カーリング観るなら「FESRAIN」を見る!(その7)

カーリング観るなら「FESRAIN」を見る!(その7)

YouTubeチャンネルにアップロードした「カーリング観るなら、“FESRAIN”を見る!」⑦-1から4の統合版「石の配置」です。

カーリング編⑥ではカーリングのショットについて学びました。

今回も、2002年にアメリカ・ソルトレークシティで開催された第19回オリンピック冬季競技大会に、カーリングの日本代表として出場された松沢美香さんに、カーリングにおける石の配置の意味について教えていただきました。

カーリング選手がどのように考えて競技をしているのかがわかってくると思います。

パート⑦−1 ガードの位置の意味

まずはガードのポジションですね。センターガードは先攻がやる戦術で、センターライン付近に石が溜まっていると、どうしてもこの(センターガードの)後ろでの展開になってくるので、ハウスを狭く使えるというような意味合いがあります。

なので先攻としてはこのセンター(ガード)の後ろで戦うことによって、ハウスを狭くしてより相手に1点を取らせるような展開ですね。複数点を与えないためにハウスを狭くする。これが先攻が置くセンターガードの意味合いです。

反対に後攻はセンターを空けつつ、サイドで展開していくことによって(ハウスの)真ん中が空いている状態なので、例え何かサイドでいろんな展開が起こったとしても、最後1点だけは死守できるよねっていう展開。もう一つの意味合いとしては、ハウスを広く使えるので、2点3点の形を作りやすいというような意味合いがあります。後攻はサイドで展開することによってハウスを広く使っていきたいです。

このガードの位置もアイスの曲がり幅によってどこに置くのかっていうのが大事になってくるので、センターガードの位置だったり、どこら辺にガードを置きたいのかなっていうのをリードの1投目で見ると、ああこのアイスはどれくらい曲がっているのかなっていうのが(カーリングの試合を)テレビで見ててもわかるんじゃないかなと思います。

(2つの)ガードが近いと、2ついっぺんに出したいよっていう時は、当てどころ。(ガードが)2つ出る当てどころって、実は(当てた)黄色(の石)も動いていきます。

ただしガード(の間)が距離があると、実はあまり角度をつけて当てちゃあ…さっきと同じような角度をつけて当てると(ガードは)1個しか出ないので、結構厚めに当てる必要があります。ガードは2つ出ていきますが実は投げた石が残ったりする可能性があるんですね。

なのでダブルセンターガードは離すっていうのはそういう理由もあります。(ガードが)2ついっぺんに出された場合は、ガードが1つ残る可能性があるっていうのを実は狙っていたりします。なので(ダブルセンターガードは)離して置きたいんですよね。

(ダブルセンターガードが)くっついちゃったらもう。ああもう(2つとも)いっぺんに出されて、しかも当てた石も(出ていく)。もう(ガードする石が)何にもなくなっちゃうなっていう展開になっちゃうので、絶対にスチールしたいダブルセンターガードは絶対に離しておくっていうのが基本です。

こんな風に石の距離感と手玉をどうしたいのかっていうところで、当てどころっていうのは変わってくるのかなと思います。

パート⑦−2 ハウス内の石

ハウスの中の石の位置としてはもちろんですね。ガードがない展開ですね。ガードがない展開でも「ティーライン」と呼ばれる、このハウスの真ん中にある線よりも前に置くことっていうのがカーリングでは正しいドローという考え方になります。

なぜかというとティーラインよりも奥に行ってしまうと、今度こんな風にですね。相手に使われる石にもなり得るっていう考え方ができるので、ドローの基本としてはティーラインよりも前に置いておくというのが非常に大事になってきます。

これはコーナーガードの時も同じです。ティーラインより前に(石を)置いておくこと。これが非常に大事になってきます。ただし場所によってはですね、こんな風に相手がNo.1になりつつも、ティーラインよりも前なんですがバックガードに使われるパターンっていうのも実はあるので、コーナーガードの時のこの(石の)位置ですね。

例えばこう(いう位置に)なった時、センターと(石と)の関係性なんですが、これで(石同士が)ついちゃうと、こっち(の黄色の石)がNo.1ですけれども、これって実はきっと前から結構見えてると思うんですね。この角度を持ってつけた時にどのくらいでNo.1になるかどうかみたいなところもしっかり見なきゃいけないので、実はこの(石を置く)位置ですね、非常に大事になってきます。

もうこうやって奥になんか行ってしまった日にはもう明らかに(相手に)いいポジションを取られてしまうので、実はこのティーラインよりも前に置けるのかどうか、なおかつ前って言ってもどの辺の位置に置けるのかっていうのが実は大事になってきたりします。

これはセンターガードの時もなんですが、センターガードになってくると今度、(ティーラインよりも)後ろになってしまうと、はい、こんな風に相手がまた(自分の石に)つけにきます。こんな関係ですね。そうしたら相手の(石に)自分たちもこうやって行ってみると、何個(石を)置いたら(ハウスの)真ん中にくるかな、みたいなことも実は考えたりします。

この状態って黄色(の石が)しっかりNo.1(を)取れてる位置なので、ここに(黄色の石が)あるといいんですね。

じゃあ例えば(ハウス内の石が)ティーラインより前で、センターガードが1つある状態。これをじゃあ例えばヒットします。(赤の石を)ヒットしてロールします。ロールしてもまだセンターラインよりも前になります。

この状態だとヒット&ロール、すごくいい位置にできたんじゃないかなと思うんですが、じゃあ相手の石が例えばティーライン(上)にあるとします。ティーライン(上)にある石をヒット&ロールすると、必ずセンターラインよりも後ろに来てしまいます。こうなると相手にも利用されるような石になってきます。

なので(相手に)ヒット&ロールをされた時に(相手の石が)どこに来るのかっていうのを考えて、実は単なるサイドへのドローだったりかもしれないんですけれども、ここにあるよりはこの辺がいいよね。ヒットしてもまあそこまで(脅威にはならない)。しかもかなり真ん中よりも離れてるし、だいぶ後ろだからいいよねっていうような考え方になります。中途半端(な位置)に止まるならしっかり奥まで持っていっちゃった方がいいみたいな場合もあります。

じゃあ例えば後攻の石がここに1つ入っててティーラインの奥にある場合なんですが、これ実はしっかりフリーズできると自分たちの石も守ってくれつつ、しかも相手の得点の可能性も減らしているので、コーナーガードがあって、ティーラインよりも後ろに石があるっていう場合だと、こういう風に相手の石を非常に自分たちに有利な展開に使うことが可能になります。

これがですね、ちょっとこんな風にハウスから出てるんだけど、こういう風に使うこともできたりします。なので変にここに残しておくんだったらもうしっかり動かしておきたいなみたいな場合もあったりするので、こういう変に後ろに残っている石も全然関係ない。得点には関係ないかもしれないけど、バックガードして使えたりっていうパターンもあります。

パート⑦−3 2つの石の位置

縦に並んだ石

じゃあ例えば石の動きとしていきましょう。こんな風に縦関係でくっついている石。もちろんですね、前からドンって叩くと、これは残ってただこれだけが出ていくっていう動きになるんですが、実は少しでも横に当たったりすると、この石が実はこういう風に真横に動くみたいな場合もあるので。

これが例えば少し離れてるとかってなるとまた動きも変わってきます。少し離れている方が角度がついて出ていったりしますね。しっかりくっついていると本当にこういう風に真横に石が飛んでいったりっていうこともあるので、(石同士が)離れているのか、くっついているのか。真っ直ぐなのか、ちょっと曲がっているのか。曲がってついていると(石が)当たる方向ですね。

もちろんここから当たっちゃうとこれが出ていきますが、これは残るっていう風になります。真っ直ぐ当たるとこういう風に(石が出て)行きます。はい。

こんな風に石の角度ですね。(石の角度)を見るとどこに当てたら2つ出ていく、どこに当てたら1つ残る、みたいなのが面白いのかなっていう風に思います。

平行あるいは斜めの石

じゃあこういう風に並行に(2つの)石がある場合は、これ2つ同時に出す、ダブルテイクアウトっていうのは非常に難しくなってきます。なぜなら当てた石は絶対に(当てた方向と)90度で行ってしまうので。なので少し高さが違うような石(の配置)ですと、当てどころによってはしっかりもう一つの石に飛んでいく可能性があります。

ただし非常に厚く当てなきゃいけないので、厚くなった分ですね この動きっていうのが、こちらに飛んでいく勢いが少なくなって、例えばこれが出きらないっていうような場合もあったりする。なのでこのね、少し角度がついてもダブルテイクアウトが可能だったりする場合もあります。2点取りたい時はこういう風にね、しっかり(石を)平行に置く。

逆に例えばすごく角度をつけるとかっていうのも一つの考え方としてあります。これダブルテイクアウトするには結構薄く当てなきゃいけないので難しかったりしますね。この(石の)高さが違うんだけどものすごくこの角度がついているっていうのも難しいダブルテイクアウトです。

これダブルテイクアウトするには実はここに当てなきゃいけないので。こう。そうしたら実はこのこっちの石(は)出ていっちゃいます。となると相手に何をさせたいかみたいなことによっては、なんかこういう風にちょっと嫌な、いやらしい位置に置くっていう場合もあったりします。

単に2点取るにしても、じゃあどこに(石を)置こうかみたいな。(1個目の石が)ティーラインよりも後ろにあるんだったら、もちろんティーラインより後ろで(2つの石を)平行に保ちたい。

(1個目の石が)結構端っこの方にあるパターンは、より離してね2つ(の石を)置きたいとか。こんな風にこういうところに(2つ目の石を)置いても、2つ(同時に)出すの難しいですね、これ。(ダブルテイクアウトをするには)薄く当てていかなきゃいけないので。

こんな風にどこに置いたら2点取れるのかみたいなのも見てると面白いのかなという風に思います。

パート⑦−4 接している石

ハウス中央付近で連なっている石

例えばこういう風なガードがあって、こういう風によくこういう形で(石が)くっついてるじゃないですか、こうやって。これって(石を当てて)バーンってやったら赤(の石)だけ出ていくっていう(形)。バーンってやったらこれがこうなって、これがこうなって、なんか赤(の石)だけ出ていくとか。

なんかその(石の)角度。どういう角度で(石を)くっつけるかっていうのがすごく大事で。だからこうやって真っ直ぐつけるっていうよりかは、こういう角度で(石をくっつける)。これがこうなっちゃうと黄色(の石は)絶対出ないじゃないですか、こっちから叩いても。これ今こっちから(石を狙えないので)。こっちしか(石が)見えてないので。なので少し内側につけたいっていうのはそういう考えがあります。例えばこれ前からこう打っていったら黄色だけ出ていくとか。

なんか最終的にそういう形になってたらいいよねっていう考えもあって、このアングルで(石を)つけに行く。いいアングルで(石が)ついてると、赤(チーム)としてはこれ今バーンってやったら赤(の石)だけ出てっちゃうような事になってるので、なんかそういう風な角度をしっかり見て(石を)つけるっていうのはよくよくあります。

なのでスキップの例えば(石を投げる)ところに来て、なんかコツンコツンって(石の)押し合いみたいなのをこうやってしていく内に、なんか気づけば赤(の石)だけ出ていく角度で(石の配置が)なってたとか。なんかそうなると最後の1投ですごい大量得点(が)取れたりとか。なんかそういう展開がちょいちょいあったりするので、その角度がもうあった時点で例えばこういう風にね。赤チームとしてはもう何か、ここやられたら赤だけ出ていくような形になってるんだったら赤(の石を)ここに置くみたいな。これどう叩いてもここには当たらないみたいな、なんて言うのかなそういう場所を作ったり。

なんか当てどころと違う角度になるように前の石をくっつけるみたいな。だけど実はガードしちゃうとカードからその場所に(石を)飛ばせたりするので、ガードをするよりかその石に(投げた石が)当たらないように(石を)もう1個置いちゃうみたいな。なんかそんなようなことを(戦術として)とることもあります。

ポケット

ティーラインの後ろにね、(石が)入ってて。相手の石がこんな風になってる。例えばここにこうやってね、(石を)投げるような展開。これこうなっちゃうと実はこの石ってもう1投では出ません。どっちから(黄色の石を)打ってもどっちにも引っかかるっていう状態なので、こういう石の配置を赤チームとしては絶対に作ってはいけない。

例えばね、(石同士が)少しでも角度がついていたり、少しでも離れていたりする方が、実は石が離れているとその分石が動く可能性っていうのがあるので。ポケットになっているって言うんですけども、こんな状態を作らないようがいいです。

でこれもですね、ちょっとでも(石同士が)こうやって離れてたりすると、実はもうこれって打ったらバンバンバーンって出たりしちゃうので。これもそのフリーズっていうショットとしてはすごくチャンスなんですけど、ちょっとでも押し下げちゃったりするってなると、もう出されるような形になっちゃうので、フリーズすごく難しいです。

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