった、あぁ(攻撃が)決まらなかった、(アタッカーが)ミスしたなとか(という見方)よりも、これなんで(ディグが)上がったんだろうって(考えながら)。これ何で(今のプレーが)こうなったんだろうっていうのが。あぁあの選手今ちょっと動揺してるなとか。
その辺までちょっと自分なりに想像しながら(試合を)見ると、より一層バレーボールを楽しめると(思います)。
パート②−2 流れとは?
Q:流れって何だとお考えですか?
よく言うじゃないですか。自分たちの時間ですよとか。それって自分たちの有利な、なんて言うのか気持ちが(続いている)
でも何とか(相手がその時間帯を)耐えながらサイドアウトをとって追いついているっていう。わかるんですよね(試合を)やってて。何とか追いつく。そこにポンポンってやっぱり向こうに行かれちゃったら。
その逆もそうですよね。(自分たちが)有利だと思っているのにずーっと(相手に)ついてこられて、こっち(のチーム)がボーンって行ったらこっちにいきなり勢いが出るっていう。(流れというのは)そういうことだと思うんですよ。
バレーボールで言えばサイドアウトが繰り返されている時っていうのは、主導権が行ったり来たり(している状況)だと思うんですよね。(どちらかのチームが)連続3得点挙げた時にやっぱり僕は流れは変わると思いますね。
でそれ(=連続得点の影響)がすごく大きく出るチームと、すごく抑えられて、いや大丈夫 大丈夫っていうチームと。それ(の違い)もメンタル(の差)。
だから流れを生むのはやっぱり実際のプレーであるんだけど、その後の気持ちの動きっていうので流れ(がどう変わるか)はずいぶん変わるんでしょうね。この(流れの)乱高下で。
強いメンタルを持っているチームがやっぱり多少の、なんて言うのかな、(相手の連続得点に)あんまり影響を受けないかもしれないと。すごくこう(相手の連続得点に)動揺して、どんどんどんどん(プレーが)悪くなっていっちゃう(チームもある)。
Q:ということは、一時流れが悪くても諦めなくていい訳ですね?
そういうことなんですよ。だから(相手のディフェンスに)シャットアウトされても動揺しない選手がいたり。あぁ大丈夫 大丈夫。今の(攻撃が止められたのは)俺のショットミス(=打ち損じ)だから、次にもう一丁(トスを)持ってきたら次(は)決めてやるからとか(いう強いメンタル)。本当にそこで(その状況を)実現したりするっていうのが(メンタルが)強いチームですね。
そこで(攻撃が)シャットアウト(を)食らったら、口ではもう1本(トスを)持ってきてって言っている割に、もう気持ちは動揺して(アタックを)打つ時にもう置きにいっちゃったり(=弱気な攻撃をする)して、また(相手に)攻められちゃうっていう(悪循環になる)。この差はデカかったりして。
だからその辺(=メンタル)をやっぱり練習の時とか実際の試合で、鍛え上げて強くなるっていうことがあるんじゃないですかね。
Q:バレーボールではボールを持てず、ヒットするしかないという不確実性も関係するのではないですか?
(1人で)2回(ボールに触るということを)やっちゃダメだしね。(バレーボールは)必ず次の人に(ボールを)預けるスポーツなんで。
だから(バレーボールでは)流れは変わりやすいんだと思いますよ。で(バレーボールには流れに影響する)いろんな要素があるじゃないですか。アタックをガーンって打ったのをボーンって(相手のブロックに)止められてうわーってなる。なるじゃないですか。で向こう(=相手)はこう(いう気持ちに)なる。こっちはうわーやられたね(って思う)。
だからそういう要素が(バレーボールには)すごくあるんだと(思います)。サーブでドーンって(攻めて)いって、もうパーンって(相手がミスして)かーっっていう(気持ちになる)。そういうとこからこう(気持ちが盛り上がっていく)。
だから(バレーボールって)すごくそういう(要素の多い)スポーツじゃないですか。もう1点1点がこう(両チームの)せめぎ合いで守り合いで。攻守がどんどん入れ替わる中で。
だから本当にメンタルは流れに結びついてきますよね。1つのプレーでグッと流れが変わったり(する)。だからバレーボールって面白いんだと思います。
パート②−3 メンタルと流れ
Q:バレーボールではメンタルが流れに大きく影響するのでしょうか?
うんかなり大きく(影響します)。だから取れるセットを(メンタルの影響で)取れなかったり。反対にこれ相手がちょっと、(相手が)そうしたから してくれたから(セットを)取れたよねっていう風な(こともある)。もうそういう試合は結構ありますので。(数多く)試合をやってると。
今サーブここからこの選手に集中して(打った時に)。でブレイクポイント…サーブ(を打った側に)要するにポイントされたと。で次もここに(サーブが)行ったと(する)。今度はもう(レセプションを)崩されてまたこっちがブレイクする。いいサーブを打っている訳です。
で次もここ(にサーブが)行ったらまた(レセプションが)崩れたと(なると)、この選手はやっぱり相当やっぱりちょっと自信をなくしてる。いや(相手のサーブは)いいサーブだけど、やっぱり(自分が)ちょっと狙われているなと(思う)。いろんな状況の中で、やっぱり平常心でなくなっている時に(次の)サーブがボーンと強く(オーバーして)行くことによって、この選手はおっ良かったって(心境になる)。このチームも良かったっていう(雰囲気になる)。
もうただ(サーブを)入れておけばちょっと(メンタルが)崩れるような状況の中でミスをするっていうのもあるんですよ。
これはメンタル(の影響)なんですよ。だから相手はちょっとここ嫌だなって思った時に、(相手が)サーブをミスられるとよし良かったっていう(気持ちになる)。で反対にこっち(のチーム)はやっぱりあぁ失敗したなっていう。そういう精神的な、この。なんて言うんですかね。有利不利っていうのが微妙にあるんですよ実は。平気な顔してますけど。(選手は)みんな。
例えばアタッカーであれば、自分の一番いい状態で(スパイクを)放った時に(相手のブロックが)2枚きても、こう絶対(ブロックを)抜けると思ってインナー(にスパイクを)打ったら、(ブロックに)シャットアウトされるっていうのは、非常にアタッカーとしてはダメージを受けるんですよ。でそこにちょっと動揺って走るんですよ。少なからず。
1本のシャットアウト、1本のサーブポイント(を相手に)される。でいろんな状況で。ネットタッチをするとか。その時にやっぱり平常心ではいられない状況っていうのがあるんですね。でそれは付け入る要素が相手チームにとっては出てくるっていう。それはすごくあります。
Q:弱気になって強くスパイクを打てない選手がたまにいますがそれが流れに与える影響は大きいですか?
大きいですよ。要するにもう怖いんでしょうね。だからメンタルですよそれも。
だからもう(セットの)20点以降になって、(相手の)ブロックが来たらちょっと怖いから、シャットアウトされないように(スパイクを)置きに行くとすると、それは当たり前のようにレシーブされる。これはもうメンタルそのもの(の影響)です。
でそれを見ていてあ、置きに行ったってわかるんですよ。これは狙ってそこにハーフ(ショット)で(打って)相手を崩してもう1回(ボールを)もらうっていう(狙いの)スパイクなのか、それとも、メンタル(の影響)でただ単にちょっと弱気になって(スパイクを)打ってるのかっていうのはわかるんですね。そういう(状態の)選手はやっぱりちょっと厳しいですね。
今の現代バレーって、特に(セットの)20点以降ですごい競り合いがあると、その辺の技術とか体力とか以上に、メンタルっていうのも大きく関わってくると思いますね。バレーボールって繊細なスポーツだと思うんで、メンタルで(局面が)ずいぶん変わってくる。
だからその辺も(意識しながら)試合とか見てみると面白いかなって。メンタルの部分とか、次どこに(トスを)上げるのだろうかなとか予想して見るっていうのは非常に面白いと思いますね。
パート②−4 流れが変わるとき
タイムアウト
Q:監督がタイムアウトを取るのはやはり流れをコントロールする狙いが大きいのでしょうか?
そうですね。で流れが向こうに行きそうなとき。(流れが相手に)行ったときと行きそうなときと体力的に(きついとき)。で一番(タイムアウトを取るの)はやっぱり(相手の)流れをちょっと一回止める(とき)。それ(=流れを止めること)が一番大きいんですよね。
あとアドバイスで、的確なアドバイスを入れるか。今こういう状況になってるから、こういう風(なプレー)にしようねとか。そういうことによってタイムアウトを使うってことですよね。
基本的にはいやここはちょっと危ないなっていう時に(タイムアウトを)取るわけだから、(言うことが)頑張れ!ではダメですよ。基本的にはここが正念場よって(言う)。(言うことは)もう1回立て直そうねって言うことですよね。
Q:良くないタイムアウトの取り方はありますか?
タイム(アウトを)取ろうかどうか迷っている時に、もう流れが変わってるって把握してるんですよ監督は。でも(対応を)選手任せにしちゃうんです。もういつも(試合を)見てるから、今流れが向こうに行ってるってわかるんですよ。普通の監督だったら。でそれ(=タイムアウトを取るタイミング)を流しちゃって、もう1点相手に献上して、そこでタイム(アウトを)取るんですよ。
このケースがすごく多いんですね。それで選手が頑張って(流れが悪くても)サイドアウトを取る時があるんですよ。でもほぼ(タイムアウトを取らないと)失敗しちゃうんです。
でもこれ(=タイムアウトを取らないことは)大きな間違いで。基本的にタイムアウトっていうのは、自分が(流れが悪いと)感じた時に、相手の流れに行ったと思った時に早め早めにタイムアウトを取るっていうのがタイムアウトの鉄則。鉄則です、これは。
でやっぱりベンチでできる最大のできることって、タイムアウトと選手交代しかないんですよ。であればそこにもう全精力を傾けるくらいの感じで。あとは選手が頑張ればいいですよ。流れをいかに断ち切ったり、変えていくっていうのがベンチの役割なんで。
それをやっぱりしっかり冷静に(遂行することが大事です)。だからタイムアウトにしても、メンバーチェンジにしても、やっぱり的確にやっていく。これがベンチの仕事(です)。
テクニカルタイムアウト
Q:現在は無くなりましたがかつてあったテクニカルタイムアウト(TTO)についてはどうお考えですか?
かえってない方がいいと思いますよ私は、テクニカルタイムアウトは。12点でテクニカルタイムアウトがあるとかっていったら、11点取られて流れが変わってるのに、次もうテクニカルタイムアウトだから(タイムアウトを)取るのをやめようって言ったら、そこに本当に(相手に1点)取られちゃって、テクニカルタイムアウトになるんですよ。
8(点)対8(点)でずーっとこういって、(相手に)9点取られて、10点取られて、11点(取られたら)、普通タイムアウト(をとる状況)ですよ。3連続(失点なの)で。でも12点(でテクニカルタイムアウト)があるから(タイムアウトを取るのを)やめとくかって。こういう事なんですよ、僕が言いたいのは。
テクニカルタイムアウト、僕は必要ないと思います。
チャレンジ
Q:近年導入されているチャレンジについてはどうお考えですか?
あれ(=チャレンジ)はいいと思います。そんなにもう(結果が出るまでに)時間もかからないし。で(ボールの)イン・アウトはもうチャレンジ(の対象では)ないですからね。
だからその(=チャレンジの)方式によりますね。オリンピック方式みたいにパッとすぐこう(結果が出る)っていうんだったら、チャレンジは大いにあり(だと思います)。
だけど今のV(リーグのチャレンジ)みたいに(結果が出るのが)遅かったり、ちょっと判定がちょっと疑惑があったりっていうものは、観客の人ももうなんか間延びするなぁとか(感じるチャレンジ)っていうのはあまり良くないと思います。
(私の考え方は)そんな感じですね。でもチャレンジそのものは私はいいと思う。否定しないですね。今の時代ですから。
(ブロックが)ワンタッチしたかどうか。おー(今のプレーは)ワンタッチだ。おーっていう(気持ちになる)。(チャレンジは)非常にいいと思いますね。
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